羽生結弦【写真:Getty Images】

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本来はライバルも…GPロシア大会エキシビション、ホタレックの男気リフトが話題

 フィギュアスケートで今週、1枚の写真が話題を呼んだ。男子シングルのミーシャ・ジー(ウズベキスタン)がインスタグラムを投稿。掲載したのは、22日に行われたグランプリ(GP)シリーズ、エキシビションのリンク上で撮影された出場者の集合写真だった。

 男子で優勝したネイサン・チェン(米国)、女子で優勝したエフゲニア・メドベージェワ(ロシア)といった30人以上の豪華な面々がジーのセルフィーにより1枚に収まっているが、この写真でひときわ目に付くのが、羽生結弦(ANA)だ。後方にいるのに、ほかの選手より明らかに高いところから、くしゃくしゃにした笑顔で会心のピースを決めている。

 まるで空を飛んでいるかのよう。しかし、これには理由があった。ペアのオンドレイ・ホタレック(イタリア)が演技さながらにリフトでグイッと持ち上げていたのだ。撮影の直前、会場に華やかなゴールドテープが発射され、羽生は足などに絡まってしまった。ほどくのに時間がかかり、位置取りが後方になってしまった。これにホタレックが気づき、男意気で羽生を立てたのだ。

 結果的に羽生も“フライングピース”で収まることができた。これに多くの日本人ファンが反応。ホタレックに対し、SNS上で感謝の言葉が投げかれた。ホタレックも日本人ファンが別角度から撮影した写真をインスタグラムで掲載。「この写真を撮ってくれてありがとう!僕も同じくらい見えるように撮ってくれたね!それと、多くの親切な言葉もありがとう!」と感謝していた。

海外ファンも「ジェントルマン」と称賛…尊敬と絆で結ばれたスケーターの姿

 男子シングルの日本人とペアのイタリア人。種目も国籍も違うが、粋なシーンに心を動かされたのは、日本人ファンにとどまらなかった。「この写真は豪華で美しい!」「ユヅを持ち上げた君はジェントルマン!」「あなたの気遣いは、常にファンの心を温めてくれる」などとホタレックのインスタグラムには海外のファンから多くの称賛の声が上がっていた。

 羽生らを含め、選手たちが1枚の写真に笑顔で映っているが、本来は互いにライバルである。まして前日まで、大会でしのぎを削っていた。しかし、採点競技のフィギュアスケート。リンクに上がれば、ほかの誰でもなく自分との闘いになる。その瞬間、持てる力を出し切るだけ。だから、リンクを離れれば、フィギュアを愛し、心を注ぐスケーター同士、尊敬と絆が生まれていく。

 羽生とホタレックのひとコマも、フィギュアスケートというスポーツの美しさが垣間見えるワンシーンでもある。多くのファンの心を打ったのも、そうした理由が大きかっただろう。リフトから降りた後、羽生がホタレックに感謝するような仕草を見せていたことも、またいいシーンだった。

 果たして、ここからリンク内外でどれだけファンを魅了し、楽しませてくれるのか。心躍るシーズンはまだ、始まったばかりだ。