TWICE『One More Time』が想起させる、K-POP日本進出史 日韓でヒット生む作家陣に注目

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参考:2017年10月16日〜2017年10月22日の週間CDシングルランキング(2017年10月30日付・ORICON NEWS)

 2017年10月30日付の週間CDシングルランキングの1位は、TWICEの『One More Time』。女性9人組のK-POPグループによる1位獲得です。

(関連:TWICEの勢いは楽曲単体ではない? 複合チャートが示すグループ人気の指標

 TWICEは、韓国のオーディション番組『SIXTEEN』で選抜された9人によって2015年に結成されたグループ。日本では2017年6月にベスト盤『#TWICE』をリリースしてCDデビューをしました。オリコンによればシングル『One More Time』は初週20.1万枚を売り上げ、「1stシングルの初週売上20万枚超え」は今年度初とのこと。大変な勢いです。

 前述のベスト盤『#TWICE』の発売日、私はたまたまタワーレコード渋谷店に行ったのですが、1階のレジに異常な行列ができていたことを思いだします。その列はみな女性で、彼女たちの手にあったのが『#TWICE』でした。そのため、シングル『One More Time』の1位獲得も自然な流れのようにすら感じます。

 TWICEの「One More Time」は、デジタルでアッパーなダンスチューン。しかし、流行りのEDMでもフューチャーベースでもない点はポイントです。TWICEにとっては日本で初のオリジナル楽曲なのですが、たとえばTWICEが2017年にMVを公開した「KNOCK KNOCK」「SIGNAL」といった韓国で発売された楽曲と聴き比べても特に違和感がありません。TWICEの個性をうまく残したまま、日本のマーケットで展開するために用意されたオリジナル曲が「One More Time」だと感じました。

 「One More Time」の作家陣は、全員が日本で活動する人々。作詞は渡辺なつみとYHANAEL。YHANAELは、ジャニーズWESTのシングル「Ya! Hot! Hot!」の作詞にも参加していました。作曲に名を連ねているのは、作詞も担当したYHANAELに加えて、NA.ZU.NA、小久保祐希の3人。NA.ZU.NAは編曲も手がけています。

 NA.ZU.NAは、乃木坂46やE-girlsなどのほか、2PMやKARAといったK-POPグループにも楽曲提供をしてきたプロデューサー/ソングライター。また、小久保祐希は、ジャニーズWESTやGOT7などの楽曲を手がけてきたソングライターです。そして、NA.ZU.NA、小久保祐希、YHANAELは、全員がobelisk inc.(オベリスク)という作家事務所に所属しています。

 オベリスクの社長である伊藤豪英は、「One More Time」では日本側のレコーディングスタッフのミュージックディレクターとしてクレジットされている存在。そして、注目すべきは伊藤豪英が、BIGBANGの日本進出時にはスーパーバイザーとして、KARAの日本進出時にはプロデューサーとして参加していた人物であることです。

 最近のオベリスクは、WOOYOUNG(From 2PM)、Dream Ami、インス(from MYNAME)などを手がけており、日韓の国境を越えてヒットを生みだしているチームです。こうした実績を踏まえれば、オベリスクが制作に携わった「One More Time」の1位獲得もごくナチュラルに感じられました。

 伊藤豪英をはじめとするオベリスクの制作陣が、J-POPとK-POPの双方の「文脈」を理解していることは想像に難くありません。TWICEの「One More Time」は、実はK-POPアーティストの日本進出の歴史の上に成り立っている1位獲得曲なのです。(宗像明将)