去る8月、 パリ五輪招致委員会の共同議長Tony Estanguetは、「eスポーツ」を新たな競技種目として追加する可能性を、こう取材に応えました。

「『No』とは言いたくありません。国際オリンピック委員会とeスポーツ関係者と、どのようなアプローチをするかを話し合っていきたいですね。なぜ大きな成功を収めているのかは、非常に興味深いものです」

このようにオリンピックの新種目になる可能性があるとして、注目が集まっているeスポーツ。だけど、その実態を知っている人は、少ないのかもしれません。

世界中の人から愛されている「魅力」と、オリンピックの競技種目として候補に上がる「理由」の2つを紹介します。

競技人口は1億人以上
大会の賞金総額は28億円

「eスポーツ」は、エレクトロニック・スポーツの略で、チェスのようにゲームでありながらも、スポーツ競技の1つとして見なされています。その中でも、スポーツ部門やMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)部門などに分けられ、それぞれの大会が開催されています。

しばしば、その莫大な賞金総額が話題になることも。先のMOBAを代表するゲーム『Dota 2』の世界大会の賞金は、なんと約28億円。分かりやすく比較をするなら、ニューヨーク・ヤンキースで活躍する田中将大選手の推定年俸が約25億円。メジャー級の金額が動くということは、それだけ多くの需要があるのを意味しています。

競技人口は、『League of Legends』だけでも約1億人もいて、野球の3倍以上の人がプレイをしています。他のゲームのプレーヤーを総計したら、メジャースポーツにも匹敵するでしょう。

そのため、たくさんの人の耳目に触れる機会を考えた大企業は、eスポーツのチームをスポンサード。また、「ASローマ」や「パリ・サンジェルマンFC」といったサッカーの名門クラブも、自分たちのeスポーツチームを所有しています。

とは言っても、知らない人からしたら普通のゲームでしかありません。なぜ、オリンピックの新種目になるかもしれないと言われているのでしょうか?

eスポーツから
“オリンピック精神”を見出す

答えは、肉体と知性を重んじるオリンピズムにマッチしているから。

eスポーツをこよなく愛する友人に言わせれば、トッププレーヤーたちは細かな動きの反復練習をこなし、マウスの位置をミリ単位で調整するらしいのです。サッカーや野球選手のように筋トレをしない代わりに、手の動きを鍛えるといったところでしょうか。ときには、腕が痙攣するまで自分を追い込むことも。

つまり、「射撃」のような正確性を兼ね合わせた<肉体>が、eスポーツから得ることができるのです。

前述の『Dota 2』や『League of Legends』が正式種目として選ばれるかどうかの話は抜きにして、これらのゲームにおいて「戦略性」は重要なファクター。それはチェスの駆け引きのようなもの。

繰り返していくうちに、自分の危機的状況をどう挽回するのかという「瞬間判断能力」や、イレギュラーなことが起こったときに対応する「問題解決能力」を体得することができます。実際に彼らのプレイに注視すると、僅かな時間にたくさんのことが起こっているのが分かるでしょう。

多くの人には知られていないかもしれませんが、<知性>も身に付けることができるのがeスポーツの魅力の1つ。

プレイにも観戦にも
「平等性」が存在する

観戦する側がテレビだけでなく、スマホかパソコンを持っていれば、試合の様子が楽しめるのも、人を惹きつける要素でしょう。ゆえに、「YouTube」にはたくさんの動画が投稿されていて、数秒間のプレーを切り取って、実況が様々なことを話してくれます。

さらに、初期投資が安いために、誰でもeスポーツを楽しめるというのは大きな強みになるでしょう。速く走れない、高く飛べない、重いものを持ち上げられない、なんて関係ない。費やした時間と努力の結果が、自分のスキルになる。体格に恵まれない人たちでも、世界屈指のプレーヤーになれる可能性がある、それが「eスポーツ」。

ちなみに、今日がちょうど東京オリンピック開催まであと1000日。

この電脳スポーツが正式種目として認められるかどうかは、オリンピック後にきまるそうですよ。2024年のパリオリンピックで正式な種目として採用されれば、大きな旋風を巻き起こすことは間違いないでしょう。

Reference:AP News,Dota 2(HP),(Twitter),Unranked Smurfs,Dexerto,Fnatic