巨人から3位で指名を受けたNTT西日本・大城卓三(C)KYODO NEWS IMAGES

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◆ まさかの大量指名

 10月26日、2017年のプロ野球ドラフト会議が終了した。

 注目を集めた早実・清宮幸太郎は7球団競合の末に日本ハムが交渉権を獲得。そのほかにも『東の清宮・西の安田』と称された履正社の安田尚憲は同じパ・リーグのロッテへ、この夏の甲子園を大いに沸かせた広陵・中村奨成は地元・広島へ…と球界の未来を背負う選手たちの進路が決まった。

 指名を待つ候補同様、ファンも期待と不安を胸に会議を迎える。贔屓チームがどんな選手を獲得するのか、はたまた好きな選手がどの球団に行くのか…。ファンも一喜一憂しながら経過を見守っていく。

 そんな中で話題になったのが、巨人のドラフトである。育成を含めると下記の16名を指名したのだが、その数は12球団最多だ。

【巨人・指名選手一覧】

1位 鍬原拓也(投手/中央大)

2位 岸田行倫(捕手/大阪ガス)

3位 大城卓三(捕手/NTT西日本)

4位 北村拓己(内野手/亜大)

5位 田中俊太(内野手/日立製作所)

6位 若林晃弘(内野手/JX-ENEOS)

7位 村上海斗(外野手/奈良学園大)

8位 湯浅大(内野手/健大高崎高)

<育成>

1位 比嘉賢伸(内野手/盛岡大付高)

2位 山上信吾(投手/常磐高)

3位 笠井駿(外野手/東北福祉大)

4位 田中優大(投手/羽黒高)

5位 広畑塁(捕手/立正大)

6位 小山翔平(捕手/関大)

7位 折下光輝(内野手/新野高)

8位 荒井颯太(外野手/関根学園高)

 その数もさることながら、支配下ドラフトは8名中7名が野手という極端な指名に。しかも2位と3位がいずれも捕手であり、育成も含めると1度のドラフトで一気に4名の捕手を指名したことになる。これには巨人ファン以外からも驚きの声が多く挙がった。

◆ 捕手11人体制…!?

 巨人といえば、WBCでも侍ジャパンの正捕手として活躍した小林誠司が今季138試合に出場。終盤には打力をウリにする宇佐見真吾が良い活躍を見せたこともあり、捕手が補強ポイントになるという見立てをしていた人はかなり少なかったことだろう。

 今回のドラフトの結果を踏まえ、もしこのまま全員の入団が実現したとすると、来季の巨人の捕手は総勢11名という異例の大所帯となる。巨人の捕手を年齢別に見てみよう。

【巨人・捕手一覧】

36歳:実松一成

27歳:小林誠司

26歳:河野元貴

25歳:松崎啄也

25歳:田中貴也

24歳:宇佐見真吾

24歳:大城卓三(☆)

22歳:高山竜太朗 ※育成枠

22歳:広畑 塁(☆)※育成枠

21歳:小山翔平(☆)※育成枠

21歳:岸田行倫(☆)

 たしかに最年長の相川亮二が現役を引退し、戦力外通告第1次期間に鬼屋敷正人を自由契約としたが、それにしても4名の獲得は“まさか”だった。

 それも獲得したのは大学・社会人と経て宇佐見と同い年の大城と高卒社会人の岸田、そして大卒の広畑と小山という年齢の近い4名。1巡目の再入札で九州学院の村上宗隆を外したとはいえ、高校生ではなく年の近いところを固めて獲ったという点も気になるところだ。

◆ 球団の本気ととるか、迷走ととるか

 考えられることとしては、まずは選手間の競争意識を高めるというのが第一。正捕手・小林誠司も入団4年で400試合に出場を果たしたとは言え、打撃面での物足りなさは否めない。もう一段、二段階のレベルアップを煽るうえでも、ライバルは多い方がいい。

 ほかには、コンバートという可能性も。特に代打がメインながらも打率.350(40-14)、4本塁打を放った宇佐見の打力は魅力であり、より打撃を活かすために他のポジションを…ということは大いに考えられる。

 また、3位指名のNTT西日本・大城もバッティングがウリの選手。すぐにとは言わずとも、将来的にはコンバートすることも頭の片隅に置きながら、競争を加速させるために多めに確保したという見方はできる。

 いずれにしても、「はやくチームの顔となる扇の要を育てなければ」という球団の強い意志がにじみ出たドラフトになったことは間違いない。これから始まる巨人の“捕手戦争”に注目だ。