9月に発表された新型「日産リーフ」。(写真: 日産自動車の発表資料より)

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 日産自動車は25日、日系自動車メーカーとして初めて、2018年末開幕の第5シーズンから「FIA フォーミュラE選手権」に参戦すると発表した。電気自動車の最高峰レースである。マーケティング的には、新型リーフ登場と同時期に参戦ということだったら盛り上がったと思うのだが、そこが日産らしいところだろう。

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 とにかく、自動車メーカーにとってモータースポーツというのは先進的技術の研究開発の場、「走る実験室」である。これは、ホンダ創業者の故本田宗一郎氏の言葉であった。日産は日系メーカーの「EV先駆者」として、新技術に磨きをかけるべく注力していく場であろうと思う。

 市販車においても、世界はガソリン車からEVへシフトの波が押し寄せていることで、自動車業界を中心に混沌としている。2014年から始まったばかりの電気自動車のレース「フォーミュラE」でも、その走行距離はやっと100キロを超える程度(F1は305キロ)。つまりはバッテリーがもたないからで、その短い距離を走行するにも途中で充電済みの車に換えるという、F1とは似て非なるレースである。(もちろん大容量のバッテリーを積めばその必要はないのだが、そこはスピード競争。重いバッテリーは足かせになる。)電費のために、最高出力も抑えている状況である。発展途上なのだ。

 2016年にWRC(世界ラリー選手権)から撤退したアウディ、2017年にWEC(世界耐久選手権)から撤退したポルシェ、DTM(ドイツツーリングカー選手権)から撤退したメルセデスベンツ、そしてBMWもフォーミュラEに参戦。撤退は、排ガス不正による莫大な保証金問題からということもあるが、各メーカーがEVに力を集中していくことには変わりがない。

 ヨーロッパメーカーのEVシフトは、排ガス不正を乗り越えるため、HVを早く乗り越えて政策的に日本車を抑え込みたい狙いがあることをわきまえていなければならない。「カイゼン」の動きが恐ろしいのだ。日産自動車は日本車のメーカーの中ではEVに掛ける意気込みが違うが、このほどの新検査車不正をまずかたずけることだ。中国は日欧米の自動車産業に追いつく狙いがある。

 フォーミュラEには新興のEVメーカーも参戦している。そこに、日系メーカーとして日産も加わるのだ。EVシフトは単なる技術革新ではなく、地球温暖化を止めるための人間の知恵のはずである。本末転倒にならないよう、開発競争に勤しんでほしいものだ。『学問なり技術があるということは立派なことにはちがいないが、それを人間のために有効に使って始めて、すぐれた人間だということができるのだと思う』とは、やはり故本田宗一郎氏の言葉である。