スポンサーのヤマザキビスケット社のお菓子を手に撮影に臨む西村。仙台から初の受賞となった。写真:小林健志

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 10月27日、ルヴァンカップニューヒーロー賞が発表され、ベガルタ仙台のFW西村拓真が受賞した。仙台からの選出は初めてとなる。西村には賞金50万円とクリスタルオーナメント、ヤマザキビスケット社製品1年分が贈呈される。この日の仙台の練習後、受賞記者会見が開催された。
 

 西村は富山一高から加入して3年目。今季は3トップのシャドーストライカーを務めている。ルヴァンカップはグループステージからノックアウトステージまでの10試合すべてに出場し、グループステージで1ゴール、ノックアウトステージで1ゴールの計2ゴールを挙げた。とりわけ、Aグループ4節・大宮戦では、目の前の相手DFをドリブルで次々と抜き去ってゴールを決めるなど圧巻の活躍ぶり。ゴールを挙げていない試合も決定機に絡む活躍が多く、豊富な活動量を武器に、攻守で献身的な活躍を見せていた。
 
 仙台は今大会、DF椎橋慧也や、MF佐々木匠(J2徳島に育成型レンタル移籍中)など若手選手の活躍が目立っていたが、最終的に全試合出場し、メディア投票でも1位となった西村が受賞となった。
 
 西村は受賞について「チームの目標である決勝へ行けなかった悔しさの方が大きいのですが、今まで積み重ねてきたものでこの賞をいただけて素直に嬉しいです」と喜びを語った。ひと通り、質疑応答が終わった後、普段はシャイであまり多くを語ることのない西村が「最後に一言良いですか?」と自分から語り始めた。「今回の受賞はこれまでずっと支えてきてくれた人がいますし、チームメイトのおかげでもありますし、成長させてくれた監督やコーチに感謝したいです」と周囲への感謝の言葉を口にした。
 
 渡邉晋監督は西村の受賞について次のように語った。
「自分が彼を成長させたなどという思いはありません。チャンスを与えたとも思っていなくて、チャンスを掴んだのは彼自身です。彼を獲得する際、練習生の時も面白い選手だと強化部には話しましたが、自分が監督じゃなくても獲得していたかもしれません。特に野沢(拓也)などが居残りで一緒にボールを蹴りながら、いろいろ話をしてくれましたし、他にも梁(勇基)やショージ(村上和弘・現マイナビベガルタ仙台レディースコーチ)などへの感謝の気持ちは素直に持っていると思います」
 
 さらに続けて、「僕への感謝は……リップサービスじゃないですか」と笑ったが、西村が先輩選手から様々な助言を受け、それを自身の力にしていったことを明かした。
 
「彼にあったのは『気づき』です。拓真は足りないものやストロングポイントに気づき、成長していきました。気づけない選手は気づけないまま選手生命を終えるのがプロの世界じゃないですか」
 
 日々の練習や先輩たちからの助言から、多くの気づきを得て、Jリーグの舞台で活躍できる選手へと成長した。そうした日々の努力を渡邉監督は讃えていた。「出場機会を得て、新しいいろんな気づきを得た大会だったので、自分の成長につながりました」と西村自身も多くの気づきが成長につながったことを実感していた。
 
 しかし、指揮官はこうも口にしている。「彼に必要なのはゴールです。まだ(リーグ戦)2得点じゃないですか。得点がついてこないと、ただの良い選手、タフな選手で終わります。ここ数試合もビッグチャンスでシュートを外していますので、決めきれる選手になってもらいたいですね」と注文をつけた。
 
 それは西村自身が一番よく分かっている。
「まだ成長して結果で周囲に恩返しする力が足りていません。どんどん成長して皆さんに恩返ししたいですし、もっと上を目指して頑張りたいと思います」
 FWだからこそゴールという結果が必要だ。
 
 今回のニューヒーロー賞は、仙台サポーターにとっては、おおむね納得の受賞だろうが、全国のサッカーファンは初めて名前を聞いた人も多いことだろう。今回の受賞を通過点にして、さらに飛躍し、インパクトのある活躍を見せていかなければならない。
 
「ノックアウトステージは緊張感があって、初めての経験でした。この賞をいただいて欲が出てきました。今度はタイトルを獲りたいです」と力強く語った西村。来季こそ多くのゴールを挙げて、仙台を初タイトルへ導きたい。
 
取材・文:小林健志(フリーライター)