西武3位指名の徳島インディゴソックス・伊藤翔【写真:Getty Images】

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独立L最上位、「元プロ注目高校生」が選んだ大学でも社会人でもない「毎年勝負」の価値

 2017年の「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が26日、グランドプリンスホテル新高輪で行われ、支配下、育成を合わせ、計114人が指名を受けた。早実・清宮幸太郎内野手が7球団競合の末に日本ハムが交渉権を獲得し、大きな注目を浴びた一方、躍進を遂げたのが独立リーグ勢だ。石川ミリオンスターズから3選手が支配下指名されたが、最上位指名されたのは西武3位指名の徳島インディゴソックス・伊藤翔投手だ。

 ある意味、画期的と言っていいかもしれない。全国的には無名だが、伊藤の年齢は18歳、高卒1年目である。横芝敬愛高からプロの注目を浴びていたが、大学、社会人ではなく、独立リーグを選択した。入団当初から「今年、NPBに最も近い男」とリーグ関係者に評判だったが、最速147キロだった球速は1年間で152キロまで上がり、一気に飛躍。たった1年でNPB入りの切符を掴んだ。

 気になるのは、なぜ「元プロ注目高校生」の逸材が高卒で独立リーグを選んだか、である。

 一般的なルートは名門大学で4年後、あるいは社会人で3年後の指名解禁へ向け、実力を磨くという道だ。強豪校から誘いがあった伊藤自身も「最初は大学に行こうと思っていた」という。しかし、「独立リーグ経由NPB入り」を目指す決断の理由について、興味深い話を語っていた。

一発勝負の大学より毎年勝負の独立リーグが持つ“近道”「自分が一番旬な時に入れる」

「4年間で一発勝負の大学より、毎年勝負をかけられるところに魅力を感じました。大学に行っても、ピークが2年生、3年生で迎えてしまう時もある。自分が一番、旬なタイミングで入れるチャンスがあることがいいなと思って、NPBに行くには大学や社会人よりも近道だと感じました」

 大学ではプロに挑戦できるのは最短で4年後。伊藤の言うように、NPBのスカウトも注目する逸材として進学しても伸び悩んだり、2、3年生にバリバリ活躍しても4年生になって下降線を辿ったりといこともある。しかし、独立リーグならば指名のチャンスは1年ごとにあり、「毎年勝負」をかけることができる。

「独立リーグはNPBのスカウトの方が球場に足を運んで、アピールする場を与えてくれるというのが一番のメリットだと思います」

 実際、伊藤は1年目から16試合に登板し、8勝4敗、防御率2.18をマーク。独立リーグ日本一にも導いた。大所帯の大学より、少数精鋭の独立リーグで1年目から真剣勝負の公式戦を数多く踏めることはメリットの一つ。こうして「今年中に150キロを出したい」と描いたプラン通りに152キロ右腕に成長し、3位という上位で指名を勝ち取った。

“夢の再挑戦の場”のイメージを変えた伊藤の決断「NPBでやってやるぞという気持ち」

 これまで独立リーグといえば、大学、社会人を終えてもNPB入りを諦めきれずに進むなど、“夢に再挑戦する場”のイメージが大きかった。伊藤のように、高校時代からスカウトの注目を集めながら独立リーグで成長し、NPB入りを掴んだのは異例。今後の有望高校生の進路選択に影響を及ぼす可能性もあるだろう。

「今はホッとした気持ちとNPBでやってやるぞという気持ちが強いです。1日でも早く1軍でプレーできるように精一杯頑張りたいと思います」

 球団を通じて、こう決意のコメントを述べた伊藤。かつてない道を歩んできた18歳は、NPBの世界でどんな飛躍を遂げるのか。活躍に注目したい。

◇伊藤翔(いとう・しょう)

1999年2月10日、千葉県生まれ。18歳。小1から投手で野球を始め、中学時代に千葉県内のシニアで楽天・藤平に投げ勝ったことも。横芝敬愛高3年夏は3回戦で千葉明徳に逆転サヨナラ負け。翌年、徳島インディゴソックス入団。今季は16試合で8勝4敗、防御率2.18。175センチ、70キロ、右投右打。最速152キロ。