豪副首相の議員資格、無効に 二重国籍で豪高裁

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オーストラリアの高等裁判所は27日、 二重国籍を保持していたバーナビー・ジョイス副首相ら議員5人について、選挙での当選は無効だと判決を下した。

この高裁判断により、ジョイス副首相を含む3人の議員資格が向こうとなる。他の2人はすでに7月に議員を辞職している。

ジョイス副首相は判決の直後、「裁判所の判決を尊重する」と話した。「わたしたちは、抑制と均衡により自由を享受できる、素晴らしい民主国家で生活している。審理を行った裁判所に感謝する」

オーストラリア憲法は、二重国籍保持者の選挙で公職に就くことを禁止している。

これまでわずか1議席差で過半数を得ていた与党は、ジョイス議員の失職により過半数を失う。ただしジョイス氏は補欠選挙で再選される可能性がある。

ジョイス副首相は8月の時点でニュージーランド国籍を放棄していた。下院での返り咲きを目指すと約束した。

二重国籍が問題となった他の議員4人(フィオナ・ナッシュ、マルコム・ロバーツ、ラリッサ・ウォーターズ、スコット・ラドラム各氏)はいずれも、上院に当選していた 。ナッシュ議員は与党、他の3議員は野党所属。

政治家と裁判所の言い分は

3日間の公判で政府は高裁に対し、ロバーツ議員とラドラム議員のみ議員資格を失うべきで、ほかの議員は昨年選挙で当選した際、自分たちの二重国籍について知らなかったと主張した。

ロバーツ議員は、自分は国籍を放棄しようとしたと主張。一連の問題をめぐり、すでに辞職しているラドラム議員とウォーターズ議員は釈明せず、7人全員の議員資格を無効にすべきだと主張した。

これに対して裁判所は、オーストラリア憲法第44条1項にのっとり、5人の政治家は「外国勢力の臣民または国民」であるため不適格との判決を下した。

二重国籍が問題となったほかの上院議員2人については、先祖の国籍を受け継いだとはみなされない、あるいは親から受け継いだ外国籍による権利を享受していないなど、憲法の二重国籍の定義に該当しないため、当選は有効と判断された。

一連の二重国籍問題は7月以来、オーストラリア政界で大きな話題になっており、何十人もの議員が自分の国籍をあらためて公表した。

政府はどうなる?

ジョイス氏が議員資格を失ったため、マルコム・ターンブル首相の政権与党は下院(定数150)で75議席となり、過半数を失い。つまり、ターンブル首相は少数与党による政府の首班ということになる。

ターンブル首相は、裁判所の判断は残念だが、それでも野党第一党・労働党の69議席よりは政府の議席は6議席多いと強調した。

12月2日の補欠選挙でジョイス氏が勝てば、ターンブル氏は再び76議席を回復できる。すでにニュージーランド国籍を放棄したジョイス氏はオーストラリア国籍のみとなったため、出馬する資格がある。

少数党政府が法案を下院で可決させるには、無所属議員や小規模政党の支持が必要となる。

また、ジョイス議員とナッシュ議員が閣僚だったため、内閣改造も必要だ。

野党・労働党は、両議員が閣僚として決定した数々の政策事項の有効性は、「法的に疑わしい」と批判。異議を申し立てる可能性を検討する姿勢だ。

(英語記事 Australia's deputy PM disqualified