多くの平壌市民が動員された黎明通りの竣工式(2017年4月14日付労働新聞より)

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新築のマンションが立ち並ぶ新義州の市街地(画像:読者提供、2017年9月撮影)


北朝鮮のトンジュ(金主、新興富裕層)の間でも、最も人気のある投資先は不動産だ。

北朝鮮当局は、住宅建設の資金不足を補うため、トンジュから投資を募っている。当局は、トンジュの持つ外貨を吸収できて、予算が足りない中でも住宅建設を行い自分たちの成果だと宣伝できる。そしてトンジュは大儲けできるというウィンウィンの仕組みだ。おかげで、北朝鮮の不動産価格は激しい上昇を続けてきた。

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しかし、そのような北朝鮮式不動産投資に暗雲が立ち込めている。

国際社会の経済制裁の影響で資金や建築資材の流れが滞り、また戦争の噂が拡散するなど、様々な要因が重なって不動産価格が下落しているのだ。

平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、中朝国境沿いの新義州(シニジュ)の駅前や税関付近は全国屈指の不動産投資有望エリアだった。

このエリアは、中国から輸入した物資を鉄道、トラックに積み替えて全国に送り出す物流拠点で、人の行き来も多いところだ。中国との国境から1〜2キロしか離れていないため、中国の携帯電話の電波も届く。

ところが、国際社会の対北朝鮮制裁で状況が変わった。

禁輸品目が増え、人や物の行き来が減ってしまったのだ。また、市場活動の停滞で、資金の流れも細ってしまった。

数年前に建てられたマンションの場合、昨年秋にはほぼ10万ドル(約1136万円)で取引されていた。それが今では7万ドル(約795万円)を下回った。わずか1年で3割以上暴落した計算となる。ちなみに、同じ物件か定かではないが、3年前の取引価格は3万ドル(当時のレートで約358万円)だと、デイリーNKは報じている。

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そのような状況でも、デベロッパーである貿易会社は値段を下げようとしない。

意思決定プロセスが硬直化しているため、市場価格に合わせることができないのだろう。一方で、購入を希望する人は値下げを要求する。双方の話がまとまらないため、売買が止まってしまった。

不動産価格が下落に転じたのは新義州だけではない。北朝鮮の物流の中心、平安南道(ピョンアンナムド)の平城(ピョンソン)、順川(スンチョン)でもこの数ヶ月でマンション価格が下落している。

ゴーストタウン化

平城の駅前にあるマンションは昨年まで6万ドル(約682万円)で売られていたが、今年に入ってから5万ドル(約568万円)に、郊外のマンションは5000ドル(約57万円)から3200ドル(約36万円)に下落した。雰囲気は買い手市場となり、値段はさらに下がりそうだと情報筋は見ている。

不動産価格の下落には、売りに出される一般住宅が増えていることも影響している。商人は運転資金を得るため、貧しい人は当座の生活費を得るために家を売り払う事例が増えている。

その一方で、貸家の家賃相場は高騰しており、5万北朝鮮ウォン(約650円)から2倍に跳ね上がった。

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不動産市場の不況は、新義州の対岸、中国・丹東も同様だ。2015年頃から価格の下落が始まり、市当局が中朝貿易の発展を見込んで建設した新市街地は、半ばゴーストタウンと化している。

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