群馬県太田市の地ビール「クロア」について、プロデューサー兼デザイナーの片岡達也さんに取材した。

地ビール「クロア」の世界観が話題に

太田市が地域活性化の柱として地元企業が共同で設立した第3セクター法人「夢麦酒太田」が製造する地ビール「CHROA(クロア)」がネット上で話題になっている。

商品ラベルに原材料や内容量と並び、独特な世界観のストーリーが記されているからだ。

出典:「CHROA」HP

例えば、「CHROA TABOO RED(クロア タブーレッド)」の商品説明にはこんな感じ。

スモーキーな香り、嫉妬するほど上質な苦味とコクに判断力が欠如する。赤い秘密にしたい味。神父は真実の愛へは歩けと言った。ならば浮気へ走れ。このタブーはお前が飲むことで完成する。

「CHROA BLACK PARADE(クロアブラックパレード)」には、次のようなストーリーが記されている。

胃に送り出す深い赤褐色の液体は何故か脳に行きいつかの黒い失恋を回想させる。愛とは勉強するものではなく触れるもの。例えそれがお前の黒歴史でも。触れる勇気すらないのなら、自分を恋愛背任罪で告訴しろ。

ネット上に「なにこれ、めっちゃ気になる」「じわじわ来る」「想像力がかきたてられる」「これは飲んでみたい」「エッジ効いてる」「バードボイルド」など多くの反響が寄せられ、元のツイートは投稿からおよそ1週間で4万5000超リツイート、6万6000超いいねされている。

ファッションホイールデザイナーがプロデュース

「クロア」は同市出身の世界的ファッションホイールデザイナー・TATSUYA KATAOKA(片岡達也)さんのプロデュースで誕生したブランドだ。

奇抜かつ斬新な感性で、時代に求められるものではなく、時代にスタイルを提案していくブランドを目指す。

提供:片岡達也さん

片岡さんはアメリカの有名トップメーカーMHT社の超人気ブランド「KAOTIK(ケオティック)」のデザイナーを務めた後、2002年にフリーランスに転向し、アメリカを中心に世界15社のホイールメーカーのデザインを担当。

ロックミュージシャンから新宿の浮浪者へ、そしてラスベガスで世界に認められてリムジンが迎えに来るほどのVIPに登り詰めたという夢のようなサクセスストーリーも相まって、今も世界各国の多くのファンに支持を得ている。

提供:片岡達也さん

「太田市から世界に発信」と立ち上げ

取材を申し込んだところ、片岡さん本人が質問に答えてくれた。

--「CHROA」はいつ・どのような経緯で誕生したのですか?

スタートしたのは1年半前です。

海外でデザイナーとして活動してましたが、生まれ故郷である群馬県太田市に数年前に戻ってきました。

その頃、夢麦酒太田の運営元のオーナーとの出会いがあり、「今度はアメリカから日本ではなくこの街から世界に発信するような、人々がワクワクするような、そしてセンセーショナルな俺たちにしかできないことを一緒にやろう」と誘われて、クラフトビールブランド「クロア」を立ち上げました。

CHROA【クロア】/Facebook

--車のホイールとは分野が異なる「ビール」のプロデュースに着手したキッカケは?

 世間では新宿の浮浪者が1枚の落書きからアメリカで大成功したというアメリカンドリームみたいな物語ばかりがクローズアップされてますが、ホイールの分野だけでなく、その後様々な分野で未来型また革新的な商品・製品を立ち上げてきました。

片岡さんは現在、複数の大学や企業などで講演活動を行ったり、国内外の複数の企業のアートディレクター等を勤め、数々の製品や作品、ビジネスを生み出している。

今月から市内の保育園で実証実験が始まった保育士の負担を軽減するロボット「VIVO(ヴィーヴォ)」のデザインも担当している。

CHROA【クロア】/Facebook

直感と感覚で「クロア」と命名

--ブランド名には、どのような意味があるのですか?

クロアという名前は何かから取ったわけでもありません。スペル一つ一つに意味があったり地名にこじつけたものもありません。

水が水、コップがコップといわれるように、直感と感覚でこのビールは「クロア」だと思いました。

もしクロアという名前に意味がついてくるのなら、それはこれからの自分たちの行動次第だと思います。革新的なことや禁断なことの意味が「クロア」と言われたいですね。

--商品開発において「こだわった点」は?

「アダムが林檎を食べてしまったのは 林檎が好きだったからじゃない。それが禁断のものだったから。」クロアが追求するべきものはそこですね。

今や腐るほどビールメーカーなどあります。大手含め各ビールメーカーが打ち出すあたりまえの美味しいビール!や季節感をうたうこともしません。

「クロアは通年あなたの禁断なものでありたい。」ですかね。

不健全な魅力を追求

--各商品に書かれている「ストーリー」はどのように考えたのですか?

考えて作ったつもりはないです。あれは俺の女性遍歴や恋愛観ですね。

何と言うか…良くできた妻に欠けている不健全な魅力を、男はというか俺は求めてしまうんですね。

クロアで言い換えれば 巷で売れている良くできた麦酒に欠けている不健全な魅力を追求してるのですかね。

CHROA【クロア】/Facebook

「定番ビールから浮気してみませんか」

--最後に「クロア」に込める思いを教えてください。

単純に「群馬県太田市で作られてるビールが美味しい」ということを知ってもらうだけですかね。

「誰もがもつ定番ビール。しかしそこからの浮気をしてみませんか」というそのための手段としてクロアというブランドが立ち上がりました。

俺はアメリカやアジアなど各国で活動してきました。一つだけいえるのは地方でも世界でも人がいるとこには必ず恋愛はあります。

形は様々ですが、それは万国共通のテーマです。

そしてなぜか人は禁断なものに手を出します。退屈な日常より情熱的な転落。つまりクロアは、ビールというフィールドで人間の性(さが)やタブーを味とデザインでストレートに表現していくだけです。