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text:Mark Tisshaw(マーク・ティショー)

もくじ

ー 自然吸気 いつまで存続できるのか
ー PHEVをランボルギーニが拒む理由
ー ウルス、ウラカンなどの地位脅かす?
ー V10、V12 「可能な限り長く」

自然吸気 いつまで存続できるのか

「わたしの夢は自然吸気エンジンを可能な限り長く存続させることです。スーパースポーツカーの情念、エモーションの問題ですから」

ありがとう、マウリツィオ・レッジアーニ。ランボルギーニの開発のボスは、われわれに希望を与えてくれるのだ。

スーパーカーとハイパーカーの世界で、ランボルギーニは燃費向上のためのハイブリッドや電気モーターはもちろん、ターボチャージャーにさえ抵抗し続けている唯一のメーカーである。

なぜだろう?

それがランボルギーニのDNAだからですよ、とレッジアーニは言う。

「われわれのDNAはデザイン、エモーション、そしてパフォーマンスです。これがわれわれのクルマを唯一無二の存在にしているのです。DNAは新しいモデルを定義する条件です」

「このうちのどれかひとつが欠けても、ランボルギーニではないのです。デザインがとてもクールでまさにランボルギーニだというクルマでも、席に座った感じ、エンジン・ノイズ、タイヤがアスファルトをつかむ感覚がエモーショナルでなければ、ランボルギーニとしての使命は果たせていません」

「われわれは常にパーフェクトを目指します。デザインとエンジニアリングは同時並行でなくてはなりません。どこかを割り引くなんてことはできない。大いに楽しみ、時にはちょっと見せびらかすためにドライブするわけですからね」

プラグイン・ハイブリッドを拒絶する理由も教えてくれた。

PHEVをランボルギーニが拒む理由

レッジアーニに言わせると、今のプラグイン・ハイブリッド・システムを拒絶するのは、そこにDNAがないからだということになる。プラグイン・ハイブリッドは重すぎて、パフォーマンスやハンドリングを鈍重にし、パッケージングには妥協が必要になる、というのが彼の主張だ。

「ランボルギーニのブランドの価値は、エモーションに溢れていることです」とレッジアーニ。「エモーショナルでなければ、ランボルギーニを買う理由はありません。未来には情熱がなければならない。これからもランボルギーニは、皆さんに夢のようなサウンド、スピード、アクセル、そしてデザインを提供しなければなりません」

だからといって彼は、たんに夢を語っているわけではない。レッジアーニは現実主義者でもあり、いつまでも電動化やターボ過給技術に抗うことはできないこともわかっている。

CO2排出量を減らし、将来不可避な電動化の準備をすることは至上命題であり、ランボルギーニはウラカン、アヴェンタドールと並ぶ新しいSUVであるウルスにおいて、この両方を導入する計画である。

ツインターボV8を搭載するウルスは、年末までには公開され2018年に発売される。プラグイン・ハイブリッド版は2020年までに発表される予定である。ウラカンやアヴェンタドールのハイブリッド化はまだ少し先であり、しばらくは自然吸気のV10とV12が販売される。

「他のスーパースポーツカーに比べれば、SUVはバッテリーの搭載方法や重量をあまり気にしなくていいのです」

最初の電動化にウルスを選んだ理由について、レッジアーニはこう言う。「ウルスで電動化を始めて、ハイブリッド・スーパースポーツを軽量化するための経験を積んでいこうと思います」

すでにレッジアーニは、電気モーターやバッテリーパックをランボルギーニに適したものに改良するよう、メーカーに要請している。

ウルス、ウラカンなどの地位脅かす?

「パフォーマンスや重量、パッケージングの点で、これらの技術はまだスーパースポーツカーには使えません。数年後の次世代ランボルギーニまではダメでしょう」とレッジアーニは言う。

「PHEV(プラグイン・ハイブリッド)技術についていえば、バッテリーは重量と大きさ/形状に関して大幅な進化が必要です。スーパーカーには、重量とパッケージングの妥協なんてあり得ません。ティアワン・サプライヤーには、次世代に向けてバッテリーや電気モーターの大幅な改良をお願いしたい」

ウルスは2020年に初めて電動化される。ただその前に、ウルスは1980年代のLM002以来途絶えていたランボルギーニのSUVとして、ラインナップに返り咲くのだ。

スーパーラグジュアリーでハイパフォーマンスなSUVの盛隆は、ランボルギーニも無視できないもうひとつのトレンドである。ウルスは正真正銘のランボルギーニであるが、ウラカンやアヴェンタドールの地位を脅かすものではないとレッジアーニは言う。

バッテリーによる重量増を補う軽量化技術は、ランボルギーニの将来にとって決定的に重要だとレッジアーニは語る。また2019年に施行される新しい衝突規制でクルマはより幅広になるため、こちらも無視できない。

そこでランボルギーニは、ボストンのマサチューセッツ工科大学とチームを組み、第3ミレニアムのスーパースポーツカーの研究、特に軽量素材とエネルギー貯蔵の代替手段に関する研究開発を行っている。

V10、V12 「可能な限り長く」

代替手段に関する研究開発について「バッテリーその他による重量増が心配です」。重量を敵と見なすレッジアーニはこう言う。

「重量を増加させない新たな技術を開発するため、エンジニアたちは血眼になって頑張っています。とても困難な仕事です。英知と閃きが必要です」

ランボルギーニは最近発表したウラカン・パフォーマンスで、エアロ・ベクタリングという賢い技術を披露した。パワーを高めずにクルマを速くする技術にも目途がついているという。

レッジアーニは各モデルの「地固め」を着々と続けている。激しい競争の前では、最初の成功に甘んじてなどいられない。

「努力し続けなければなりません」と彼は言う。「ガヤルドは成功しました。でもウラカンはもっと成功した。改良し続けたためです。最初のクルマがつねにベストだとは限らない。将来のためには不断の努力が不可欠です」

当分の間はレッジアーニ監督のもと、V10、V12は改良が続けられ、今後とも長く生き残るであろう。彼はV10、V12を「可能な限り長く」使い続けたいと思っているのだ。

「自然吸気エンジンは、スーパースポーツカーのDNAの一部です」

最後に彼はこう言う。

「このエモーション、レスポンス、サウンドを実現するには、ほかのエンジンではだめなのです。自然吸気エンジンは、ランボルギーニを孤高の存在たらしめる唯一のエンジンなのです」