韓良俊・台湾大学名誉教授

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(台北 27日 中央社)日本統治時代に活躍し、台湾の医学史上に最も尊敬される医師の一人、韓石泉の自叙伝「六十回憶」を元に編集した書籍「韓石泉回想録──医師のみた台湾近現代史」が27日、日本で刊行された。息子で編注者の韓良俊・台湾大学名誉教授は29日に台北駐日経済文化代表処台湾文化センター(東京都)で開かれる講演会に登壇し、同書に記された台湾近現代史を読み解く。

韓石泉は1897年、南部・台南に生まれた。台北と熊本で医学を学んだ後、1929年に故郷の台南で韓内科医院を開業。日本統治時代には政治社会運動に参加した。台湾文化協会及び台湾民衆党の重要メンバーで、1923年の治安警察法違反事件(治警事件)で逮捕されたものの、後に無罪となっている。戦後は第1期台湾省参議員として1947年に起きた「二・ 二八事件」の台南における平和的解決に尽力した。同書には抗日運動や戦後政治に参加した経験なども記されている。

良俊氏は先日、台北市内で中央社のインタビューに応じ、講演会を通じて「日本が台湾を植民地支配した歴史を日本人に知ってほしい」と語る。第2次世界大戦中に台南を襲った連合軍による空襲で、石泉氏の長女が死亡し、石泉氏のほぼ全ての財産が失われた。台南が空襲を受けたのは、台湾が日本の植民地だったからだと話す良俊氏。その上で、現在多くの人は「戦争は絶対しない」などと主張するものの、肝心なのは「人はどんな理由で戦争を起こすのという点を考えること」だと強調。「絶対に戦争を起こしてはならない」と訴えた。

講演会「次世代に残す歴史の証言─政治、 医療、家族、信仰、人生『韓石泉回想録─医師のみた台湾近現代史』刊行記念講演会」には良俊氏のほか、台湾政治・近現代史研究の第一人者である若林正丈・早稲田大学政治経済学術院教授、林果顕・台湾政治大学副教授も登壇する。

(楊明珠)