北朝鮮への経済制裁が続いている国際情勢の中、相変わらず北朝鮮はアメリカを挑発し続けており、強気な姿勢を崩していません。しかし、やはりその内情は苦しい状態のようです。メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』の著者で北朝鮮事情に詳しい宮塚先生は、先日テレビ朝日の報道番組で放送された「平壌で禁止されているはずの競馬が開催された」というニュースを取り上げ、その真意を予測しています。

賭博行為が禁止のはずの北朝鮮で競馬解禁 その目的は?

朝5時半に起きて6時からテレビを見るのが日課となっているが、朝早くから画面に「北朝鮮モノ」が出てくると憂鬱になる。

内容は北朝鮮のミサイル発射か核実験、アメリカとの“舌合戦”が主であるが、3日前はたしか金正恩の「斬首作戦」についてであった。これでは北朝鮮に与する“親朝人士”たちもうんざりするだろう。

18日のテレビ欄にはテレビ朝日の「ワイド!スクランブル」で、「北朝鮮……驚異の荒稼ぎ?手口」なる文字が出ていた。興味を持ちながら番組を見ていたら、国際社会からの経済制裁で“資金繰り”が厳しくなってきている北朝鮮が、これまで禁止されていた「競馬」を平壌で行ったとのこと。

まさかと思ったが、この「北朝鮮で競馬」のニュースは他のテレビでも報じていたが、実は1か月くらい前にテレビのクイズ番組で、「北朝鮮にある物、ない物」の監修を依頼され、そのなかで「競馬場」の項目があったので「ない物」であると指摘したばかりであった。

少なくとも1か月前には北朝鮮では「競馬」は行われたはずである。それが平壌の「競馬場」(?)でレースが行われている場面が映し出され、若い男女がレースの出場表(競馬についての知識がないので、何というのか分からない)らしきものを見ている場面もあった。

競馬といえば、オッサン連中が競馬新聞に赤鉛筆を持って馬券を買っている情景を思い出したが、テレビの画面を見ている限りまぎれもなく競馬レースのようだ。

テレビは「北朝鮮では賭博は禁止されている。もし、賭博行為を行った者は3年の刑に処される」という外国の通信社のコメントをあわせて報じていた。北朝鮮で賭博行為を禁じているというが、羅先市にはカジノがあり、人民はトランプで賭け事に興じている。

北朝鮮政府が公式に「競馬」レースを認めたということであるが、なぜ、今になって競馬競技を認めたのか、ということで、お馴染みの辺真一さんが「北朝鮮には以前、競馬はあった。世界からの経済制裁から資金が枯渇し始めたので、富裕な人民から外貨を巻き取り始めるために、競馬を許可した」というようなことを話していた。

辺さんの言う「以前」とは「日本統治時代」のことを指しているが、当時の朝鮮に競馬場が北朝鮮地域にあったのか、確認はできないが、京城(今のソウル)には「京城競馬場」があったような気がする。ゴルフ場は平壌にもあったが、競馬場はどうであったのか確認しなければならないが。

問題は競馬を認めた理由は「子ども用の遊園地などの娯楽施設をいくつか作ったが、今度は大人用の娯楽施設」として競馬レースを認めたようだが、基本的には「人民に娯楽を与えること」よりも、「人民が持っている外貨を吐き出させる」のが目的のようだ。

北朝鮮の人民はタンス預金として自国の貨幣よりも、「ドルと円」を貯めている。これは自国のお金は国境の河を渡れば「単なる紙屑」でしかないことを知っており、かといって中国の人民元は中国内でしか通用しないことも知っている。しかし、「ドルや円は金と同じく価値が減ることがなく」、「何よりも脱北した時にはドルや円が必要」という認識があり、自国の貨幣が貯まると、せっせと闇市場でドルや円に換えるのである。このため、ドルや円の価値はうなぎのぼりになるのである。

ところで、「3年の刑」に処されるというが、その根拠は何か(何をもとに3年と断定しているのか)。愛読書の『朝鮮民主主義共和国主要法令集』の「刑法」を見てみると、「刑法 第8章『社会主義共同生活秩序を侵害した犯罪』の第266条『賭博罪』に『金銭又は物品を賭けて賭博をした者は、2年以下の労働鍛錬刑に処する。情状が重い場合には、5年以下の労働教化刑に処する』」と規定している。

競馬は花札と同じく「日本時代の残滓」として忌み嫌って禁止してきたのであるが、はたしてこの競馬はいつまで続くのか。競馬といえば総連系のモランボンの社長の某氏は「さくらコマース」だったか、ダービーで優勝した競馬の所有者であった。北朝鮮は人民を搾取するために、総連の大物の某氏に競馬のノウハウを聞いたのだろうか。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)

※ 最新情報が中国の旅行代理店経由で入ってきましたのでお伝えします。

競馬の開催は、毎年4月と10月の年2回とのことです。編集人は最初月2回かと思ったら年2回でした。外国人の参加、観覧は要相談とのことです。年2回で競馬場の施設や出走馬を維持することができるのでしょうか……。

なお、22日(日)に開催予定だった「第1回秋の平壌マラソン」は特に中止との情報がないので実施されたようですとの代理店からの情報ですが、毎年春の平壌マラソンを伝える中国のメディアが一切報じていません。これはどうしてなのでしょうか。(宮塚コリア研究所 メルマガ編集部)

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