中村倫也が語る、生田斗真&広瀬すずとの共演と演技への情熱 「今は芝居が楽しくて仕方がない」

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 生田斗真と広瀬すずが初共演した映画『先生! 、、、好きになってもいいですか?』が10月28日より公開される。河原和音の少女漫画『先生!』を、『ホットロード』『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の三木孝浩監督が映画化した本作は、先生と生徒の切ない純愛を描いたラブストーリーだ。リアルサウンド映画部では、生田斗真演じる主人公・伊藤の同僚の数学教師・関矢を演じた中村倫也にインタビューを行い、今回初のタッグとなった三木孝浩監督の演出や、生田斗真や広瀬すずら共演者の印象、さらに演技に対するアプローチの仕方などについて語ってもらった。

参考:松本潤と生田斗真、対照的な”世界史教師”役で新境地! 『ナラタージュ』『先生!』で男の色気

■「関矢には“THE 先生”みたいな部分が求められていた気がする」

ーー少女漫画を実写映画化した作品は数多くありますが、今回の『先生!』はいわゆる“少女漫画原作”を感じさせない、非常に大人な雰囲気のある作品に仕上がっている印象を受けました。

中村倫也(以下、中村):確かにそうかもしれません。“映画”という感じがしますよね。僕自身はあまり少女漫画原作の作品をほとんど観ないのですが、予告編の段階で他の少女漫画原作映画とは印象が違いました。少女漫画原作の映画はアップテンポな流れがあるイメージですけど、『先生!』にはゆっくりと確実に、温かい時間が流れている感じがします。

ーー光の使い方やカーテンの揺れ方など、三木孝浩監督ならではの演出による部分も大きいのかもしれません。

中村:現場でモニターを見ていて本当にビックリしました。「なんじゃこりゃ!」って(笑)。光の量や色、カメラの入射角、スモークなど、画作りもめちゃくちゃこだわっているんですよね。だから撮影現場でもライト待ちが多くて(笑)。そういう光の捉え方もあって、“思い出の中”にいるような感覚になるんです。映画自体はリアルタイムで流れる時間を切り取っているわけではあるのですが、30歳を過ぎた僕にとっても、どこか自分の思い出を見ているような感覚になりました。ストーリーの効果としても素晴らしいのですが、ファンタジーとリアルの間のなんとも言えない心地よさを生み出していると感じました。三木監督に「これどうなっているんですか?」と聞いたら、“しめしめ”という表情をしていましたね(笑)。

ーー三木監督の作品に出演するのは今回が初めてですね。関矢という役を演じるにあたって、監督と何か話をしたりしましたか?

中村:関矢については、好意を持たれた相手には強く出るけど、自分が好意を持った相手には弱くなってしまうという印象を自分の中で最初に持ったんです。原作の関矢にはもっとエピソードがたくさんあって立ち位置も確立していますが、今回は映画なので、脚本を土台に、どういう挑み方をしたら楽しいかを考えていきました。関矢は数学教師なので、割と大人しいイメージかなと自分は考えていたのですが、三木監督のディレクションを聞いていると、体育教師っぽくなる感じで(笑)。

ーー具体的にどういうところが?

中村:僕はそんなに声を張らないタイプだと思っていたんですけど、授業の時とか「もっと威勢よく」と言われて。(生田)斗真くん演じる伊藤先生も比嘉(愛未)ちゃん演じる中島先生もそうですが、先生っぽい先生があまり出てこないので、関矢には“THE 先生”みたいな部分が求められていたのかなと思います。

ーー『あさひなぐ』でも先生役を演じていましたが、今回はまたガラッと変わったキャラクターでしたね。

中村:『あさひなぐ』はもう何の仕事をしてるかわからないですよ(笑)。生徒よりも精神年齢が低い先生でしたからね(笑)。でも現場で実際に教卓に立ってみると「すごいな」と思いました。30人ぐらいの若い子たちに2つの目で見られるわけですから。それはもうすごい迫力で、改めて教師って大変な仕事なんだなと感じました。

ーー教師役を演じる上で、自身が学生時代に担任だった先生などの記憶や思い出を演技に反映することはありましたか?

中村:数学の授業をしているシーンでありましたね。教師って、一つひとつのことをきちんと伝えなければいけない職業なので、喋るときに自分の癖みたいなものが出るんですよね。高校の頃の先生とかも授業のときの話し方に独自のリズムがあるなと思っていたので、関矢に関しても自分では気づいていないような変な癖があると面白いなと思って、変なリズムとか取り入れたりしました。観ている人は気づかないと思いますけど、「X」の変なところにアクセントをつけたりしているので、密かな楽しみとしてそこにも注目してもらえたらと思います。

ーー確かにそこにはまったく気づきませんでした。

中村:でも職業ってそういうことだと思うんです。体に馴染んでいることが、その人の輪郭を作るのではないかなと。料理人ならきっと包丁を見ないでタッタッタッタって切れると思うんですけど、それを役者が意識してやろうとすると、料理人に見えなくなってしまう。本人自身も気づいていないリズムがきっとあるはずなので、授業のシーンなんかは特にそういうことを意識しながらやっていました。

■「『うちの斗真はさすがだな』と思って、試写後すぐに斗真くんに電話をかけた」

ーー関矢は森川葵さん演じる千草に思いを寄せられながら、自身は同僚である中島先生に好意を寄せているという役柄です。2人の印象を教えてください。

中村:とはいってもあまり一緒のシーンがないんですよね(笑)。でも、葵ちゃんは本当にかわいいですね。千草はやり過ぎるとそれこそ漫画っぽくなっちゃうキャラクターなので、バランス感覚が必要な、すごく難しい役どころだったと思うのですが、傍から見ていて「さすが実力派だな」と。比嘉ちゃんは普段いじられキャラなのに、中島先生みたいなクールビューティな役をやっていて、面白いなとニコニコしながら見ていました(笑)。

ーー伊藤先生役で主演を務めた生田斗真さんとは、昨年行われた劇団☆新感線の舞台『Vamp Bamboo Burn〜ヴァン!バン!バーン!〜』でも共演していましたね。

中村:半年ぐらい彼と一緒に舞台をやって、大千秋楽の3日後に『先生!』がスタートしたんですよ。斗真くんは舞台でものすごくアホな役をやっていたので、3日後の本読みで急に真剣な表情で「俺はやめとけ」とか言っているから、ひとりだけニヤニヤしながら笑いを堪えていました(笑)。

ーーギャップがスゴいですよね(笑)。舞台とはまた違った印象も受けたのでは?

中村:『先生!』は少女漫画原作で、女子高生目線で切り取られている作品なので、伊藤という人物がただのアイコンになってしまう恐れもあったと思うんです。でもそこを斗真くんが演じることによって、伊藤の心の揺れが滲み出ていて、その塩梅はさすがだなと思いました。ただカッコいい人がこの役をやっても色気は出ないと思うんですけど、伊藤自身の軸足が響に惹かれていくことによってブレていく様がきちんと表現されていました。「うちの斗真はさすがだな」と思って試写で観た後すぐに斗真くんに電話をかけましたよ(笑)。

ーーどういう話をしたんですか?

中村:何を話したのかはあまり覚えていないんですけど……でも「メガネを触る仕草がカッコよかった」と言ったら照れていたのは覚えています(笑)。斗真くんはポップな作品から、LGBTものやアクション、SFなど、割とジャンルの色が強い作品に出ているイメージが強くて、今回のような地味だけど色気がある役を演じるのは珍しいと思うんです。そういう意味で、『先生!』は新しい生田斗真が見られる作品になっています。響役の(広瀬)すずちゃんも日本一のハマリ役ですしね。

ーー広瀬さんの印象はどうでしたか?

中村:本当にスゴいですね。恐ろしいです。でも実はものすごい努力家なのではないかなと感じました。というか、19歳で特に何も考えずにあれだけの魅力とチャーミングさと演技力を備えているとしたら引きますよ(笑)。陰で努力していてほしいという願望ですね(笑)。僕はすずちゃんの担任役なので、席順と写真と役名と本人の名前が入った、自分のクラスの生徒一覧が書かれた名簿のようなものをもらっていたんです。その名簿は映画には登場しないんですけど、すずちゃんの写真のところだけオーラが滲み出ていて。斗真くんとやった舞台を観に来てくれたときも、すずちゃんが座っていた席だけ光っていましたから。スターってこういう人のことを言うんだなという感じがしましたね。

■「今は本当に芝居が楽しくて仕方がない」

ーー中村さん自身もドラマや映画など大活躍しています。最近は『100万円の女たち』(テレビ東京系)や『デッドストック』(テレビ東京系)、『伊藤くん A to E』(TBS系)など、少しクセのある役どころも続きましたが、そのような個性の強い役と今回のようなあまり個性がない役、演技のアプローチに違いは生まれますか?

中村:今挙げていただいたような作品では、立ち回りでいうところの“かかり”となる役だったので、思い切りやれる楽しさがありましたが、今回の『先生!』や、今やらせていただいているドラマ『新宿セブン』(テレビ東京系)で演じているのは、いわゆる“生っぽい”というか、クセがない、この世界のどこかに実際に存在するような役柄で、こっちはこっちで“受け”の楽しさがあるんですよね。土台は同じなんですけど、種類が逆なので、その中で人と芝居をしていく楽しさをここ1〜2年ぐらい実感しています。だから今はどんな現場に行っても、どんな役をやっていても、本当に芝居が楽しくて仕方がないんです。本当に今死んでもいいなと思えるぐらいで。

ーー演技をする上で楽しさがより強くなってきたと。

中村:でも、自分がどんな役を演じるかよりも、誰と一緒に芝居をするか、どんなチームで作品を作り上げるかによって、芝居の楽しさは決まってくるのかなと思います。自分がひとり家でニヤニヤするような芝居でも、本当にひとりで家で演じているのと、実際に現場に行って演じるのでは、全く違いますから。最終的に映像として残るものは現場で生み出されるものなので、今後も現場での出会いや芝居を大切にしていきたいと思います。(取材・文=宮川翔)