25日、韓国の中年タクシー運転手が乗客の忘れ物を盗んだ事件について韓国・聯合ニュースが報じたところ、韓国ネットから容疑者に同情の声が集まっている。写真は韓国のタクシー。

写真拡大

2017年10月25日、韓国の中年タクシー運転手が乗客の忘れ物を盗んだ事件について韓国・聯合ニュースが報じたところ、韓国のネットユーザーらから容疑者に同情の声が集まっている。

タクシー運転手のキム(43)は今月3日夜、乗客が車内に置き忘れたかばんを盗んだ。中には現金25万ウォン(約2万5000円)とともに高価な眼鏡など100万ウォン(約10万円)相当の品が入っていた。

客からの通報を受け電話をしてきた警察官に対し、キムはとっさに「かばんは他のお客さんが持って行ったようだ」とうそをついたのだが、周辺の防犯カメラの記録などから追及を逃れることはできなかった。

しかし、出頭したキムの姿は警察官らを驚かせた。青白い顔、今にも倒れそうな様子は、誰が見ても病人そのものだったからだ。実はキムは「クッシング症候群」と呼ばれる難病を患っており、「あと5年しか生きられない」と考えていたのだという。

賃貸の保証金400万ウォン(約40万円)が全財産というキムは結婚もできず、78歳の母親を養うため、今年8月に病名が分かって以降も13年間続けてきたタクシー運転手を続けるしかなかった。持病による休職期間があったことから月収は80万ウォン(約8万円)。家賃や生活費、薬代だけでもぎりぎりで、8月の入院費300万ウォン(約30万円)はかなりの出費だった。

そんな中、事件当日乗客を送り出したキムは、忘れ物のかばんの中の札束を見て思わず盗みを働いてしまった。

事情を知った被害者は、「罪は憎い」としながらも、被害額の半分ほどにしかならない50万ウォン(約5万円)の示談金で合意し、「処罰を望まない」旨を警察に伝えた。合意には至ったものの、キムが当初容疑を否認したこと、そして「窃盗罪」が「反意思不罰罪(被害者が処罰を希望しない場合、これに反して公訴を提起することができない)」に該当しないことから処罰は避けられないとみられている。

キムは今回のストレスで病状が悪化、今月末で勤めていたタクシー会社をやめる予定だという。

この報道に、韓国のネットユーザーからは「事情が切な過ぎる」「罪は憎んで人は憎まず」「涙が出る。どうか軽い処罰を願う。短くても幸せに暮らせるよう支援してもらいたい」などキムを擁護する声が続出している。

一方で「生活保護対象にならないの?公務員はちゃんと仕事してるの?」と疑問の声も上がっており、韓国社会における不正事件を挙げて「数百億の不正行為をしたやつは執行猶予が付いたり釈放されたりするのに…」「皮肉だね。莫大(ばくだい)なお金を食い尽くしても罪を知らずに豊かに暮らす子孫もいる。世の中、何が正しいのだろう?」「韓国の法は弱者を統制するために存在する」との指摘も寄せられた。

その他にも「助けてあげたい」「どこに連絡すればいいの?」など、キムへの支援を申し出るユーザーもいた。(翻訳・編集/松村)