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 「やはり」と言うべきであろう、「完成検査」を「スバルが研修生に30年以上前から任せ」ていた。スズキ、トヨタは問題はなかったと報告している。しかし、どうであろうか?

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 この問題は「社外取締役」を増やす等では解決しない。コーポレート・ガバナンスを強めるだけでも解決しない。「まじめに、丁寧な仕事」を社員にさせるしかない。その方法は現在の多くの取締役陣には想像がつかないだろう。

■新車検査は形骸化しやすい

 「品質保証」で「検査」は「余計な仕事」だ。もともと「検査」しなくても良い「仕事の段取り」が理想だ。生産技術、製造技術で検査が必要となるようでは、「段取りが悪い」としか言いようがない。

 もともと「検査」は余計な仕事だ。製造技術、生産技術が正しければ、検査しなくても合格品のはずだ。そこに「新車検査」が「形骸化」する原因がある。完成検査で「不良」とレッテルを貼れるくらいならば、「形骸化」はしない。

 スバルも新車不良を営業畑で「もみ消し」ていた。それも「富士重工組織がらみ」でもみ消している。何年前からであろうか?おそらくは形式的には、リコールしなければならないのは全車に近いのであろう。

■「屋台(セル生産方式)」で多種少量生産する仕組みでは、完成検査が重要になる

 「ロット検査」との専門用語があるが、それは「ロット生産」しているときに有効な検査方法だ。つまりロット生産しているとき、時折、一定のロットを抜き出して、そのロットの数点を検査してみる。それが不良品であれば、その生産ロット全てを不良品とする。ロットの中に良品が混ざっていても、同じロット内、全てを不良とするのだ。

 しかし、多種少量生産が進んできてロット生産でなくなると、ロットの区別がなくなり、この検査方法は無意味になる。残るは「全数検査」だが、これは「費用(コスト)」が掛かる。まして「仕掛在庫」が1台分に限定されている「多種少量生産」では、「完成検査」状態となる。完成検査は「検査項目」が多く「形骸化」しやすい。車検整備もそうだが、中が分らず、外見だけの検査となり「形骸化」することになる。

 しかし、途中在庫のない組み立てラインであると「組み立て終わった完成検査」しかなく「完成検査」の必要性が増す。「屋台(セル生産)」方式では検査の場面自体が減る。部品の納入検査とするのなら、多種少量生産で「仕掛在庫」を1台分に限定できたのなら「全数検査」が基本となる。

■QCサークルを丁寧に行って「カイゼン」出来る組織にする

 では「完成検査」を「形骸化させない方策」は何であろうか?「まじめに、他者を気遣う心」を養成するしかない。どんなにマニュアル類(図面・作業指図書・「生産指示(看板)」など)が揃っていても「作業員の心」がないと「品質」は上がらない。「カイゼン」し続ける組織の在り方を模索するしかない。

 「QCサークル」を正確に丁寧に続ける組織運用が必須なのだ。「品質は人の心が作るもの」であるので、社員が「まじめに他者を気遣う心」を持ち続けるしかない。すると必然的にQCサークルを続ける組織でなければならないのだ。「カイゼンが改革を阻む」との理論を言う学者、ジャーナリストがいるが、品質管理を実践したことのない人だろう。

 「品質」は「真面目に丁寧に他者を気遣う心の持ち主」を作り出さねばならないのだ。「ずるけること」が「正義」となっている組織では「品質管理」は出来ない。現在の社会風潮では「モラル」が下がっているのが当たり前となっているが、それが製造現場に入り込んでいるのが現実だ。この心持で「品質」は保てない。

■取締役と執行役員を分業している組織では出来ない

 現代、アメリカ流経営組織が流行り、製造業でも取締役は「投資先の選定」に注力し、執行役員が自らのビジネスモデルを意識して「資金効率を考える」役割だ。ファンドの気風そのままで自らのビジネスモデルを意識できていない経営陣が増えている。

 「経営者は現場に立てを実践する必要はない」と考えている経営者は多い。自らのビジネスモデルの「資金効率」を工夫することなく「投資先」を選定する経営方針は「投資家」以外の何物でもない。「経営者は自らのビジネスモデルの資金効率を上げる努力」をするものだ。ビジネスモデルを変えてしまいたければ「投資家」になることだ。

 「ファンドかぶれ」で、「社外取締役」を増やす等しても効果はない。社員が「まじめに丁寧に他者を顧みながら仕事する」ことを勧める組織運用がなされなければ、「品質保証」は出来ない。投資家・経営者が一体となって「自らのビジネスモデル」を知ることから始めることだ。

 「真面目に丁寧に他者を気遣う心の持ち主」に社員を育てたければ、投資家・取締役も先頭に立たねば、社員はついてこない。社内のモラルが落ちているのは、株主・経営者のモラルが落ちているのだ。足元を見よ、と言いたくなる。

 まず、営業現場のユーザーからのクレームを「正確に聞けるのか?」を自らに問うべきだ。不良品が市場に出回っているのに、「ごまかす」のが「正義」としている、経営者が増えた。自らの製品に責任を感じていない。それほど「製造業」は簡単ではないということだ。