衆院選での自民党大勝を受け、中国メディアは安倍首相が憲法改正に踏み出すかに強い関心を示している。改憲を警戒する論調が目立つが、自衛隊を明記するだけなら、「許容範囲内」とみていることもうかがわせている。資料写真。

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2017年10月27日、衆院選で自民党が大勝したことを受け、中国メディアは安倍晋三首相が憲法改正に踏み出すかに強い関心を示している。改憲が現実味を帯びたとして警戒する論調が目立つ一方、第9条に自衛隊を明記するだけなら、中国にとって「許容範囲内」とみていることもうかがわせている。

改憲について、安倍首相は投開票日翌日の記者会見で、改憲に意欲を見せながらも、「スケジュールありきではない」と強調。「幅広い合意を形成するよう努力を重ねる」とも付け加えた。

中国網は改憲動向について、「安倍首相の政権運営の初心であり、勝利後の勢いに乗り改憲を加速させることは間違いない」との国際問題専門家の見方を報道。「野党の希望の党、日本維新の会は平和憲法第9条をめぐる問題で自民党よりも右寄りの姿勢を示している。与野党の改憲勢力が将来的に力を合わせれば、改憲の悪夢が浮上する」と伝えた。

同時に「改憲は国会を通過しても、最終的には国民というハードルを飛び越えなければならない。日本国民は完全に改憲を支持しているわけではない」とも強調。「日本国民は国民生活の問題により強い関心を寄せている。日本経済は表面的に好転しているように見えるが、国民に実感はなく消費の意欲が低迷している。安倍首相が改憲問題に足を踏み入れすぎ、国民生活をないがしろにすれば、国民の反感を買うことになる」と分析している。

中国共産党中央委員会機関紙・人民日報系の環球時報の電子版は衆院選の結果について、中国国内の専門家2人の見解を紹介する記事を掲載。「改憲は安倍首相が5月に発表したスケジュール通りに進むはずだ。もし日本が平和憲法を放棄し、交戦権を得るような実質的な改憲を実現したなら、アジアや世界の安全構図は根本的に変化し、地域の軍備競争を誘発することになるだろう」と非難した。

しかし、「現時点でその道のりはなおも遠く、実現するかどうかを現時点で判断するのは難しい」と説明。さらに「自衛隊を憲法に記載するという点だけをとれば、アジアの安全に対する影響は限定的であり、2014年の集団的自衛権解禁ほどの影響は持たないだろう」 と論評した。

安倍首相は5月3日の憲法記念日に寄せたビデオメッセージで、「戦争の放棄」を定めた9条1項と「戦力不保持」「交戦権の放棄」をうたった2項を維持した上で3項などに自衛隊の存在を明記する案を示した。この「加憲案」は改憲、護憲派双方から批判されているが、環球時報の記事は、中国がこれなら特に問題視しないとしていると受け止めることもでき、注目されそうだ。(編集/日向)