選評/林田直樹(音楽ジャーナリスト)

1968年生まれのカタルーニャを代表するフラメンコ・ギターの名手チクエロと、1987年地中海のメノルカ島生まれでクラシック音楽の素養を持つジャズ・ピアニスト、マルコ・メスキーダ。バルセロナを本拠に活躍する二人の音楽家が共作したアルバム『コネクシオーン』が素晴らしい。

ギターとピアノにパーカッションを加えた最小限の編成でありながら、息のぴったり合ったアンサンブルから繰り出される音楽の、何と変幻自在な美しさだろう。

生き生きと弾けるようなリズム、おおらかだが憂いを帯びたメロディ。ここにはフラメンコでもジャズでもない、しかしお互いの異なる音楽言語を生かし合う見事な共同作業がある。

すべての聴き手を巻き込むような、ただただ良質の音楽がある。開かれた音楽とはこういうものを言うのだろう。(試聴はこちらから)

【今日の一枚】
『コネクシオーン』
チクエロ&マルコ・メスキーダ
2017年録音
発売/アオラコーポレーション 
http://www.ahora-tyo.com/
商品番号/BNSCD-8941
販売価格/2700円

写真・文/林田直樹
音楽ジャーナリスト。1963年生まれ。慶應義塾大学卒業後、音楽之友社を経て独立。著書に『クラシック新定番100人100曲』他がある。『サライ』本誌ではCDレビュー欄「今月の3枚」の選盤および執筆を担当。インターネットラジオ曲「OTTAVA」(http://ottava.jp/)では音楽番組「OTTAVA Salone」のパーソナリティを務め、世界の最新の音楽情報から、歴史的な音源の紹介まで、クラシック音楽の奥深さを伝えている(毎週金18:00〜22:00放送)

※この記事は『サライ』本誌2017年11月号のCDレビュー欄「今月の3枚」からの転載です。