北朝鮮は31年前にポーランドからヘリコプターを購入したが、両国は2011年にその負債を条件付きで免除する協定を結んでいたと、米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)が報じた。

北朝鮮は1986年、ポーランドから軍用ヘリコプターのMi-2(ホプライト)を購入した。英国の航空ニュース専門サイト、フライト・グローバル・インサイトによると、2015年の時点でも46機が運用されている。

北朝鮮は代金の一部の170万ドル(当時のレートで約3億4000万円)を支払ったが、残りの負債は431万8355ドル(約4億9000万円)に達していた。

両国は2011年6月に協定を結び、条件付きで負債を免除することとなった。

まず、チョポル(朝鮮・ポーランド)海運会社(CHOPOL)が船舶1隻を購入する費用として、北朝鮮が同社に150万ドル(約1億7000万円)を協定締結から90日以内に提供すること。それにより、北朝鮮とポーランドの同社に対する持分は75万ドル(約8500万円)ずつ増額されること。そして、平壌駐在のポーランド大使館の補修工事の費用20万ドル(約227万円)を北朝鮮が6ヶ月以内に支払うこと。

これらの条件が履行されれば、残りの負債261万8355ドル(約2億9800万円)を免除するということになっている。

ポーランド財務省がVOAの取材に答えたところでは、北朝鮮が2011年のうちにこれらの条件を履行したことを受けて、債務は免除されたという。

ちなみにチョポル海運会社は北朝鮮とポーランドの合弁企業で1967年に設立された。米国財務省は昨年3月、大量破壊兵器に関連する部品の運搬に関わったとして、この企業を制裁対象に指定している。

ロシアは2012年、110億ドルに達した北朝鮮の債務の9割を免除している。また、ルーマニアは2002年、現物支給にする条件で北朝鮮の債務を免除したが、履行されていない。

北朝鮮は1971年から6カ年計画をスタートさせ、産業振興、輸出増大のために外国からの輸入を増やしたが、目論見どおりに行かずに1976年にはデフォルト(債務不履行)状態に陥ってしまった。その当時の負債は、未だもって返済されていない。

北朝鮮は1974年にスウェーデンからボルボ社製の4ドアセダンの144を1000台を7340万ドル(約20億円)で購入した。しかし、一銭も返済されないうちに、利子が膨らみ2016年12月現在では3億3000万ドル(約375億円)に達している。この時に輸入された車は現在、北朝鮮の地方都市でタクシーとして利用されている。