東京モーターショー2017で最注目の1台として様々な報道がされたトヨタの最高級フォーマルセダン、センチュリー。

宮内庁で皇族の方々もお乗りになる公用車や、総理大臣が乗る政府専用車としての需要もあるという日本屈指のフォーマルセダン、センチュリー。現行はハイブリッドではなかったことから政府専用車の座をレクサスLS600hLに奪われつつありましたが、今回発表された次期センチュリーはハイブリッドとなって登場します。

次期センチュリーは内装もクラウンなどと比べれば、全く次元が違います。足元広々などというレベルではない広大な居住空間に、計算されつくした乗り降りのしやすさ。ドアを開けてセンチュリーに乗り込みシートに座るという一連の動作が、全くストレスを感じることなくできるという、ミニバンまで含めてあらゆるクルマの中で隋一の乗降性を誇ります。

リアのモニターも10インチという大画面。そしてピラーにまでエアコン吹き出し口があるという空調。全てが異次元の装備。

しかしこれらの装備を見てくつろぎの演出などと思ってはいけません。センチュリーというクルマはリアシートのVIPがくつろぐクルマではなく、VIPがなんのストレスも感じることなく移動をするための、くつろぎという表現の数段上の開発思想があるのです。

ところで高級車といえばシートやトリムなど革を使った内装がイメージとしてありますが、今回のモーターショーで展示されたセンチュリーはファブリック、つまり布製シート。毛足の長いウールの手触り、確かに高級感はかなりのものです。

こちらはレクサスの旗艦モデルLS500h。シート表皮やトリムは様々なカラーが選べるカラーオーダーシステムも話題ですが、基本は革。やはり高級車のイメージとしては革シートの方が強い印象を与えます。

ではセンチュリーはなぜ高級車のイメージアイコンとしての革シートではなくウールファブリックのシートを展示したのでしょうか。

その理由を、センチュリーの内装部門システムサプライヤーとして設計の前段階のコンセプトメイクから開発に参加したトヨタ紡織のブースに聞いてみました。ちなみに東京モーターショーのトヨタ紡織ブースはレクサスのシートのカットモデルが目印です。

「センチュリーは初代から宮内庁にも相当数を納入させていただいておりますが、すべてウールファブリック地でご発注いただいております。そういった経緯からの流れもあってウールファブリックのシート地の開発にもかなり力を入れております。つまりウールファブリックのシートはセンチュリーの伝統のひとつなのです」

ちなみにセンチュリーに限らず当時のセルシオや歴代のクラウン、現行のレクサスシリーズを含めて宮内庁に納めるクルマは全てウールファブリックのモケットでの納入となっているとのこと。現行のセンチュリーの初期や当時のセルシオにはシートの表皮にわざわざウールマークまでつけていたそうです。

なお、センチュリーは注文時に設定すれば革シートも選べますが、現行型の受注のほとんどはウールファブリックとのことです。

天皇陛下の御料車であるセンチュリーロイヤルも陛下がお座りになるリアシートはファブリック。そして御公務の都合で天皇陛下もお乗りになることが考えられる次期センチュリーもファブリック仕様がメイン。

つまり、センチュリーの東京モーターショー2017での展示車両は、皇族の方々がお乗りになる宮内庁仕様に準じた最高級仕様が選ばれた、ということなのです。

(写真・文:松永和浩)

 

【東京モーターショー2017】理由はロイヤルユース? 新型センチュリーの展示車が布張りシート仕様だった理由とは?(http://clicccar.com/2017/10/27/525237/)