FXとNISA"定年後"に役立つのはどっち?

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■50代の平均資産は1128万円

現在50代で、そろそろ定年後の生活費の準備に取り掛かっている皆さんは、どのくらいの金融資産を持っているのだろうか。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、金融資産を保有していない世帯も含む50代の金融資産保有額は、平均で1128万円だ(2016年、2人以上世帯)。

これに退職金を加え、65歳以降は公的年金を受給できるにしても、もう少し余裕がほしい。

一方、50歳になると、社会人としてのゴールが見えてくる。多くの会社が65歳まで働けるが、実質的には60歳で再雇用扱いになるため、いわゆる「現役」としての持ち時間は10年を切ることになる。

ちなみに再雇用後の給与相場は、定年前の50〜60%と言われているので、50歳から60歳までの10年間が、最後の「貯めどき」になる。ここでしっかり老後の資産形成をする必要がある。

■人生の持ち時間と大いに関係がある

ただ、注意しなければならないのは、少しでも早く大きく増やそうなどと焦って、株式投資やFXに走ることだ。

確かに、株式投資やFXは、手っ取り早く稼げるイメージがある。FXで手持ちの100万円が1億円になったという話を、雑誌などで読んだことのある方もいるだろう。今、20代か30代ならば挑戦してみるのも悪くはない。40代前半でギリギリというところだろうか。これは、人生の持ち時間と大いに関係がある。

■「億トレーダー」でも大損失の経験あり

株式投資やFXで億円単位の資産を築いた個人投資家は、ほとんどと言ってよいほど、非常に大きな損失を被った経験を持っている。それでも諦めずに、トレードの研究を重ねた人が、億トレーダーの切符を手にするわけだが、それはほんの一握りだ。

こうした失敗の経験をした後、億トレーダーへの道を諦めるにしても、その道を究めるにしても、若い頃から始めたほうがよいのは、失敗して大損失を被ったとき、精神的にも経済的にも立ち直るための時間的な余裕があるからだ。

しかし、50代でトレードに失敗し、手持ちのお金の大半が吹き飛んだりしたら、そこからトレードを研究して、損失を取り戻そうとしても、時間的な余裕がないし、精神的なショックも大きくなる。20年、30年と働いて、何とか積み上げた資金が、トレードの失敗で、一瞬のうちに失われてしまったときのショックは、筆舌に尽くしがたい。50からの手習いで、株式投資やFXに手を出すのは、やめておくのが無難だ。

■複数回にわけて投資信託を買う

もちろん、だからといって、投資全般を諦めろと言っているのではない。50代は、50代に合った投資の仕方がある。それは投資信託の積み立てだ。

仮に手元に1500万円の貯蓄があり、そこからある程度の資金を投資信託に振り向ける場合も、一括で買うのではなく、複数回にわけて購入する。その際に、NISAを活用すれば年間120万円の非課税枠があるので、毎月10万円ずつ12回にわけて購入する。

現行のNISAは、2023年まで利用できるので、18年1月から始めれば、NISAの上限額である600万円を23年中に達成できる。

来年1月からスタートする予定の「つみたてNISA」なら、年間の非課税枠は40万円までだが、38年までの20年間、制度を活用できるので、総額800万円まで投資信託を積立購入でき、かつ発生した収益は非課税になる。なかでも世界中の株式市場に分散投資するグローバル型の投資信託がお勧めだ。

(金融ジャーナリスト 鈴木 雅光)