イベントを通じ関西とイスラエルベンチャーの交流が深まる

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 イスラエルの出先機関「西日本イスラエル貿易事務所」が大阪市内に自前のオフィスを構え、業務を始めて1年余り。自国のベンチャー企業と関西企業の橋渡しに力を入れてきた。イスラエルはライフサイエンス、農業、自動車といった日本企業が成長を見込む分野のベンチャーが数多く起業。日本企業との協業を通じて世界に打って出る狙い。秋波を送られる関西側も、成長分野攻略の手だてとして関心が高まっている。

ベンチャー仲介
 西日本イスラエル貿易事務所は、2015年1月の安倍晋三首相のイスラエル訪問を契機に設置が決まった。原田健所長は関西における活動について「イスラエルベンチャーとの技術連携や投資など、戦略的なパートナーを探したい」と狙いを語る。

 16年11月に生命科学分野のイスラエルベンチャー10社を紹介するテレビ会議を開催。製薬会社、電機や計測器メーカー、投資会社など約50人が参加した。ベンチャーが約10分間、資料と通訳を通じ製品や技術を説明。「イスラエルの技術力を生で知ることができた」(電機メーカー)など好評で、2件の訪問交流が始まった。

活発な訪問交流
 17年1月は農業分野のベンチャー6社のテレビ会議に関西企業が約60人参加し、訪問交流は2件生まれた。6月の自動車分野にはベンチャー6社に約70人が参加。訪問交流は6件と3倍に増え、初めての秘密保持契約(NDA)も2件結ばれた。

 車分野はテレビ会議に参加した6社とは別に新たなベンチャー6社が9月に大阪を訪れ、約100人を前に直接PRした。創業間もない企業への投資を担当する車部品メーカーの関係者は、イスラエルのベンチャーの質の高さに驚き「数社とコネクテッドカー(つながる車)などでコンタクトを取りたい」と喜んだ。

日本側も手応え
 「以前からイスラエル企業に注目していた」という電子部品商社の参加者は「大変面白く今後も参加したい。イスラエルにデモンストレーションを見に行きたい」と目を輝かせた。

 イスラエルでベンチャー支援を手がけるドライブのボアズ・マモ最高経営責任者(CEO)は、「原型を作るのが得意なイスラエルと生産ノウハウや技術力に優れる日本とで連携したい」と来阪。セミナー終了後に「新しいことが起きそう」と満足げな表情を見せた。閉会後も名刺交換が続き、双方に手応えのある会となった。次回は金融とITを掛け合わせ新たなサービスを生み出すフィンテックの分野を予定している。

 イスラエルは強みのベンチャーを先兵に関西企業と連携することで自国の産業振興を目指しており、他国でも企業連携を始める動きもある。海外が関西の企業に目を向け始めた今、どんな“化学反応”を起こせるのか。関西企業もイスラエルのベンチャーの期待に応えることで新たな成長の種をまけそうだ。
(文=大阪編集委員・青木俊次、中野恵美子)