国土の狭いイスラエルでは悪評も良い噂もすぐに回ってしまう。だからこそ最初の一歩が肝心なのだ

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 前回、前々回に渡って報じたDLD(DLDは、Digital Life Designの頭文字をとった「スタートアップの祭典」)期間中、イスラエルを訪問した日本人ビジネスマンも増え、「いざ、ビジネスを!」と考える人が多い。

 そのため今回は、最初に陥りやすいポイントについて記す。

 イスラエルでは表敬訪問は相手にされにくいが、「ただ、話を一方的に聞く」ギブアンドテイクの関係ができていないミーティングと先方が判断すると、直前になって(前の日でも)キャンセルをして来たり、日本から来ているにもかかわらず、スケジュールを変更したり、訪問したが誰もいなかったりすることもなくはない。私は前の日か、当日に必ずリマインドを先方にする。

 これは当然、会食でも同じである。相手から一方的に情報を入手しようとする目的だけの場合や、後々、あの会食は何の会食だったの?と、言われたりするのであれば、その会食は設定しない方がいいだろう。これは、イスラエル側からの設定であっても、大して興味がない会社から会食を依頼されたりしたら、上手く断るのが賢明だろう。お互い時間の無駄になる。

 そう、イスラエルは狭い国である。

 1つでも、どこかで上記のようなことをやってしまうと、この地では悪い噂は、良い噂以上に早く伝わる。

 まして、これからイスラエルでビジネスをやろうと考えている日本の会社でヘブライ語が喋れるメンバーがチームにいることは、極めて稀であろうから注意が必要だ。ヘブライ語でしか出回らない情報はこの地では多いし、イスラエルの人は賢いので、そういう情報はヘブライ語や、電話などの形に残らない形で飛び交う(そう、自分たちが知らないところで、そういうことが起こる)。

「相手先に訪問する」「会食する」ときは、覚悟を持ってと脅かすわけではないが、こちら側の明確な意図目的がある事が必須で、現地では日本以上に誠実なコミュニケーションが必要であろう。いわゆる、ギブアンドテイクではなく、テイクだけになってしまうと、この地では、気づかないところで知らぬ間にビジネスがやりにくくなってしまうだろう。

◆イスラエルでは、必ずハッキリとした形でフィードバックを行うことが肝心

 そうは言ってもスタートアップに会うときは、1社だけに訪問先を限定することは、到底できない。

 会ってみて、いい意味でも悪い意味でも想像と違う場合は多いし、10社程度会う場合は、最初の1社に対し「是非あなたの会社とやりたい」となどは約束できない。

 この連載をお読みの読者ならお気づきだと思うが、そうするとイスラエル側は本気になってしまう。また、遅くなってもいいので、「今回は残念で興味がなかった」「こういうことを考えているので、新しい提案やソリューションがあったら連絡が欲しい」など、しっかりそのスタートアップにフィードバックをしておくことは、最低限のマナーであろう。

 そういう時は、「今回何社かと合う予定があり、その中であなたの会社がベストであれば、日本に帰ってからすぐ連絡する」と伝える。

 帰国日が明日と迫り、今回お会いした会社10社中9社目の会社で、本当にいい会社の場合などは、「これまであった会社の中で一番いい会社で具体的に協業をしたい」などと、本音でしっかりとコミュニケーションをとることが必要であろう。嘘はすぐ見破られるし、リップサービスで調子のいいことばかり返事していると、その後、いざ進めようとなったときに、進めなくなってしまう。

 イスラエル人は、いい加減で適当な人も多いが、日本人と同じ様に、誠実な人には誠実に対応してくれる人も、思いのほか多い。

 最初のコミュニケーションを上手く行うことは、イスラエルに限ったことでなく当たり前のことであると思うが、この地では、その点がハッキリ影響してくるので、しっかりとしたビジネスを考えている会社であれば、最初から誠実なコミュニケーションを心がけてほしいと思う。

【加藤 清司】
株式会社イスラテック代表取締役。1980年静岡県浜松市生まれ。2006年、「ある技術」に注目しそのルーツを調べ、イスラエルへと旅立ち2か月過ごす。現在、日本を代表するテクノロジー企業を対象に、イスラエルのスタートアップとのアライアンスを支援。2017年1月、『スタートアップ大国イスラエルの秘密』を出版。