これまで、LINEのテクニックを3ヶ月にわたり伝授してきた。

これはいわば、マンツーデートに漕ぎつけるための駆け引き。

この難関を突破し、いよいよデートに臨む諸君に捧ぐ『デートの答え合わせ』、開幕である。




航平さんと出会ったのは、知人の紹介だった。

先月誕生日を迎え、私は27歳になった。そろそろ、結婚に焦る年齢だ。

“まだ大丈夫だよ”なんて年上のお姉様たちに言われるが、そんな言葉は当てにならない。

周囲が続々と結婚し、結婚に乗り遅れたらどうしようかと焦っている私からすると、出会いの全てが勝負である。

そんな私に救いの手を差し伸べてくれたのが、同僚のアサミだった。

アサミは結婚して、優雅なセレブライフを満喫していた。外資金融勤めの旦那様は優しい上に経済力もある。まさに理想の夫婦といえよう。

そんなアサミの旦那様に、同期を紹介してもらったのだ。

紹介してもらった航平さんは、アサミの旦那様に劣らぬくらい完璧だった。

航平さんは「はじめまして」と爽やかに挨拶したあと、こう言った。

「…瑠里子ちゃん、脚綺麗だね。」

たしかに私は、脚を褒められることが多い。身長164cm、細身だけれども出るべきところは出ているし、目鼻立ちのはっきりした顔立ちで「美人だ」と言われる。男性からはモテてきた方だ。

「次は二人でご飯に行こうよ。」

航平さんと出会ったその日に、私たちは次のデートの約束をしていた。一度デートに行けば、その気にさせる自信があった。

…そう思っていたのに、どうして今回のデートはうまくいかなかったのだろうか?


顔もスタイルも良い女。彼女が男性を逃したのはなぜ?


Q1:全てが完璧だったはず。ダメなところなんて見当たらないはず


航平さんとのデートは、二週間後だった。

それまでに私はジムに通い、いつもより食生活に気を使い、元々あるくびれが更に強調されるよう、キュッと締まった体作りを目指した。

前日は『YES TOKYO』のコールドプレスジュースで1日過ごしたお陰か、デート当日、肌は驚くほどピカピカだった。

-やっぱり、美肌効果抜群ね。

そう思いながら、非常に調子の良い肌にリキッドファンデーションを塗っていく。仕上げのお粉に至るまで、アイラインやアイブロウも抜かりなく、丁寧に仕上げていく。

顔が完成すると続いては洋服だ。ちょっと奮発して購入した8万もするラップワンピースにルブタンのヌーディーなベージュのパンプス 。

ウエストが細く見える上、胸元が控えめながらも、でも少し強調されるこのワンピースは、最強アイテムだと思っている。

お気に入りの香水をつけ、念入りにボディクリームも塗り、私は航平さんが指定してくれた『鮨 竜介』へと向かった。




「お待たせしました。」

待ち合わせ時間に5分くらい遅れて登場した瞬間、航平さんが眩しそうに私を見つめる。

私は、男性からのこの視線が大好きだ。

毎回、ちょっと気合いを入れて身体のラインが分かる服装をしていると、男性は嬉しそうに私を見つめてくる。

-今日は、どの角度から見られても大丈夫。

お寿司屋さんのちょっと明るめの照明にも耐えられるよう、毛穴のカバーは完璧にしてきた。

「瑠里子ちゃん、今日も完璧だね。」

航平さんに褒められ、嬉しくなってしまう。間違いはないはずだ。

「お鮨、好き?」
「大好きです!」

そんな会話をしながら、デートは非常に良いムードで進んでいた。


完璧だったはずなのに。この後、まさかの一軒目で解散??


Q2:男性が一軒目で解散しようと思った原因はどこにある?


航平さんが一番好きだというお鮨屋さんというだけあり、『鮨 竜介』のお鮨は何を食べても美味しかった。

普段は小食の私でも、ずっと食べ続けていられるかもと思うほど、一握り食べる毎に思わず感嘆の声が漏れる。




それほど美味しいお店だった。

「ここのお鮨、私も大好きです。」

「でしょ?僕も好きなんだよねー。結構通ってるから、もう常連みたいなものかな。」

航平さんの馴染みのお店に連れて行ってもらえたことに、少し嬉しくなる。

常連ということは、店の人とも顔見知りということ。つまり、下手な女性は連れて行かないはずだ。

この時点で、航平さんから見て私は合格ラインに入っているという認識でいいのかしら?

「どうして航平さんは、そんな素敵なのに彼女がいないんですか?」

箸でシャリを掴みながら、素朴な疑問を思わず投げかけてみた。

二人きりで食事をしている最中も、航平さんや優しくて穏やかで、それでいて顔も悪くない。その上、外資金融勤めの高収入ときた。

一体、どうして彼女がいないのか不思議でたまらないのだ。

「何でだろうね?中々“ピン”と来る人がいなかったからかな。」

いなかった、という過去形の表現に、思わずドキドキする。

東京は、出会いで溢れているなんて嘘だと思う。

一部の人は出会いが多いのかもしれないけれど、実際に心ときめくような出会いなんて、数がしれている。

それに婚活人数に対し、市場に出てきている素敵な男女の数が、絶対的に足りていないような気がする。

だからこそ、こんな素敵な航平さんに出会えたことを、神様に感謝せずにはいられなかった。



お店を出て少し歩くと、銀座のネオンが眩しく光っている。

もう一軒誘われることを想定し、先ほどお手洗いで今一度完璧に化粧直しをしてきた。

胸の形もきちんと整え直して、準備は万端だ。一緒に歩き出そうとした時に、突然航平さんが立ち止まった。

「電車で帰る?タクシーで帰る?」

突然の航平さんの発言に、思わず耳を疑う。

-え?まさかのここで解散...?

普通ならば 、二軒目に行ってちょっと体が接近し、良い感じになるのが通常パターンのはずだ。

それなのに、ここで解散とはどういうことなのだろうか?私、デート中に何かしたのだろうか。

「タクシーなら、この界隈拾えないから、新橋の方まで少し歩いた方がいいかも。」

そう言って、航平さんは“じゃあ俺はもう一軒寄ってから帰るね”と笑顔で手を振って去っていった。

時計を見ると、まだ22:30だ。解散するには早すぎる。

一体、何がいけなかったのだろうか...。

賑わう銀座の街に、私は11cmのピンヒールで呆然と一人立ち尽くしていた。

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女性は気づかぬ、男性がデート中に見ていた点とは?:デートの答えあわせ【A】

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Vol.2 :2人きりでの食事・デートの誘いに乗ってきた。=“脈アリ”じゃないの?
Vol.3: 初デートは「19時、駅に待ち合わせで。」このNGポイントはどこ!?