【ライターコラムfrom千葉】ピッチで光るキャプテンシー…主将・近藤直也が千葉を高みに導く

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 ファジアーノ岡山を3−1で下し、続く松本山雅FCを5−1で撃破、2位を走るアビスパ福岡を1−0で退け、今シーズン2度目となる3連勝を飾ったジェフユナイテッド市原・千葉。リーグ終盤のラストスパートに向けて、チーム状態はベストとも言える状況だ。練習で取り組んできたことを試合で貫き、勝利に値する内容で勝てたことは次につながって行く大事な要素でもある。

 その中、相手の攻撃を最少失点に抑え“仕掛ける守備”の中心にいるのが近藤直也だ。今シーズンを象徴する『ハイライン』という戦術は背番号3を抜きには語れない。ハーフウェイラインまでプッシュアップし的確な指示と判断で最終ラインを統率する。2列目から飛び込んでくる選手には、そこに微修正を加えながら上げ下げのメリハリの効いた柔軟な対応で守備を司る。

 それを背中で感じながらプレーする町田也真人は「1対1でも強いし、ドゥさんは戦術眼も高くレベルが違う選手」と話す。

 対人能力も強く前線にチャンスを生み出すパスをつける能力も高い近藤だが、今シーズンはラインコントロールに注力し、シンプルなプレーを心掛けている。

「これまでは楔のパスを打って敵を崩す気持ちが大きく、自分がやらないと満足できない部分もありましたが、今シーズンはボールを持った時にシンプルにボールを回してテンポと流れを途切れさせないこと、相手を動かすことを強く意識してプレーをしています」(近藤)

 戦術に見合ったプレーを選択し、良い守備から良い攻撃に繋げて行くことでリズムを生み出すこと、そしてチームが勝利するために必要な最適解を導き出す。“経験に無駄なモノなど一つもない”近藤を見ているとつくづくとそんな思いを抱いてしまう。

「チームが勝つために、相手を見て、状況を見て、試合を考えられる選手。頭を使ってラインコントロールできるのが近藤です」という菅原大介コーチの言葉は掛け値なしの本音である。

 また、今シーズンからチームのキャプテンを務めるが、33歳にして意外にもキャプテン就任は「中学生以来(笑)」(近藤)だと言う。

「このチームを良くしたい。J1に上げたい気持ちが凄く強いし、それを実現するために何をすべきかと考えた時に、自分がしっかりとしたプレーを実行し、見せることが大事だと思っています」と自らが行動で示すことでチームを引っ張る姿勢を見せている。

 ただキャプテンだからといって自分を着飾る訳でもない。己を律しながらピッチ内外で模範を示す。

「たしかに若い時は自分のプレーさえ良ければ一定の満足感はありました(笑)。今は監督が与えてくれたキャプテンという役割に対し、まだ自分が成長できるチャンスをもらったと感じていますし、自然に(キャプテンとしての)行動が出るようになりました」

 サッカーと真摯に向き合う姿勢、そして泥臭さを見せ、最終ラインからチームを鼓舞する。意味のある良いプレーは褒めるが、やってはいけないミスに対しては厳しく叱責もする。

「仲良し的に、明らかなミスをして黙っているキャプテンはいらないと思っています。言う時は絶対に言わなきゃいけない。気になったことはしっかりと伝え、擦り合わせることでチームは良くなります。もちろん試合の結果も大事ですが、その後に何をするかがもっと大事になってきます。そこを一番に心掛けています」

 声を上げてミスを指摘できる選手がいるチームではないと上には行けない。大舞台での戦いを300試合以上、繰り広げてきた経験則からくるものだ。

 また、身近にその様子を見ている菅原コーチは、近藤のキャプテンシーをこう表現する。

「キャプテンとして、『あーだ、こーだ』と、口で言うタイプではありません。若手選手にも愛情を持って接しているし自らの姿勢で見せています。監督から求められていることを率先して、その中で自分の持ち味を考えながらプレーして、リーダーシップを持って要求に応えようとしていますね」

 試合までの準備に妥協せず痛い痒いは口にしない。チームの勝利のために全身全霊を注ぐ背番号3の姿はチームの歩む姿に宿る。

 明治安田生命J2リーグも残り4試合となり、プレーオフ圏内まで勝ち点5差に迫る千葉にとっては、ここからも勝ち続けることで自らの運命を切り拓いて行くしか手立てはない。

 近藤は真っ直ぐ前を向き澱みなく言う。

「浮つかず、平常心を保つこと、1試合1試合の重みを感じながら緊張感を持ってプレーをすることを大切にしたいです。厳しい状況に変わりはありませんが、この先、何が起こるか分かりません。最後まで全力で戦い、ブレずに自分たちのサッカーをやることに尽きます」

 奇跡は起きるものではなく、起こすものだと背番号3の背中は語っている。

文=石田達也