旧日本軍の従軍慰安婦資料をめぐり、ユネスコの国際諮問委員会は「世界記憶遺産」への登録可否の判断を見送った。韓国メディアは「日本のロビー活動の結果」などと反発している。写真は中国慰安婦歴史博物館。

写真拡大

2017年10月28日、旧日本軍の従軍慰安婦資料をめぐり、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の国際諮問委員会(IAC)は「世界の記憶」(世界記憶遺産)への登録可否の判断を見送った。登録がお蔵入りする公算も大きくなり、韓国メディアは「日本のロビー活動の結果」などと反発している。

ユネスコの世界記憶遺産は、世界各地の貴重な古文書や映像などを人類の財産として保護する事業で、登録に関する審査は14人の専門家からなるIACが実施する。登録審査は2年に一度で、慰安婦資料は15年に記憶遺産に登録された旧日本軍による「南京大虐殺」に関する資料とともに中国が申請。登録が見送られたため、中国や韓国、台湾など8カ国・地域の民間団体などが新たに共同申請している。

日本政府は南京大虐殺について、中国との間で犠牲者数などの見解が分かれているにもかかわらず登録されたことに「ユネスコの政治利用」として反発。ユネスコに審査の透明性と中立性を確保するなどの改革を求めてきた。さらに分担金支払いも一時延期した。

ユネスコは18日に開かれた執行委員会で、事実関係に見解の相違がある場合は関係国が事前に協議し、合意できない場合には審査を先送りする改革案を審議。「さらに議論を深める」として、今回の審査からの改革案の適用は見送られたが、執行委で採択された決議には「記憶遺産に関して、加盟国の相互理解の原則に従い、政治的な緊張を回避するよう求める」との文言が盛り込まれた。

こうしたことから、聯合ニュースは「韓国政府は今回の審査で登録勧告が合意に至るよう、最大限の説得と広報を行う計画を立てたが、日本政府はユネスコへの圧力を強めており、状況は芳しくない」と報道。ハンギョレ新聞も「慰安婦資料の登録申請は昨年行われたため、形式上は変わった制度の適用対象ではない。しかし、日本の影響力がますます強くなる状況で、制度まで変更されれば、登録の機会はさらに狭くなる見通しだ」と伝えるなど、悲観論が高まっていた。

ユネスコの登録判断見送りについて、中央日報は「日本政府が行った水面下でのロビーの結果だと見る見方もある」と指摘。「日本の最も強力な武器はユネスコ分担金だ。現在、日本は米国の次に分担金を多く出している国だが、米ドナルド・トランプ政府がユネスコからの脱退を宣言して日本の影響力がより一層高まるほかない状況だ」としている。

ニューシスも「来年、仮に審査対象になったとしても、日本の反対により世界の記憶への登録は事実上不可能となることが予想される」と説明。「IACの判断の背景に日本の力が働いている」と報じている。(編集/日向)