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 こんにちは、産業医の武神健之です。

 昨今、「ブラック企業」という言葉をメディアで見る機会が増えました。長時間労働や違法残業、パワハラやセクハラ、あらゆる場面においてその舞台となった会社がブラック企業と断定され“炎上”する傾向が強いようです。

 今回は、そもそもブラック企業とは何なのか? そして、もし自分の会社がブラック企業だとしたら、被害者になり、泣き寝入りしないために普段から何に気をつければいいのか?ということについて、産業医の立場から書かせていただきます。

◆産業医はあくまでも中立の立場

 私は実際にハラスメントがあったか否かは、産業医の判断するところではないと考えています。実際に年間1000人の働く人と面談していると、ハラスメントを直接訴えにくる人もいますので、その社員にはハラスメントの有無判定については、会社のホットラインや法テラスなどのしかるべき対応方法をお伝えしています。

 実際はハラスメントを訴えるのではなく、体調不良の相談をしにきたその面談のなかで、本人がハラスメントと感じている事象が明らかになってくるほうが多いと感じます。

 産業医としては、ハラスメント被害から社員の心と体の健康を守ることをお手伝いします。しかし、産業医はあくまで中立の立場であり、社員側からの話だけでハラスメントだと断定したり、その後、会社側の話も聞いて、産業医の立場でハラスメントの有無を判定することはありません。

 相談にきた社員には、ハラスメントについてしかるべき相談先に相談するときに、自分が感情的にならずにしっかり説明できるのであればするべきとお伝えします。しかし、情緒的に不安定になってしまうのであれば、産業医のカルテの中にその面談日のことは記載しておくので、相談先に掛け合うのは時期を待ったほうがいいともお伝えしてます。

◆ハラスメントへの3つの処方箋

 私は産業医面談にきた社員が「ハラスメントにあった・あっている」といったとき、しっかり話を聞く以外に、以下の3点をお伝えしています。

第1の処方箋:記録をつける

 1つめは、記録をつけるということです。

 なぜならば相談にきた時点では、実際にハラスメントがあったか否かは、あくまで個人(その社員)の声でしかないからです。通常は、実際にそのことを会社に伝え、調査が行われ、第3者がハラスメントの有無を判定するため、まずはその社員がハラスメントということの記録をつけることを提案します。

 例えば、性格がだらしない、「今までそんな人見たことない」と言われて涙が出たなど、箇条書きのメモ程度でいいので、被害を受けたと感じた日時、場所、そのときに周囲にいた人(同席者)、具体的に何を言われた/された、そしてどうなったかを記録することを勧めます。

 大切なのは、感情的なことを書きたくても、記録は客観的事実をしっかりと書くべきだということです。自分で記録できないときは、一緒に暮らす人にお願いするべきです。

第2の処方箋:相談相手を見つける

 2つめは、相談相手を見つけておくことです。

 相談相手にハラスメントについて話すことは、何かのときの承認になってくれます。また人に話すことで、約9割の人が気持ちが楽になると言われていますので、自分のなかだけにとどめて悩むのではなく、ぜひ辛い気持ちを共有できる人を見つけておきましょう。

 この相談相手は同僚、友人、上司の上司、人事など会社の人がよいのか、社外のプライベートな関係な人がよいのかは個々人により考え方はさまざまです。今、ハラスメントを受けていなくても、自分だったら誰に相談するか、平常時から心構えを持ち想定しておくことが大切です。