全固体電池の試作品はすでに完成、技術者200人以上の体制で開発を急ぐトヨタ(ルロワ副社長)

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 国内外の完成車メーカーが先端技術の車両搭載を急ぐ中、部品メーカーも次世代領域への対応を誤れば将来の競争力を失いかねない。電気自動車(EV)などの投入で加速する部品の電動化、生き残りをかけて新分野に挑む部品メーカーの取り組みを追う。

 「トヨタ自動車の発表には驚かされた」(東海地方の部品メーカー幹部)。トヨタが25日、東京モーターショーの会場で車載用の全固体電池を2020年代前半に実用化すると表明したことは車業界で大きな話題になっている。EV戦略に消極的とも見られていたトヨタが、現状のEVの課題を解決する「ゲームチェンジャー」(ディディエ・ルロワ副社長)として全固体電池を持ち出したからだ。

 全固体電池は従来のリチウムイオン二次電池と比べてエネルギー密度が高く、車載向けであればわずか数分間で充電できるメリットがある。また可燃性の有機電解液を使わないため発火の危険性も少ない。ただ現状ではリチウムイオン二次電池とのコスト差が大きく、普及に向けた壁になっている。

 全固体電池は大きく電解質に硫黄系の素材を使うタイプと酸化物を使うものに分かれ、以前から複数の部品メーカーが部材開発を進めてきた。日本特殊陶業は今回のモーターショーに酸化物系素材を電解質に使う全固体電池を出品する。容量やエネルギー密度は明らかにしていないが、電解質となる粉末を焼かずにプレスで固めてつくるため、電池の大型化が容易だという。

 このほか村田製作所や日立造船、三井金属、太陽誘電なども全固体電池や部材の開発に力を入れている。電池はEVの性能向上のカギを握る部分だけに、コストや信頼性の面でブレークスルーが期待される。

 一方、電池切れや瞬間的な電圧低下といった緊急事態に対応する「キャパシター」の開発も花盛りだ。今仙電機製作所は、キャパシターを使ったバッテリーバックアップシステムを開発した。EVの電池が使えない状態になっても、電動ブレーキへの電力供給やドアロック解除などが可能になる。TPRも車載用の電気二重層キャパシター(EDLC)を開発中。12年から建設機械向けのEDLCを量産しており、車載向けにも応用して高出力と高容量の両立を目指す。

 ジェイテクトは19年春をめどに、車の補助電源や操舵システムの高出力化などに使うリチウムイオンキャパシター(LIC)の量産を始める。EDLCと比べ、高容量なのが特長だ。安形哲夫社長は「業界のベンチマークになりうる製品ができた」と自信を示す。

 東京モーターショーでは海外部品メーカーも電動化で攻勢をかける。独ボッシュはモーター、インバーター、トランスミッションを一体化した電動車向けのパワートレーンをアピール。EVへの搭載も想定しており、「複数の完成車メーカーに試作品を提供している」(ロルフ・ブーランダー取締役)という。19年の量産を計画する。

 ディーゼル車からの「EVシフト」だけでなく、燃費や環境規制の高まりによって車両の電動化は今後も止まりそうにない。部品メーカーも対応を迫られている。