データ偽装が相次ぐ(株)神戸製鋼所(TSR企業コード:660018152、兵庫県、東証1部)は10月26日、都内で記者会見を開いた。会見には報道関係者100名以上が出席。配布資料が間に合わず、開始予定時間に5分ほど遅れた15時5分に始まった。


会見する川崎代表取締役会長兼社長(中央)

子会社がJIS認証の取り消し

 会見には、川崎博也代表取締役会長兼社長ら経営幹部3名が出席した。川崎会長兼社長は会見の冒頭、一連の問題を謝罪した。
 会見で川崎会長兼社長は、26日付で子会社の(株)コベルコマテリアル銅管(TSR企業コード:296142646、東京都)の一部製品がJIS(日本工業規格)認証の取り消し通知を一般社団法人日本品質保証機構(JQA)から受けたことを報告した。神戸製鋼所はこれまで法令違反はないとの立場をとっていた。
 コベルコマテリアル銅管の秦野工場(神奈川県)は、銅及び銅合金の継目無管で引張強度などの書き換えを行っていた。大半の書き換えはJIS規格の範囲内だったが、JQAは品質マネジメントの不備を重視した。また、数件でJIS規格外品のデータを書き換え規格品として出荷していたケースもあった。

新たなデータ偽装の発覚

 会見では、新たな偽装も公表された。神戸製鋼所機械事業部門コーティングサービスは、測定機械の変更に伴う測定値の差異を書き換えていた。また、神鋼造機(株)(TSR企業コード:471005967、岐阜県)は、鋳物製品の検査データをねつ造し、減速機で寸法の測定作業を間引いていた。
 さらに、(株)コベルコ科研(TSR企業コード:660345820、兵庫県)のターゲット事業本部は、サンプル品の分析結果を書き換えていた。この他にも、偽装行為の有無について確認が必要な事案が1件発生したという。これは海外事業会社の建築用途の製品としているが、具体的な会社名や出荷重量などは明らかにしなかった。

データ偽装品の安全性確認の進捗状況

 JIS認証の取り消しと新たなデータ偽装に合わせ、これまで公表した偽装事案の安全性確認の進捗状況が報告された。偽装製品の出荷先数は延べ525社で、このうち437社で安全が確認されたという(表参照)。ただ、出荷先が安全と確認した(当面は問題ないとの判断含む)のは320社で、117社は神戸製鋼所が「安全確度が高いと判断」したもの。
 88社は安全確認が現時点で取れていない。川崎会長兼社長は「88社のうち海外企業は26社」と述べ、海外企業での検証が進んでいないことを明らかにした。関係筋によると、偽装品の出荷先525社のうち、海外企業は200社という。また、安全性が確認された437社のうち、海外企業は174社としている。
 今回のデータ偽装に関する海外企業の態度はあまり明らかになっていない。今後、海外企業から損害賠償や検証費用負担を求められる可能性もあり、出荷先の海外企業の出方も焦点になりそうだ。

受注、業績への影響

 JIS認証取り消しを受け、コベルコマテリアル銅管は、取り消されたJISマーク製品は販売を出来なくなる。当該製品は、コベルコマテリアル銅管の2016年度販売重量約5万6,000tのうち、約2万4,000tと約43%を占めている。出荷先はJIS規格相当での納入を認める場合もあり、甘い見立てではすべてが失注となるわけではないが、販売現場への影響は避けられないだろう。
 神戸製鋼所は10月30日に2018年3月期第2四半期の決算発表を予定している。川崎会長兼社長は「業績への影響は今の時点では見通せない」と述べるにとどまった。関係筋によると、「現時点(27日午前9時半)で会見は予定通り行う方針」で、30日15時半から会見も予定されている。


 10月8日にデータ偽装の公表以降、次々と偽装が発覚している。会見で銅板の安全性確認の進捗が遅れている事を問われると「半導体の内部製品や基盤端子に使われており、サプライチェーンが特殊、複雑なので進捗率が低い」と答えた。
 神戸製鋼所のデータ偽装の最大の問題点は、素材として使用された場合、その安全性が目に見えないことだ。仮に、海外からの損害賠償や訴訟に発展すると神戸製鋼所だけでなく取引のある商社、部材メーカーまで巻き添えにされる可能性もある。社会インフラを担う素材メーカーの責任で、納入先の社名、数量などは秘匿せず、積極的に開示すべきだろう。
 東京商工リサーチの調査では、神戸製鋼所グループの1次販売先は国内に2,376社、2字販売先は9,090社に及ぶ。神戸製鋼所の出荷製品は取引先の加工を経て、飛行機、自動車や鉄道など、幅広く使用されている。

 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年10月30日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

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