米アマゾン・ドットコムが、また奇抜な発想の新サービスを発表して、話題になっている。利用者が不在時でも、アマゾンで購入した商品を受け取れるようにするというものだ。

 とは言っても、宅配ロッカーや近所のコンビニエンスストアで受け取れるようにする、という従来の方法とは異なる。配達ドライバーが、顧客自宅の玄関ドアの鍵を開け、商品をドアの内側に置き、再び施錠していくという方法だ。

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電子錠、カメラ、アプリで実現

 これは、自宅のドアに(1)専用のスマート電子錠を取り付け、これと(2)スマートフォン用アプリ、(3)宅内の玄関ドア付近に設置する専用セキュリティカメラ、の3つを組み合わせて実現する。

 詳しくは、まず、配達ドライバーが、顧客自宅の玄関前に到着し、ハンドヘルドのスキャナーで商品の箱をスキャンする。これにより、玄関ドアを解錠するよう要求が出される。

 すると、アマゾンのシステムは、その注文商品と、顧客宅、配達ドライバー、配達日時を照合し、すべてが合致しているかどうかを確認。また、配達ドライバーが玄関前にいるかどうかもチェックする。これらの条件がそろえば、システムはドアを解錠する。それと同時に、宅内のセキュリティカメラが作動する。

 配達ドライバーはドアを開け、荷物を置いて、ドアを施錠する。これらの様子は、宅内から玄関ドア周辺に向けて設置したセキュリティカメラが撮影している。顧客はこれを、仕事場などの遠隔地から、専用アプリを使ってリアルタイムで見たり、後で再生したりすることができる。

 顧客はアマゾンで注文する際、配達のオプションとして「宅内配達」を選択できる。アマゾンによると、対象となる商品が届く日は、午前中にアプリで通知が届き、顧客はおおむねの時間を把握できる。また、配達ドライバーが玄関ドアに近づく直前にも「まもなく到着します」という通知が届く。

 このサービスで配達されるすべての商品にはアマゾンの保証プログラムが適用され、商品そのもの、あるいは家の資産に損害が生じた場合、アマゾンが補償する。また、当初は、アマゾンの物流サービス「アマゾン・ロジスティックス」のドライバーのみが商品を配達するという。ドライバーに物理的な鍵を預けたり、暗証コードを教えたりする必要がないため、安心だとアマゾンは説明している。

 サービスは、「Amazon Key(アマゾン・キー)」という。これを利用するには、有料会員プログラム「Prime(プライム)」に加入する必要がある。また、顧客は「Amazon Key In-Home Kit」という、電子錠とセキュリティカメラのセット商品を買う必要がある。価格は249.99ドル(約2万8000円)だ。

 アマゾンは、すでに米国でこの商品の予約販売を開始している。サービスは全米37の都市で11月8日に始める予定だ。

 日本では、再配達の多さや、ドライバーの人手不足といった問題が、宅配業者を悩ませている。しかしこれが日本にも導入されれば、問題解決の一助になるのかもしれない。

 米メディア(ウォールストリート・ジャーナルや、シーネット)によると、米国では不在時の再配達は行わず、荷物を玄関の外に置いていくのが一般的。だが、この方法では、盗難に遭ったり、雨に濡れるといった問題がある。

さまざまなホームサービスにも

 興味深いのは、アマゾンがこのサービスを別の用途にも展開させようと考えていることだ。これには2つある。まず1つは、知人や、頻繁に依頼する家事手伝いなどの人のために、遠隔でドアを解・施錠できるようにするといった用途。

 現時点で詳細は不明だが、どうやら、前述した専用アプリで一時的なパスコードを付与し、解錠してもらうという仕組みらしい。例えば、いつも犬の散歩をお願いしている人など、信頼できる人に、決まった日時に家に入ってもらうということが可能になる。

 もう1つは、同様に、一時的なパスコードを使い、サービス業者に家に入ってもらうという用途。アマゾンは、「Amazon Home Services」と呼ぶ家庭向けサービス事業を展開している。これはハウスクリーニングや、住宅リフォーム・修繕、水道工事、大型家電の取り付け、家具の組み立てといったサービスをプロに依頼することができるというもの。

(参考・関連記事)「アマゾン、家庭向けサービス事業を拡大」

 アマゾンによると、今後数カ月後には、アマゾンに登録しているこれらの業者が対応するという。

セキュリティへの懸念

 果たして、このサービスは普及するのだろうか。やはり、徹底的に解消されなければならないのは、セキュリティへの懸念だろう。

 筆者は、母を介護している都合上、スマートロックを家に設置している。これを使えば外出中でも、スマートフォンのアプリで玄関ドアを解錠でき、ヘルパーさんに家に入ってもらえる。

 しかし、それは信頼できるヘルパーさんだから可能なこと。不在時、今まで一度も会ったことがない人を家に入れることなど、到底できない。

筆者:小久保 重信