旦那と一緒に家事・育児を回すには? ガチで考える【前編】

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以前、「動かない旦那サマへの対応を信長・秀吉・家康の名句にならう」というコラムを書いたが、読者の方からご質問をいただいた。
http://mamapicks.jp/archives/52220657.html

「秀吉の策(夫婦協力体制をつくる)で行きたいのだが、具体的な方法があったら教えてほしい」

というものだ。
となれば、お教えするのが本望である。
あくまで私の事例であって恐縮だが、自分の失敗と成功、トライ&エラーを前・後編に分けてまるっと記すので、同じお悩みをお持ちの多くの方に、少しでも参考になるようであれば幸いだ。

【前編】→このコラム
真剣に離婚を2回考えたことがある私の家庭の「ダメだった点」→「改善に向かう道筋」→「改善のための心構え(夫婦編)」

【後編】
「改善のための心構え(妻編)」→「具体的な案」→「今の私の状態」

と進めるので、必要箇所だけ拾っていただいてもよいと思う。
ではさっそく、過去の自分へのダメ出しから披露したい。

■ウチのここがダメだった ――夫婦は「他人」である


さて、私たち夫婦は、多くのカップルがそうであるように、一応恋愛結婚からの出産である。……のだが、恋愛状態というのは2〜3年で終了したため、結婚時はすでに「家の同居者(ドライ)」という感じで、おのおの好きなことをして、またそれを邪魔しないという暗黙の了解が横たわっていたと思う。

同居にて発生する家事は、9割がた私が担当していた。私はフリーランスで在宅勤務だから、「ま、しょうがないか」という気持ちもあった。しかし、いよいよ「生涯の伴侶」<「家の同居人」という風情が強くなると、疑問が出てくる。

「なぜ私の仕事の時間を削って、二人分の家事をやんないといけないの?」だ。
それに対して夫は、「結婚したら、毎晩一緒にワインを飲めると思っていたのに、すぐ寝てしまうからつまらない」といった不満が返ってくる。


ん、ワイン?
なんだかものすごく階層が違う。

ワインを飲まなくても、生活は回るが、家事を止めたら暮らしていけない。
こちらとしては、その差はワイン(嗜好品)とトイレットペーパー(超・生活必需品)ほど違うのだが、そのあたりが共有できない、なんて不思議。

しかし、私たちはその「家事の重要性の温度差」を放置したまま、親となってしまい、次に「育児の温度差」にぶちあたることになる……。

息子が生まれて数か月間の夫婦の様子だ。
夫:会社で働く+学校に通う(平日+休日)+出張=およそ家にいない(帰宅は深夜)
私:育児+在宅仕事+家事=3つワンオペ

ほとんど家にいない夫は、赤ちゃんというものが、夜中に5回くらい起きることを知らず、眠れない母親の心身というものを知らず、赤子を死なないように見守ることの責任の重みなどをまったく知らないでいたのである。

徐々に私は心身ともに疲労困憊となってくる。その旨を夫に伝えているつもりだが、顔を合わせるのは朝の1時間くらいである。

おそらく多くの方に経験があると思うが、「分かり合えない人間に分かってもらい、動いてもらう」ってすごく難しい。

「人を動かすにはまず自分から」という大正解も知っているが、なにせそれを実行するにも、莫大な体力、知力、根気が要るので、こちらにも、あちらにも心の余裕が不足していると、到底成し遂げられるものではない。

ということで、乳飲み子の世話と家事と仕事(極少量)でいっぱいいっぱいだった当時の私が取った方法は、「夫の存在を消す」であった。

あの人は関係のない人、当面は生活費をくれる人として割り切る。
そして子どもが手を離れたら離婚しよう。この子と新しい人生を作るのだ。そのために今から何ができるか?

私は、ほの暗い爆弾を抱え、自治体のサイトなどを調べ、シングルマザーになったらいくら助成金がもらえるかを算段し始めた……。ああ、あの時は電卓を何度もはじいたっけ。

さて、この辛い状況の原因はいろいろあるが、大きくひとつに絞ると、

「生活を変えられない夫、生活を犠牲にされた妻」

の温度差である。

・夫:キャリアが順風満帆(?)でスキルを自由に伸ばし、子どもも生まれて家庭円満ぽく見える(ちなみに学費は、そこそこの車が一台買えるほど)
・妻:キャリア中断、年収1/20、睡眠の確保ができず乳児の世話にあけくれ、自我が消える

白状すると、私は「うまくいってるように見える」夫に対して炎のような怒りと嫉妬を感じていて、それがゆえに素直に「助けて」サインが出せなかったのだろう。そして、夫は仕事と学びに謀殺されて、サインを受け取る心の余裕がなかったと思う。

では、私たちはどうすべきだったのか、いくつか考えられることを挙げておこう。

・夫:どんなに忙しかろうが、家事・育児を味わうべき。不在で無理なら、アウトソーシング(家事代行)を調べて、実行してもよかった。
・妻:不満をため込まず、イヤならイヤときちんと主張すべき。自分の母親や他の母親と比べず、あくまで自分の尺度で「辛い」「つらくない」を決めていい。
また、母親なら子育てをワンオペでできて当たり前、今までできていた家事も仕事もできて当たり前、だとの思い込みを捨てること。だって、育児界ではド素人(子どもが2人に増えたら、2人育児界でのド素人になる)。
・夫婦:子どもをどういう風に育てるか、親たちはどういうライフスタイルを取るか、忙しくてもいったん話し合うべき(あとで修正可能とする)。

■改善に向かう道筋


さて、上記のような家庭崩壊秒読み状態を食い止めるきかっけは、皮肉にも私の怒りが爆発したからだった。

息子が生後5ヵ月目になった夜のこと。珍しく夫が21時頃に帰宅し、私に以下のように言った。

「〇〇〇(名前)が、5ヵ月になったな」。

ふつうの精神状態なら、「そうだね(ニコッ)」と微笑み合うところだが、私は瞬時に号泣、「〇〇〇(名前)がひとりでに5ヵ月になったみたいに言ってるけど、私がここまで育てたんだから! あんた、何にもやってないじゃないーーー!! ふざけんじゃねええええ!!!」と雄たけびをあげたのだった……。

その後、唯一覚えているのが、夫がまさに「ハトが豆鉄砲を食らったような顔」だったことだ(あと、寝ていた息子が起きて号泣)。彼は、私がストレスを溜めていることに微塵も気が付いていなかったようである。

その日を境に、夫は風呂掃除を担当するようになり、私はそれを習慣化してもらうべく、夫が忘れそうな時はハッキリ言うようになった(残念ながらバシッと家事をやってくれるようになったわけではなく、毎日のオーダーの積み重ねだ)。

なおその1年後、我が家は夜洗濯→夜干しとなって夫メインの家事となり、保育園の送りも夫となった(そのころ夫は、月の半分出張で不在だったが)。さらにその1年後、食器洗いは夫メインの家事となり、夫の意向で食洗器が導入された。

おそらくその時々のきっかけは、「私の表明・主張(たまに怒りの噴火)」である。
夫に「〇〇してほしい。なぜなら〇〇だから」、心苦しい時もあろうが、これを言わねば始まらない。

■他人どうしが気持ちよく過ごすために


つくづく思うのだが、夫は良くも悪くも、他人である。
そしてわが夫は、外圧がかからないと、自分の仕事(趣味)にひたすら没頭してしまい、うっかりすると周囲の存在を忘れてしまう。そこに悪気はない。

おそらく家族のことは好きなのだが、ひとつ屋根の下に暮らしているだけで、私(妻)がどう思って日々生活しているかなど、興味はないのだ。

ということは、定期的に「私と子どもたちは、ここにいますよ!」「私はこう考えていて、こうしてほしいです!」と教えてあげないと、意識が向かないのだと思う。

そして私はといえば、当初「言いにくいことを察してほしいな」と思っていたが、一緒に生活するにつれ、その甘えを改めた。察するなんて、ムリ、ムリ〜!

夫婦は他人、よその世界から来た人であるから、嫌味なく単刀直入にハッキリ言わないと伝わらない。またハッキリ言っても許容してもらえる関係がいい夫婦関係なんじゃないかと考えを改めた。

■改善のための心構え(夫婦編)


以下、前項の内容とかぶるところもあるが、家庭を円満に回す考え方を挙げておく

●夫と妻は家庭の共同経営者
たびたび登場しているが、私は上記のように考え、夫と共有することにした。
(会社とは違うなと思う方は「何かのチーム」であると考えてもいいと思う)。

私は会社を経営したことはないのだが、その都度、営業努力をしないと潰れてしまうし、共同経営者のどちらかが怠けると、業務は他方に偏重し、禍根が残る(または分裂する)ものだと思っている。

家庭も同じく、ボーっとしていると、きっと潰れる。
毎日家族を顧みるのも大変だろうが、家族の誰かが辛そう、キツそうと察知(または主張)したときは、その都度こまめなケアが必要なのではないか。小さなことだからと無視すると、あとあと損害が大きくなりそうだ。

●夫婦の経済格差をどう考えるか?
我が家は、夫が主な稼ぎ手で、私が少々を得て暮らしている。その差数倍のため、カネの話を持ち出されると、ちょっと気まずい(今のところ持ち出されていないが)。

が、そこは共同経営者たる心意気である。金を稼ぎだすことも重要だが、私は「いる」ことが重要、子どもたちが安定し、生活が回るのでその役割を果たしていると(やや強引に)思うことにしている。だって、ママが消えたら結構大変、ですよね?

また以前「家にいられていいな」と夫が言ったので、私は「じゃあ交代しよう! 私は外で働きたい。」となった(フリーランスは産休・育休という制度が適用されない)。ふたりの要望がマッチしたように見えたが、結局カネの件で現状に落ち着いている……嗚呼、経済力よ。

ここまでが、夫と一緒に家事・育児を回すための体験談・前編である。
後編では、意外と根深い、母親の育児に対する意識について。私が「ものさし」としていることをお伝えしたい。

旦那と一緒に家事・育児を回すには? ガチで考える【後編】
http://mamapicks.jp/archives/52227972.html


斎藤貴美子
コピーライター。得意分野は美容・ファッション。日本酒にハマり、Instagramの#SAKEISAWESOMEkimikoで日本酒の新しい切り口とコピーを思案中(日本語&つたない英語)。これからの家族旅行は酒蔵見学。二児の母。