主演の鴻鳥サクラを演じる綾野剛/撮影=諸井純二

写真拡大

前作から2年を経てシーズン2が始まった「コウノドリ」(TBS系)。周産期医療センターを舞台に、産科医・新生児科医の面々が命と向き合う姿を真摯に描くヒューマン医療ドラマだ。リレー連載の第1回は、主演の産科医・鴻鳥サクラを演じる綾野剛。本作にかける熱い思いや見どころをたっぷり語ってもらった。

【写真を見る】「共演者とは戦友になっている」を語る綾野剛/撮影=諸井純二

■ スタッフの「前作を超える」という執念を熱量に変えて

――綾野さんは前作が終わって数カ月後に続編のお話を聞いたそうですが、いよいよシーズン2が始まって、今はどんなお気持ちですか?

前作の打ち上げの段階から続編をやるという空気があったので、実際に決まったときは驚きはなく、感謝しました。「コウノドリ」はドラマなのにも関わらず、とことんノンフィクションを貫いて見せていく。真実と向き合っていかなきゃいけないというのは、ものすごく体力を使うんです。前作はみんな初めて役と出会って、初めての物語に出会って進んでいくので、体力的にも精神的にも特に大変でした。その大変さをわかった上で続編に臨んでいるわけですが、各キャストが、あまりに命に密接に関わっていることによって、どうしても心と体が乖離していく瞬間があるんです。自分たちを壊さないために、全体は土井(裕泰)監督や各話の監督に支えていただき、俳優部は自分たちで少しでも気付きあっていこうと。前作の新井先生みたいにバーンアウトしないように作っていかないといけないなという思いでやっています。

――第1話、サクラ先生が島で働いているシーンから始まりましたね。その理由は今後明かされると思いますが、綾野さんは台本を読んでどう思われましたか?

なぜサクラ先生が島で勤務していたのか、この2年に何があったのかが1〜3話で描かれています。医者のパーソナルな部分が描かれるのは、いいと思います。でもその一方で、患者や赤ちゃんは待ってくれない。圧倒的な“生=LIVE”に僕たちは直面していかなきゃいけないわけです。そして今回は、赤ちゃんが生まれてからの現実、きれいことでは済まない現実を惜しみなくしっかり描いていきます。そんな続編の台本を読んで、全スタッフの「前作を超える」という執念を感じました。僕たちはそれを熱量に変えて、現場で闘っています。

■ 僕がどんなに頑張っても、赤ちゃんのお芝居にはかなわない

――2年ぶりに共演者のみなさんと現場に入ってみて、いかがですか?

みんな、戦友になっているんです。前作で一緒に真実に向き合って乗り越えたからだと思います。共に戦い抜いていく仲間たちなので、安心感しかないです。ずっとみんなで連絡を取り合っていましたし、頻繁に会わなくても陰で応援しているような親戚のような感覚で、会ったら会ったで嬉しい。あと、みんな、芝居に対して嘘をつかない。だから楽ですよね。

――これほど多くの赤ちゃんと共演する機会はなかなかないと思います。赤ちゃんを通して、改めて感じたことや気付いたことはありますか?

僕たちは赤ちゃんを“赤さん”と呼んでるんですが、みなさん、非常に芝居が素晴らしいです。僕がこれまで35年間生きてきたことを踏まえてお芝居したところでかなわないです。毎回新しい赤ちゃんが来てくれていますが、泣いてほしいときに泣いてくれるし、おとなしくしてほしいときはおとなしくしてくれるし。現場のムードを赤ちゃんが感じ取ってくれるというのを僕たちは信じていて、ちゃんと向き合いますよという姿勢が届くようになったんだな、と。僕たちの力も前作以上についてるんだなと実感しました。そして、1話で登場したナオトくん。前作にも出て頂いていますが、明日にはどうなるかわからない状況でたくましく生きてくれていて、今回も出演していただいたんです。こういうところに僕たちは命を感じます。僕たちにとって命は希望で豊かなこと。それを赤ちゃんに教わる。前作では体感できなかったことです。1話のナオトくんに会ったことが僕たちの背中を押してくれていると思います。翼をいただいた感じですね。

■ 「陸王」「監獄のお姫さま」にも個人的に注目しています

――スタッフ・キャストが一丸となって、現場に熱量があって、とてもいい雰囲気で撮影が進んでいるようですね。

患者さん役の出演者の皆さんは僕たち以上にすごいパワーで来るんです。患者さんと僕たちを繋ぐのが、誕生する赤ちゃんですから、ものすごい熱量です。熱量といえば、今期のTBSのドラマ「陸王」も「監獄のお姫さま」もものすごく個人的に注目しているんですが、3作品のタイプは違いますけど全て熱量があると思います。その熱量の見せ方が三者とも違って、僕たちは心を貫く熱量じゃなくて、心に留まる熱量にしなきゃいけない。それが最大目標に掲げていることです。

――最後に、今後の展開について、お話しできる範囲で教えてください。

1〜4話は、産後うつなど現代の社会において大きな問題になっていることを、ドラマだからといって咀嚼するわけではなく、真正面から向き合って真摯に描いていきます。もちろん患者さんや赤ちゃんの個人の問題、医者のパーソナルな部分も見せて、まだ撮影していませんが、5話以降は大きく変動します。5話・6話のキーパーソンは下屋先生(松岡茉優)。彼女の人生を大きく変化させる出来事が起きるんです。ペルソナの形やいろんなことが変化して、7話から、ある意味では第2章が始まるのかなと思います。