10月になり、各局で連続ドラマが始まっている。ドラマファンにとっては新しい作品との出会いに期待の膨らむときだ。

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 なかにはいち早く9月から始まったものもある。『吾輩の部屋である』(日本テレビ系)がそれで、Sexy Zoneの菊池風磨は連続ドラマ初主演となる。ひとり暮らしの大学院生の日常をコミカルに描いた、いかにも深夜ドラマらしいテイストの作品である。

設定もユニークだ。菊池はずっと自室のなかのひとり芝居で、共演者はいない。ただ、部屋にあるカバの置物や炊飯器などが言葉を話し、菊池の行動にツッコミを入れたりする。放送されている「シンドラ」枠は、前クールの『孤食ロボット』もHey! Say! JUMPの有岡大貴、高木雄也、八乙女光が小型アンドロイドに扮するという設定だったので、ジャニーズ出演による実験的な色彩の強い作品が続いていると言える。このドラマの菊池の演技もそんな作り手の意欲に応え、いい味わいを醸し出している。

それに続いて10月からの作品も続々スタートしているが、そうしたなか今回は、出演するジャニーズから特に櫻井翔、上田竜也、小山慶一郎の3人に注目してみたい。というのも、彼らの今期の出演ドラマにはどれも、作品や演技の魅力もさることながら、それぞれの他分野での活躍を連想させる面白さがあるように思えるからである。

 ではドラマの開始順に見ていくことにしよう。

 まずKAT-TUNの上田竜也は、『新宿セブン』(テレビ東京系)で連続ドラマ初主演を果たした。新宿・歌舞伎町で質店を開く天才鑑定士・七瀬が彼の役柄だ。毎回、彼が鑑定を依頼された品物をめぐってストーリーが展開する。海外も物語の舞台となっているスケール感のある作品だ。「勇者ヨシヒコ」シリーズなど数々の名作を生んだおなじみの「ドラマ24」枠でもあり、期待度も高い。

 そんななかでひとつ注目したいのは、中村倫也扮する質店の店員・大野健太との関係性だ。大野はまだ見習いで、修業中の身だ。恋愛のことで過去に苦い思い出も抱えている。それに対し、七瀬は厳しく接しながらも根っこのところでは優しく見守っている。いわば良き兄貴のポジションだ。

 それは、『炎の体育会TV』(TBSテレビ系)の企画「上田ジャニーズ陸上部」でジャニーズJr.たちの監督を務める上田竜也の姿にも重なる。一線級の陸上選手たちにレースを挑むにあたって自ら率先して過酷なトレーニングに取り組み、また一人ひとりの様子を見て親身にアドバイスを送る。そんな厳しさのなかにも愛情あふれる接し方は、七瀬と通じるものがある。

 先日放送された『ヨーロッパ1300km 爆走!ガチンコラーメン屋台』(テレビ東京系)も似た点で印象的だった。フランスなどヨーロッパ各国をラーメン店の店主と車で二人旅をしながら、訪れた街の人々にオリジナルのラーメンを売っていく。比較的年の近い二人が買い出しからともに始めて真剣にラーメン作りを進める一方で、儲かった分で仲良く観光に繰り出す様子は、バディ感にあふれていた。

 KAT-TUNが充電中ということで、亀梨和也、中丸雄一と同様、現在は上田竜也もソロ活動が中心だが、そのなかで彼のワイルドさとキュートさの絶妙なバランスの魅力もより知られるようになりつつあるのが感じられる。その魅力がノワールな雰囲気の漂う今回のドラマのなかでも発揮されるに違いない。

 次に取り上げる嵐の櫻井翔主演『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)は、少し変わったタイプの学園ドラマだ。

 同じ日本テレビがかつて得意にしていたタイプの学園ドラマでは、熱血タイプの新任先生やちょっと不良っぽい生徒が主役なのが相場だった。だが櫻井扮する鳴海涼介は校長先生、しかも私立高校の経営立て直しのために送り込まれてきた商社マンだ。当然、ビジネス・採算重視の鳴海と教育者である教師たちは対立する。これまでの学園ドラマなら、このような場合主人公は教師側のはず。その意味で、斬新な設定である。

 それは、理想と現実のギャップということでもある。その点、初回の奨学金をめぐる話は象徴的だった。家庭の経済的事情で大学進学を断念しようか悩んでいるひとりの男子生徒がいる。そんな彼に対し、周囲の人々は奨学金で進学することを勧める。だが鳴海は、大学で奨学金をもらっていた経験者として卒業後の返済の厳しさを知っておいてもらおうと現実の大変さを伝える。ところが生徒は、「そんな怖い話聞きたくなかった」とその場から逃げ出してしまう。

 このような場面を見ても、今回の櫻井翔の役柄には『NEWS ZERO』(日本テレビ系)でキャスターとして社会問題を解説し、伝える彼の姿がオーバーラップする。

 担当コーナーである「イチメン!」の「ニュースの“そもそも”を伝える」というコンセプトは、まさに奨学金の“そもそも”を伝えるドラマのなかのセリフとリンクしている。もちろん奨学金の話はドラマのセリフとして櫻井翔は語っているわけだが、私たちが普段目にしているキャスターとしての彼の姿がより説得力を持たせているのではなかろうか。

 さらに穿った見方をすれば、今回の学園ドラマとしての新機軸自体が、アイドルでもありキャスターでもあるという櫻井翔のふり幅の大きさがあったからこそ実現したものでもあるように思える。「学校の理想」と「学校の現実」、その両者をつなぐ役柄に彼はうってつけと言っていい。

 最後にNEWSの小山慶一郎は、『重要参考人探偵』(テレビ朝日系)で約5年ぶりの連続ドラマ出演となる。

この作品で、小山は主演のKis-My-Ft2・玉森裕太(『リバース』(TBSテレビ系)で進境著しい演技を見せた彼については、また別の機会にふれたい)のモデル仲間で、推理マニアの周防斎を演じている。玉森演じる弥木圭は、なぜか死体の第一発見者になる体質の持ち主で、そのためいつも事件の重要参考人になってしまう。その窮地を弥木、周防、そしてもうひとりのモデル仲間、古川雄輝扮するシモン藤馬が加わった三人が協力して事件を解決する、というのが基本のストーリーだ。

 小山慶一郎には役柄上事件についての推理をよどみなく話すことが求められる。初回にもそういう場面があったが、やはり普段のキャスター業の経験が生きているよう感じられた。実際、事前に出演した『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)では、ドラマの監督から「滑舌が良すぎる」ことを心配されたが、推理を披露するシーンではむしろキャスター滑舌を使ってよいということになったという裏話も披露していた。

 また、本作は『TRICK』の伝統を引く「金曜ナイトドラマ」枠ということもあって、本格ミステリーを基調にしつつコミカルな要素も盛り込まれている。その中心になるのは、玉森裕太、古川雄輝、そして小山慶一郎の三人組による軽妙なやりとりだ。ここでの小山は、三人のあいだの潤滑油的かつ指示役的なポジションである。

 そこには、現在放送中の『NEWSな2人』(TBS系)などでさりげない気配りとともにスムーズな仕切りを見せる小山慶一郎の姿が彷彿とする。玉森裕太も先述の『羽鳥慎一モーニングショー』のなかで、小山のことを「兄貴みたい」だと言い、いつもしゃべりかけてくれるとその気遣いに感謝していた。そうした空気感が、ドラマにも自ずと反映されているのだろう。

 もちろん、ドラマは独立した作品であり、それだけで楽しめるものである。だがこうして他分野での活躍と重ね合わせながら見るのも楽しみ方のひとつだろう。そしてそれは、ジャニーズの活動分野がそれほど多彩を極めるようになっていることの証でもある。(太田省一)