「Phone X」は全面を有機ELパネルで覆った新しいデザインが採用され、ホームボタンも廃止された(筆者撮影)

アップルは10月27日、新型スマートフォン「iPhone X(テン)」の予約を開始する。発売は11月3日。日本では直販ではアップルのオンラインストアやリアル店舗(Apple Store)、キャリア系ではドコモ、KDDI、ソフトバンクのオンラインショップを通じて、10月27日16時01分から予約を受け付ける。

アップルで購入できるSIMフリーモデルは、シルバー、スペースグレーの2色とも、64GBモデルが11万2800円、256GBモデルが12万9800円(それぞれ税別)となる。

なお、11月3日の発売当日の午前8時から、Apple Storeでの予約なしの販売も行うと案内しているが、争奪戦になることが予想される。そのため、予約注文をしておくほうがよりスムーズに購入できるはずだ。

iPhone Xは、これまでのiPhoneの進化を踏襲しながら、ハイエンドのAndroidスマートフォンで魅力となっていた有機ELディスプレーやワイヤレス充電などの機能を備え、アップルが描く「未来のiPhone」のコンセプトを凝縮したモデルだ。

筆者は9月12日のイベントでiPhone Xに触れ、15分ほど操作した。その体験を振り返りつつ、期待が高まるこの新モデルについて、お伝えしていこう。

iPhone Xについて改めておさらい


両面にガラスパネルを用いたボディとなったiPhone X(筆者撮影)

iPhone Xは9月12日に発表された新型スマートフォンで、同日に披露されたiPhone 8、iPhone 8 Plusは9月22日にすでに発売されている。2017年モデルのiPhoneラインナップとして、iPhone 8シリーズとiPhone Xには、デザインをはじめ、ワイヤレス充電機能、プロセッサー、カメラなど、多くの共通点がある。

デザインは金属のボディから、両面にガラスのパネルを用いた金属フレームのボディへと改められた。これによって、ワイヤレス充電に対応し、Qi(チー)規格に対応する充電器をそのままiPhoneで利用し、“おくだけ充電”が可能となった。

プロセッサーとして搭載されたA11 Bionicは、省電力性と高い処理能力を誇り、グラフィックス処理や機械学習処理にも長けた、アップル設計による新世代チップだ。メモリを3GB搭載するiPhone 8 Plusは、ベンチマークによってはIntel Core i5プロセッサーを搭載する最新のMacBook Pro 13インチを上回るスコアをたたき出すほどの処理能力を備えており、iPhone Xのパフォーマンスについても期待が高まる。

カメラについては1200万画素と、iPhone 7シリーズと共通だが、ディープピクセルやカラーフィルタの変更などの改善を施し、発色やディテールにこだわったうえ、暗所の撮影能力も向上させた。

iPhone Xの「特別な機能」

こうした共通点はあるが、外見は大きく異なっている。金属フレームは、iPhone 8にはアルミニウムが用いられているが、iPhone Xには医療機器グレードのステンレススチールを採用した。特にシルバーモデルは、金属の光沢を楽しむことができる。

そしてiPhone Xは、全面を有機ELパネルで覆った新しいデザインを採用。そのうえ、初代iPhoneから長らく搭載されてきた物理的なホームボタンは廃止された。これに伴い、画面の下部をジェスチャーで操作する新しいインターフェースが採用されたほか、生体認証は指紋を用いるTouch IDから、顔面での認証を行うFace IDへと改められた。

物理的なホームボタンがないiPhoneの操作については、違和感を感じる人も多いかもしれない。長年多くの機能を追加してきたボタンの廃止については、アップルも非常に注意深く、その代替策を考えている。実際の操作方法については以下の動画を参照して欲しい。

前述のように、ホームボタン廃止によって指紋認証から顔面認証へと、生体認証システムが改められている。Face IDと呼ばれる仕組みは、ディスプレーにせり出した部分に搭載された赤外線を用いたカメラシステムによって人の顔を正確に捉え、機械学習処理を生かして高速に認証する仕組みだ。

その登録方法と実際のロック解除についても、以下の動画を見てほしい。指紋認証とは異なるロック解除の方法には、ある程度慣れが必要という印象だった。

このビデオの後半には、顔面認証に用いられるTrueDepthカメラを用いて、これまで2つの背面カメラを用いて実現してきたポートレートモードのセルフィーを撮影できるようになった。被写体の認識も素早く正確で、より実用的な活用が見込める。

ディスプレーも特徴的だ。新たに採用された有機ELディスプレーは「Super Retinaディスプレー」と名付けられている。


iPhone Xのレンズ部分(筆者撮影)

有機ELディスプレーはこれまでの液晶ディスプレーと異なり、バックライトが必要ないことから、薄型化、省電力化、折曲げなどのデザインの自由度を実現し、またまるでブラックホールのような深い黒を実現することで、これまでよりも引き締まった写真や映像を楽しむことができる。またゲームやグラフィックスの世界では、ディスプレーの反応速度の速さも魅力としてあげられる。

これによって、縁までディスプレーを敷き詰める新しいデザインを採用でき、これを実現するためにホームボタンを廃止し、新しい顔による生体認証を導入した、というのがアップルの進化ストーリーだ。

セルフィーを進化させたい人におすすめ

iPhone Xを並べてみると、iPhone 8とiPhone 8 Plusの中間的なサイズに感じるが、実際に握ってみると、iPhone 8のサイズ感に近い。その中に、iPhone 8 Plus以上となる5.8インチのディスプレーを搭載しコンパクトさと大画面を両立している。

特にスマートフォンで映像を楽しむ機会が多い人にとっては、iPhone Xの画面サイズと有機ELディスプレーの画質、そしてiPhone 7よりも2時間長い持続時間を誇るバッテリー性能は、魅力的に感じられるのではないだろうか。


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加えて、ポートレートモードで撮影できるセルフィーは、より魅力的な写真をSNSなどに投稿したい人にとってぴったりの機能だ。ちなみに、2つ搭載されている背面カメラのうち、望遠カメラはより明るいレンズが採用され、手ぶれ補正も追加されたことから、暗い場所でのポートレート撮影やズーム撮影にも強くなった。

もちろん、新しいディスプレーや操作体験にいち早く触れたいという人にとって、iPhone Xは「思いっきり楽しめる端末」となるだろう。

それ以上に、より実用面を重視する人、つまり、よりコンパクトなボディと大画面を求める人、長くビデオ視聴を楽しみたい人、写真にこだわりたい人にとっても、iPhone Xがぴったりなスマートフォンということになる。

実直さがにじむデバイスの進化を、アプリ開発者が思う存分生かすことによって、まさ見ぬiPhoneの未来像を作り上げていくーー。そんなiPhoneの新たなページが、iPhone Xによって開かれようとしている。