GEトランスポーテーションはオートメーション技術に依拠(写真=GE Manufacturing Solutions)

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 機関車を手がけているGEトランスポーテーションの工場でスーパーバイザーを務めるダスティン・カストル氏は、先日、長年勤務する作業員たちに彼らの業務がロボットに代替されようとしていることを伝えた。少なくとも、作業員たちはそうとだけ告げられたと思っていた。

 カストル氏はペンシルバニア州グローブシティにあるGEトランスポーテーションの工場に勤めるようになってまだ2年しか経っていなかったのに、昨年、何十年もこの組立ラインで働いてきた作業員たちに、業務手法が劇的に変わろうとしていることを伝える必要があった。

 重さ4万ポンド(約18トン)の機関車のディーゼル・エンジンのボルトを正確な強度で締める際には、全長3フィート(約0.9m)の油圧トルクレンチを作動させる反復的なプロセスが必要。しかしカストル氏は作業員たちに「今後はそんな複雑な定石に基づく手作業は必要なくなるんだ」と説明した。

 今後、こうした作業はロボットが代替し、作業員はその進捗を監視するようになる。「僕がそう伝えたとき、現場からは“このやり方を20年も続けてきたし、作業方法は熟知している!”という反論が噴出した」とカストル氏。

 敷地面積240,000平方フィート(約22,297m²)、400人近い社員を抱える工場の未来にとって、この変革は重要な意味をもつことをカストル氏は認識してした。

 それはこの工場を「ブリリアント」ファクトリーにするというGEの決断の重要な側面でもあった。GEのブリリアント・ファクトリーは、より効果的に業務を遂行できるよう、リーン手法とソフトウェア、センサー、リアルタイムデータなどのデジタルソリューションを活用している。

 GEは新設工場、既設工場を含め、世界に7つの工場拠点を「ブリリアント・ファクトリー」にすることを決め、2015年2月、その第1弾をインドのプネーにオープンさせた。

 この7拠点には、カストル氏が管理するグローブシティの工場、そして東京都日野市にあるGEヘルスケア・ジャパンの工場も含まる。今では、世界中に広がるさらに多くの工場で「ブリリアント・マニュファチャリング」の考え方が取り入れられるようになった。

 カストル氏がこの動きを歓迎したのは、こうした変革によって工場はコスト競争力を維持し、長期的存続が可能になることを知っていたからだ。

 GEは最近、グローブシティの事業に1億5,000万ドルを超える投資を行った。これには新しいエンジンを組み立てるための2つ目の工場建設も含まれている。

 「ここはGEが成功させたいと願っている場所なんだと認識できて、雇用が保障されていると実感できる」(カストロ氏)。それでもやはり、作業員たちはしばしばオートメーション化に不安を抱いていることに、彼は気付いた。

 新たなシステムに適合できないと思い込んでいる者もいれば、仕事量が減って全員に行きわたらないのではないかと心配する者もいる。

 しかし、オートメーション化は一部の業務を減らす一方で、他の業務のニーズを増やしてもいる。実際、1982年〜2012年の米国の労働人口に関するある調査によると、コンピューターに依拠する割合が高い業務分野の方が、雇用増加のスピードははるかに速いという結果も示されている。

 作業員たちの不安を和らげるため、カストルはそれぞれの生産ライン・チームのミーティングに頻繁に参加し、工場デジタル化が進むことによって日常業務がどう変わっていくのかを作業員たちに説明した。

 ボルトのトルク作業の自動化は、ケガを減らしながらも精度を高めることができること。「ブリリアント」ファクトリーのプロセスは業務を減らすために設計されているわけではなく、工場の効率や柔軟性を向上させるためのものであって、製品のさらなる多様化を図れること。