明治学院大学のトム・ギル教授(社会人類学)の研究が紹介された動画コンテンツ・パート1

東京・日比谷公園のホームレスは比較的こぎれいなのに、米ニューヨーク・マンハッタンの教会で見掛けるホームレスはみすぼらしい。それはなぜか。明治学院大学のトム・ギル教授(社会人類学)がユーチューブ上の動画で、日米の路上生活者の違いを説明している。

ギル氏によれば、米国では精神病患者を施設から追い出したことが大きいという。データを確かめると、ギル氏の説が正しいことがわかる。ある推計では、全米50万人の路上生活者の2〜3人に1人が深刻な精神疾患を抱えている。

米国の路上生活者の薬物問題

米国でホームレスが急増したのは1980年代初頭、レーガン政権で精神病患者のための助成金が3割超削減されたときのことだ。OECD(経済協力開発機構)によると、人口10万人当たりの精神科病床数は現在、日本が293なのに対して、米国は57まで落ち込んでいる。

薬物の問題もある。ヘロインのようなハードドラッグは日本では入手困難だが、米国では容易に手に入る。米政府の推計では、路上生活者の4人に1人がハードドラッグを濫用。薬物過剰摂取はホームレスに最も広く見られる死因だ。


日本と米国のホームレスの違いとは?(写真:izumi/PIXTA)

さらに詳しくデータを見ると、米政府はホームレスを隠しておく新たな場所を見つけたらしいことがわかる。刑務所である。2010年時点で囚人の16%、約32万人が精神疾患を抱えていたのに対し、米国の精神病床数はわずか10万。米『マザー・ジョーンズ』誌は「病院の3倍以上の精神病患者が刑務所にいる」と評した。

米国では路上生活者の約1割が兵役経験者

トラウマを抱えた帰還兵の間でホームレスが増えている、ともギル氏は指摘する。米国では路上生活者の約1割が兵役経験者だ。一方の日本の若者が戦闘地域に送り込まれることはない。

もう一つ大きな違いは、日本の路上生活者の約95%が成人男性であることだ。米国では4人に1人が子どもである。日本では、女性や子どもは生活保護によって住む場所を失わずに済むことが多い、とギル氏は論文に書いている。経済的に自立できない男性は罰せられる一方、女性や子どもはそもそも経済的に自立することを期待されていないというのだ。誰もが自分で自分を養っていかねばならない米国とは対照的である。

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