『おそ松さん』十四松・小野大輔、人気の秘訣はイケボとのギャップ? 三枚目キャラもこなす多面性

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 超人気声優たちが共演しているとあって、この秋スタートしたアニメ2期も大いに盛り上がりを見せている『おそ松さん』。六つ子のなかでも核弾頭的な“おバカキャラ”の五男・松野十四松を演じるのが、「小野D(おのでぃ)」の愛称で親しまれている、小野大輔だ。

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 小野といえば、『黒執事』シリーズのセバスチャンや、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの空条承太郎などを担当し、これまでに多数の声優賞も受賞してきた。しかし、彼はもともと声優を志していたわけではなく、制作志望で日本大学芸術学部放送学科に入学したという経歴を持つ。その後、周囲からのすすめもあって声優に転向し、2005年放送アニメ『AIR』で初めて主役・国崎往人に抜擢。翌年の出演作である『涼宮ハルヒの憂鬱』(古泉一樹役)もヒットに恵まれ、声優としての躍進を見せた。

 小野は、声質が比較的低いため、少年・青年というよりは大人や年上のキャラを演じることが多い。だが、その役どころは、セバスチャンのような正統派イケメンから、『進撃の巨人』エルヴィンのような落ち着いたリーダー、残念イケメンである『みなみけ』シリーズの保坂まで、さまざまだ。

 そうした演じ分けは、ベストセラー小説『世界から猫が消えたなら』のオーディオブックでも見られる。小野はこの企画で一人三役(主人公、悪魔、ストーリーテラー)をこなし、原作の川村元気からも「コミカルな役もカッコイイ役も両方演じられる」と大絶賛されている。

 むしろ、今期の十四松しかり、小野が演じてきたなかでは、一筋縄でいかないようなコミカルな役のファン人気がかなり高いように思える。小野自身、その整った容姿から“イケメン声優”と称されることが多いが、それでいて、一癖あるキャラでも難なく演じこなす点にポジティブなギャップが感じられるのだろう。プライベートでは“変人”とも言われている小野だが、大の仏像好きが高じて、今年東京国立博物館で開催された『運慶展』では音声ガイドナレーターに抜擢されたというエピソードからも、彼のユニークな多面性を垣間見ることができる。

 小野は、ファンサービス旺盛なこともあって、ラジオやイベントのステージでも自由奔放な言動が取り沙汰されがちだ。しかし、声優業については、「声優、役者の仕事自体が、欲されないとできないものなんで、受け身なんです」、「僕らって台本がないとお芝居はできません。なので、僕は自分からは企画を出しません。与えていただくんです」と、かなり謙虚にコメントしている。

 また、小野は現在では歌手としてアーティスト活動にも励んでいるが、当初はこうした声優以外の仕事に抵抗を持っていたという。ランティスからCDリリースの誘いを受けても二度断ったそうで、その時のことを「役になるということが、自分の仕事の前提としてあります。小野大輔として何かやる、というのは自分が思う声優の仕事ではないと思っていました」と振り返っている(引用:小野大輔 7thシングル「Mission D」インタビュー)。

 落ち着きのあるイケボに魅了されて活動を追うと、意外にも個性的な一面が垣間見え、しかしそうはいっても、根はやっぱり謙虚に真面目。小野のそんな二重のギャップが、より一層ファンの心を惹きつけているのではないだろうか。

■まにょライター(元ミージシャン)。1989年、東京生まれ。早大文学部美術史コース卒。インストガールズバンド「虚弱。」でドラムを担当し、2012年には1stアルバムで全国デビュー。現在はカルチャー系ライターとして、各所で執筆中。好物はガンアクションアニメ。