お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指す【脱貧困診断】。今回の相談は、庄司ゆかこさん(仮名・PR会社勤務・35歳)からの質問です。

「35歳、東京都在住の会社員です。現在、妊娠6週目です。結婚するかどうかはまだ決めていないのですが、子供をもてるのはこれが最後のチャンスかもしれないので、出産を前向きに考えています。

現状の仕事は残業が多く、出産後に同じ仕事ができるかはわかりません。結婚できない場合には、転職あるいはフリーランスになることも考えています。そこで質問です。

出産までの費用はどのくらいを考えておけばよいでしょうか。とりあえず、出産までの費用として100万円くらいを考えているのですが、足りますでしょうか。また、公的援助を受ける場合の資格や方法もネットで調べてもわからないことが多く、教えていただきたいです」

早速、森井じゅんさんに聞いてみましょう。

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妊娠検診は健康保険適用外でおよそ15万円かかる

妊婦さんは、妊娠がわかったら妊婦健診を受けるように指導されます。

妊婦健診とは、妊婦さんとお腹の中の赤ちゃんの健康状態や成長、変化などを定期的に確認するもの。妊娠中の食事や生活についてのアドバイスを受ける事ができ、不安や悩みを相談できます。

妊娠・出産は病気や治療でないため、基本的に妊婦健診は健康保険の適用外です。

厚生労働省は、妊婦健診について妊娠初期で4週間に1回、中期から後期にかけては2週間に1回、1週間に1回と、出産に向けて受診間隔が短くなるモデルを標準例として提示しています。

このスケジュールから、標準的な妊婦健診は妊娠中14回となります。

健診内容により費用はさまざまで、基本的な健診では数千円、血液検査やそのほかの検査により数万円となることも。また、医療機関によっても違いがあり、費用も大きく変わってきます。標準的な14回の健診で15万円はみておきたいです。

妊婦検診の助成制度を利用した場合は5万円〜10万円が自己負担に

ここで助かるのが妊婦健診の助成制度です。自治体によって、助成金額の上限や回数、助成が受けられる検査内容が異なるため、お住まいの市区町村にしっかり確認しましょう。

助成を受けるためには、受診票が必要です。

通常、妊娠の診断を受けたあと、市区町村に妊娠届を提出することになります。そのあと、母子手帳と共に妊婦健診の受診票やその他検査の受診票を受け取ることができます。

この受診票をもって健診を受けることで、助成を受けることができるのです。

こうした助成制度を使うことにより、自治体で決められた上限を超えた部分のみを本人が負担することになります。健診費用や助成金額により自己負担額は様々ですが、少なくとも5万円から10万円は準備しておきたいところ。

ホームページで妊婦健診の料金を載せているところもありますが、実際に問い合わせてみないと分からないことも多いです。

また、主治医や医療機関によって保険外の検査等についての判断や方針にも違いがあり、費用も大きく変わってきます。妊娠期間を通じて数万円以上の違いがでることもあります。しっかり相談して、検査等の方針に納得できるところ、安心できるところを選びましょう。

標準回数を超える妊婦検診は自費になる

自治体により異なるものの、妊婦健診の助成回数は標準の14回です。

何らかの事情で標準回数を超える健診を受ければ、自費で健診を受けることになります。

標準的なスケジュール通りの間隔で健診を受けていても、たとえば、予定日を超過すれば自費で健診を受けなくてはならないということも起こります。そういった可能性も考えて数万円は余裕をもって準備しておきたいですね。

また、健診を受ける医療機関までの交通費も考えておいてください。自宅や勤務先から歩いて行けるところなのか、遠距離のタクシーになってしまうかで大きな違いが出ます。

妊婦検診に健康保険が適用される場合とは?

妊婦健診は基本的に保険適用外です。しかし、妊娠中や出産時に病気やトラブルが生じた場合には健康保険が適用されます。つわりがひどい場合などでも、健康保険の適用になる可能性があります。

また、ひと月の医療費の自己負担額が一定以上を超えた場合には、高額療養費として払い戻しを受けられることもあります。さらに、自己負担分について医療費控除を受けることも可能です。

いずれにしても、領収書等はしっかりと保管しておきましょう。

出産費用を軽減できる? 助産制度とは

助産制度とは、経済的な理由などにより、病院などで出産できない方を対象に、指定施設での出産費用を助成する制度です。

通常、助産制度の対象となるのは、生活保護世帯や住民税非課税世帯などの経済的に難しい理由がある方です。

非課税世帯でなくても、例えば東京都在住であれば、前年度の所得税負担が8400円以下の場合、かつ健康保険から出産一時金が受け取れない場合には対象になる可能性があります。

出産一時金って何?誰でももらえるものなの?

出産一時金は、出産など保険対象外となる費用について、健康保険から補助が受けられる制度です。

基本的に1児につき42万円。ざっくりと言えば、出産費用が出産育児一時金の42万円未満であれば、差額が振り込みされます。

42万円を超えた場合には、一般的には超過分を医療機関へ実費で支払いをします。

加入している健康保険組合によっては、付加金を独自に給付するケースもありますので、確認しておくとよいでしょう。

相談者さんは、出産一時金を貰えないケースもご心配されているようですね。保険料などを滞納している場合には、出産一時金がもらえないケースや滞納した保険料に充当されるケースもありますが、相談者さんは会社員とのことですので、健康保険料はお給料から天引きになっていると思います。問題ないでしょう。

また、相談者さんが会社に籍を置いたまま出産となれば、会社を通じて加入している健康保険組合から支払われることになるでしょう。

もし、出産で退職した場合には、会社の健康保険に加入していた期間が継続して1年以上あって辞めてから6か月以内の出産であれば、自身の健康保険から申請し、受け取ることができます。または、退職後に国民健康保険に加入し、自治体から一時金を受け取ることも可能です。

最近は「直接支払制度」や「受取代理制度」といった受け取り方法が主流で、健康保険から出産した医療機関へ42万円が直接支払われる形が多いです。この場合には、退院時に差額の精算をするだけという仕組みになっています。

また「産後申請方式」といって、退院時にいったん全額支払い、あとから健康保険に申請してお金を振り込んでもらい受け取ることもできます。 

「出産・入院費用で100万円貯金」で大丈夫?

出産費用は一時金の範囲内で収まることもありますし、個室や追加サービスがあれば100万円を超える出産も可能と、医療機関やサービスによって大きく変わってきます。

さまざまなケースで、いくらかかるかということをしっかり確認してください。

しかし、妊娠してから出産するまでには、上でお話した妊婦健診や出産費用の他にも出産準備にお金がかかります。

出産準備は、マタニティーグッズやベビー用品など様々です。マタニティー・ベビー用品の専門店などに行くと売り場の大きさ、商品のバラエティーに驚かされます。

もちろん、すべての商品を買う必要はありません。実際にご自身に必要なものがわかるのは、ご自身だけ。とくにベビーカーやベビーバスなど、「買って使わなかった」というケースも少なくありません。

赤ちゃん用の下着や紙おむつ、おしりふきといった最低限を用意し、必要になった時点で買い足していけばいい、という心の余裕も必要です。

まとめると、妊婦健診では助成を超えた実費負担額、出産費用は出産一時金を超えた実費負担、出産準備費用は自分次第です。この合計が出産までに必要な実費で、数万円におさまることもあります。

お話してきたように、妊婦健診も出産費用も医療機関によって大きく異なり、お金をかけようと思えばいくらでもかけることができます。しかし、自分で必要なものをしっかり取捨選択し、随時必要な手続きをしっかりしていけば、100万円で子供が産めないということはないでしょう。

いずれにしても、出産は終わりではなくはじまりです。お金がかかるのは子どもが生まれてから。妊婦健診にしても出産一時金にしても、遅れるとうまく利用できなかったり、一時的に立替が必要だったりします。分からないことは、早め早めに役所や医療機関でしっかりと確認しましょう。 

35歳を超えると、高齢出産と言われる。子供をもてるチャンスを逃したくない、けど、でも……と迷いがち。その中でも最大のネックとなるのがマネー。



■賢人のまとめ
自分で必要なものをしっかり取捨選択し、随時必要な手続きをしっかりしていけば、100万円で子供が産めないということはないでしょう。しかし、出産は終わりではなくはじまりです。お金がかかるのは、むしろ生まれてからです。分からないことは、早め早めに役所や医療機関でしっかりと確認しましょう。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。