鹿島アントラーズの西大伍【写真:Getty Images】

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鹿島の選手は川崎の結果を気にせず。「自分たちが勝ち続ければ優勝」

 Jリーグもいよいよ終盤戦に突入した。注目が集まる優勝争いは鹿島アントラーズが頭一つ抜け出したかと思われたが、ここにきて2位川崎フロンターレと鹿島の勝ち点差はわずか2にまで縮まる大接戦。白熱している優勝争いは最終節まで優勝の行方がもつれそうな勢いだ。果たしてシーズン終了時にシャーレを掲げているのはどのクラブか。(取材・文:ショーン・キャロル)

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 Jリーグの優勝争いは、1ヶ月前の時点で決着がついたかに見えた。川崎フロンターレがアウェイでのヴィッセル神戸戦で0-0のドローに終わり、鹿島アントラーズは植田直通が92分に決勝点を奪ってガンバ大阪に勝利。首位の鹿島は勝ち点差を8ポイントにまで広げた。

 だが川崎Fはそこから見事な立ち直りを見せ、翌週にはルヴァンカップ決勝の対戦相手でもあるセレッソ大阪との上位対決に5-1で快勝。ベガルタ仙台では5分間で3点を奪う驚異の逆転劇で3-2の勝利を収めた。

 一方の鹿島はサガン鳥栖に0-1で敗れ、ライバルにさらなる勇気を与えてしまう。先週末には川崎Fがサンフレッチェ広島に3-0で快勝したあと、鹿島は横浜F・マリノスとのアウェイゲームを2-3で落とし、残りわずか4試合でのタイトル争いの行方は全く分からなくなった。

 川崎Fとの差は2ポイントにまで縮まっており、これ以上勝ち点を落とすことは許されない。それでも横浜FMと戦い終えた鹿島の選手たちは、敗れはしたが良い試合だったと口にしていた。

「有利なのは僕らだと思います。全て僕らの結果次第なので」と三竿健斗は語る。

「リーグ戦のどの試合も自分たち次第なので、気にしすぎずに勝つことにだけ集中したいです。川崎が全勝しても僕らが全勝すれば優勝なので、あまり気にしすぎる必要はないですよね」

 全ての試合に勝利するというその決意こそが、日産スタジアムでの敗因だったと言えるかもしれない。2点差から追いついて2-2にしたあと、もう少し守備を引き締めることを選んでいれば、終盤にカウンターでやられて全てを失うのではなく、勝ち点を分け合うことができていた可能性もある。

 だが土居聖真は、その選択肢はなかったと主張した。

「勝ち点3以外は考えていませんでした」と土居。

「川崎の結果(を知っていたこと)は関係なく、勝ち続けなければ優勝はできないので。もちろん後から考えれば2-2の方が良かったと言えますけど、3-2で勝っていてもおかしくない試合でした」

「負けた試合はどちらもアウェイですが、アウェイで先制されてしまうのは良くないですね。すごく危険なことです」

西大伍が指摘する、鹿島のアドバンテージ

 三竿も土居の意見に同意し、鹿島が9度目のリーグタイトルを手に入れるためには、自分たちで試合の主導権を握れるようにする必要があるという考えを述べた。

「最初にやられすぎてしまって、全員でそこからやり返す必要がありました」

 6月に大岩剛監督が石井正忠前監督から指揮を引き継いで以来、不動の存在として出場を続けている21歳は語った。

「僕らは先制して点差をつけてから良いプレーができるようなチームだと思います。だからしっかり戦い続けるためには先制点を狙うこと、先制点を取られないようにすることが大事ですね」

「(優勝の)経験がある選手は多いので、今はそういう選手たちが中心になって一致団結する必要があると思います」

 西大伍も同じく、タイトルを獲得してきた実績こそが昨季王者にアドバンテージをもたらすと感じている。

「それは絶対に意味があると思います。毎年優勝争いに加わって、そういうプレッシャーの中で成長してきました。それが(川崎との)差だと言えるかどうかは分からないですけど、僕らには自信があります」

 一方でマリノスは、鹿島を下したことで3位に浮上。首位との差はまだ9ポイント開いているとはいえ、ACL出場権を逃さないためにも、残り試合で勝ち点12を全て手に入れることを狙っていくとダビド・バブンスキーは話していた。

「シーズンの最後まで、残りの試合に全部勝って3位を守れるチャンスは十分にあると思います」とマケドニア代表MFは語る。

「大事なのは自分たち次第だということです。このチャンスを逃すわけにはいかない」

 バルセロナのユース育ちであるバブンスキーは、優勝争いの見通しについて明言は避けた。事実上鹿島と川崎Fのマッチレースであることは認めながらも、2強に向けて棘を含んだ警告を発することも忘れはしなかった。

「どちらもクオリティーの高いチームで、素晴らしい選手たちがいて、素晴らしいスタイルのサッカーをしています。彼らにとっては最終節まですごく面白い接戦になると思います。僕らも後ろにいるので、もし気を抜くようだと……」

 ここからマリノスが優勝したとすれば、Jリーグの25年間の歴史の中でも最大の逆転劇のひとつとなるだろう。だがそうならなくとも、J1王座の争いは今回も最後までもつれ込むことになりそうだ。

(取材・文:ショーン・キャロル)

text by ショーン・キャロル