1982年に公開された映画『ブレードランナー』を知っていますか?
2019年を舞台にしたSF映画で、独特の世界感を打ち出し、多くの人を魅了しました。映画公開後もディレクターズカット、ディレクターズカット完全版、ファイナルカットなどがDVDやブルーレイでパッケージ化。ファンの間ではSF映画の金字塔と呼ばれている名作です。
そんな『ブレードランナー』の続編『ブレードランナー2049』が、10月27日についに公開されます。

今回は公開前に、抑えておきたいポイントを紹介しましょう。

『ブレードランナー2049』10月27日全国ロードショー 配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 製作総指揮:リドリー・スコット、監督:ドゥ二・ヴィルヌーヴ、出演:ライアン・ゴズリング、ハリソンフォード

そもそも『ブレードランナー』ってどんな映画?

まず『ブレードランナー』についておさらいしましょう。
1982年に公開された『ブレードランナー』は、リドリー・スコット監督が手がけました。出演はハリソン・フォード、ショーン・ヤング、ルドガー・ハウアー等。

2019年、地球では遺伝子工学により開発されたレプリカント(人造人間)たちは、過酷な労働を強いられています。奴隷のように働かされているレプリカントたちですが、彼らには次第に感情が芽生えてきます。そして、人間に反発するようになり、事件が多発。そこで登場したのが、人間社会に紛れ込むレプリカントを探し出し、「解任」(始末)するブレードランナーという専任捜査官です。

ブレードランナーのデッカード(ハリソン・フォード)は、人間を殺害したレプリカントを探すため、レプリカントを開発しているタイレル社へ向かいます。

そこで出会った、タイレル博士の秘書・レイチェルがレプリカントであることを見抜きます。しかし徐々に、デッカードはレイチェルに惹かれていき、2人は逃避行に出る…。というのが大まかなストーリー。

太陽は姿を消し、雨が降りしきる2019年の世界は混沌としています。高層ビルに囲まれた人口過密な雑多な繁華街。看板には日本語の文字が並び、まさに東京をイメージした感じ。そこから端を発し、この映画は日本でも人気を集めることとなりました。今でも、劇中でデッカードがうどんを食べるシーンは名シーンとして語り継がれています。

ほかにも、レプリカントのバッティ(ルドガー・ハウアー)と、デッカードの対決シーンや愛のテーマをはじめとするサントラも素晴らしく、美術・ストーリー・キャスト・音楽と全てにおいて、脳裏に残る映画なのです。

2049年、レプリカントはさらに進化

そして、2049年のLAに舞台は移ります……。

2049年になっても、レプリカントは変わらず労働力として製造され続けています。危険なレプリカントを取り締まるブレードランナーも健在。ブレードランナーのK(ライアン・ゴズリング)は、ある事件を担当することになります。捜査を続けていくうちに、レプリカント開発を進めるウォレス社の陰謀を知ることに。
さらに、その闇を暴く鍵となる男に出会います……。
その男こそ、30年間逃亡を続けていたブレードランナー、デッカード(ハリソン・フォード)。デッカードはなぜ隠れるように暮らしているのか、その秘密をKは知ることとなる…。

うどんを食べるか?それは劇場で確かめて。

デッカード。老いましたけど、健在です。

公開前から、ライアン・ゴズリングとハリソン・フォードの共演が話題になっていましたが、作品では、デッカードがストーリーの大きな柱のひとつとなります。30年前と違うのは、デッカードが年老いて動きが鈍くなったことぐらいでしょうか。

そして、ライアン・ゴズリングが、本作でも素晴らしい!劇中ずーっと悲しそうな顔をしてます。どこはかとなく香る不幸臭が、母性をくすぐります。2049年の町も雨がよく降っているのですが、Kに濡れた子犬のような目で見られちゃったら、もうたまりません。本当にKは、ライアン・ゴズリング適役です!キャスティングお見事!

前作を超える、圧倒的な世界感!

『ブレードランナー』で描かれた雑多な繁華街は、2049年にも登場。本作の繁華街では、電子公告が前作よりも自由に動き回ります。そして、嬉しいことに、日本語の看板もあちらこちらに登場しますのでお楽しみに。

ほかにも様々な新たな技術が登場するのですが、これが本当に実現しそうなものばかり。AI技術の進化を見ているだけでも、この映画は存分に楽しめますよ。

2049年は電子公告がさらに進化。可愛いお姉ちゃんが話しかけてきますよ。

2049年のLAのコンセプトアート。昔の秋葉原の電気街っぽい?

本作の監督は、ドゥニ・ヴィルヌーヴ。宇宙人と人間との対話を描いた『メッセージ』を監督した人です。ヴィルヌーヴ監督は、撮影監督のロジャー・ディーキンスと何週間も一緒に過ごし、ストーリーボードを描いて、世界感を視覚的に構築していったのだとか。さらに、ディーキンスはこの映画の準備だけで1年を費やし、ダークでウェットな世界感を踏襲。前作のDNAを受け継ぎ、見事に30年後の世界を生み出しました。あまり多くを書けないのが惜しいのですが、本当にもう、美術がスゴイです。見事です。

空飛ぶクルマ「スピナー」も進化しています。

さらに音楽も素晴らしいんです。今回音楽を手がけたのはハンス・ジマー。彼は『インターステラー』や『ダンケルク』の音楽を手がけた人で、前作のヴァンゲリスのシンセサイザーを駆使した音楽を引き継ぎ、印象的なスコアを作り出しています。どこか『メッセージ』っぽい曲もありますが、『ブレードランナー2049』の世界感を盛り上げるサウンドにも注目です。

『ブレードランナー2049』に欠かせない女性たち

ライアン・ゴズリングとハリソン・フォードの話しか書いていませんでしたが、本作は女性キャストも素晴らしいんです!

Kの上司にロビン・ライト、ウォレス社 社長秘書のシルヴィア・フークス、AIのアナ・デ・アルマスとどの役も個性的。とくにシルヴィア・フークスの前髪ぱっつんスタイルは、前作のレイチェルを彷彿とさせます。秘書ってこういう髪型にするのが未来のトレンドなのでしょうか? 

ロビン・ライト(左)と、シルヴィア・フークス(右)。じりじりにらみ合ってます!

AIを演じたアナ・デ・アルマス。スタイル良し。そしてバツグンに可愛い……。

そういえば、前作の『ブレードランナー』では、バック転する女レプリカントのプリス(ダリル・ハンナ)がめちゃくちゃ強かったですね。今回は、果たして前作を超える強い女レプリカントが登場するかもしれませんよ。

本作の上映時間は、2時間43分とかなりの長尺。でも、時間の経過を忘れてしまうほど、没入できる映画です。

「それでどうなるの?この後どうなるの?」「いやいや、これで終わりじゃないだろう」と、ストーリーを追いかけていくとあっという間に終わってしまう感じです。

前作『ブレードランナー』を見てから、劇場に行くのがベストですが、本作を見てから前作を見るという逆スタイルもあり。「あのシーンは、このシーンへのオマージュだったのか」と、新しい発見があるかもしれません。

とにかく『ブレードランナー2049』は見終わってから、じわじわと良さが効いてくる作品。2Dと3Dの上映があるので、両方を見て比べるもよし。字幕と吹き替えの両方を楽しむもよし。何度でも劇場に通って、ブレードランナーの世界を思いっきり堪能してください!