<千島列島でロシア海軍の基地建設計画が進んでいる。アジア太平洋地域の情勢緊迫化に対応して、ロシアのプレゼンスを高めるためだ>

日本が返還を求めている北方領土を含む千島列島(ロシア語でクリル諸島)で、ロシア海軍が新たに基地建設の計画を進めていることが明らかになった。

ロシア上院国防委員会のフランツ・クリンツェビッチ副委員長は今週26日、ロシアのインタファクス通信に「(建設は)決定事項だ。実現化のステージにある」と語った。さらに今後は基地の構造に関する「組織上の問題」が残っていることも語った。

千島列島はロシア東部のカムチャツカ半島から日本の北海道東部沿岸まで連なる島々。その南端の四島(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)はロシアが実効支配しているが、日本が返還を求めている北方領土だ。

クリンツェビッチは、北方領土に関して日本とロシアの交渉が行き詰まっていることを考慮し、千島列島のどの島で基地が建設されるかという重要な点は明言しなかった。

北方領土は第2次大戦の末期、日本がポツダム宣言を受諾した後に旧ソ連の赤軍によって占拠された。住民は即座に退去させられ、日本の返還要求にもかかわらず現在までロシアの実効支配が続いている。

このため日本とロシアはいまだに平和条約を締結していないが、プーチン大統領と安倍晋三首相はともに条約締結に向けて交渉を進める意欲を示している。

国後、択捉にも軍事施設

両国間では表向き友好的に交渉が続いているようだが、その実ロシアは千島列島での軍事力を誇示している。今年8月にも千島列島で2500人規模の兵力が参加する軍事演習が実施されたが、将来はこれと同規模の部隊が駐留するものと見られている。

ロシア国防省は昨年、同省運営のテレビ放送「ズベズダ」を通じ、千島列島中部のマトゥア島で港湾施設を改修するほか、使われなくなった滑走路の再整備など軍事インフラを強化する可能性を探っていることを明らかにした。

またショイグ国防相は2015年、ロシア軍が「択捉島と国後島で軍事施設の建設を活発に行っている」と語った。しかしロシア海軍の太平洋地域の拠点は依然としてロシア本土のウラジオストクに残されている。

近年、北朝鮮の核開発危機や中国の南シナ海進出をめぐる周辺国との緊張が高まる中で、ロシアも太平洋沿岸国としてアジア情勢に関与する姿勢を打ち出しつつある。

今月ロシアはインドとの陸海空の3軍合同演習「インドラ2017」を初めて実施したほか、ロシア海軍の対潜駆逐艦2隻を4カ月間の太平洋の航海演習に派遣して、アジア地域での軍事力を誇示している。

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ダミアン・シャルコフ