10月25日午前、出張先のパリから帰国した小池百合子東京都知事(写真:日刊現代/アフロ)

「多くの有為な人材をこの選挙で失ってしまったということは、本当に残念至極だ」

10月25日午後に開かれた希望の党の両院議員懇談会。代表である小池百合子東京都知事は冒頭の挨拶でこう述べた。

10月22日に行われた衆議院選に235人もの候補を擁立しながら、当選したのは50人。希望の党は、公示前より7議席減らした。9月25日の結党宣言時には飛ぶ鳥を落とす勢いだった小池知事だが、その後、あっという間に失速した。自身の衆議院転身というサプライズがなかったこと、民進党から希望の党への合流しようとしたメンバーに安保法制容認と憲法改正支持という“踏み絵”を課して野党分裂を招いたことなどが、失速の要因として指摘されている。

テーマカラーである百合子グリーンを封印

その際に、小池知事が用いたのが「排除」という言葉。「(踏み絵を踏めない、あるいはあえて踏まない民進党出身者を)排除します」との発言が、国民の支持を立憲民主党に向かわせる大きな要因となった。


両院議員懇談会で議員たちと握手をする小池百合子氏(筆者撮影)

「私の言動によって、同志のみなさまには大変ご苦労をおかけしたこと、これについては心ならずも多くの方々を傷つけてしまったことについて、あらためて謝りたいと思っている」

その謝罪と反省の表明なのだろうか、衆院選前日の21日以降は希望の党のテーマカラーである百合子グリーンを封印。パリへ出張する際や現地で投開票の取材を受けた時、そして25日に帰国した時にも緑色のものを身に付けなかった。

希望の党として初めて開かれた両院議員懇談会でさえ、百合子グリーンは小池知事によって“排除”されたままだった。その間に身に付けていたのは黒がメイン。これは、討ち死にした185名ものメンバーへの哀悼の意の表明だったのだろうか。

「私自身にも奢りがあったのではないかと反省している」。小池知事は投票日である22日、公務先のパリでメディア各社のインタビューに対して神妙にこう述べている。だが謝罪はしたものの、小池知事は代表辞任については口にしなかった。

代表辞任の考えがないとの発言は、帰国後も同じだった。25日朝に成田空港に到着した時は「創業という責任というものもあると思うので、その辺も見極める必要がある」と述べ、代表続投に意欲を見せた。解党についても「責任の取り方としてよくないのではないか」と否定した。両院議員懇談会では、「1000万人近い方々が比例で『希望の党』と書いてくれた。それを忘れてはならない」と述べて、民意を味方にして押し切ろうとした。ところが・・・。

小池代表の辞任を求める声も

「少数だが、小池代表に辞任を求める声があった。しかし1000万票の比例(票)の重みを感じている人が多かった」。両院議員懇談会を一時中座した柚木(ゆのき)道義氏は、記者に囲まれて議論の様子を述べている。「私はあの“排除”発言について、なぜ選挙中に謝罪しなかったのかと述べた。また人事についてはトップダウンではなく、“全員野球”にしてほしいと主張した」。

こうした柚木氏の願いは小池知事に届いたのだろうか。この時の小池知事はひとりひとりが述べる意見に答えずに、ただメモをとっていただけだという。

「今週中に人事が決まり、年内に党規約の改正を行うことになる。個人商店として出発した希望の党だが、”上場企業”になるべく内容を変えなければならないだろう」。3時間に及ぶ両院議員懇親会を終えて、小宮山泰子氏がこう話した。実際のところ、現在の希望の党の党規約は「小池百合子が創業した個人商店」という前提で作られている。

たとえば第8条で、代表は党を代表する最高責任者として位置づけられ、国会議員でなくても就任可能と明記されている。そして同条2項により、代表が国会議員でない場合に国会内でのみ権限を持つ共同代表を置くことができるとし、「共同代表」は「代表」と区別されている。

さらに代表は2期6年まで務めることができるが、自発的な辞職の他、医学的問題により代表業務継続が困難な場合に国会議員の3分の2以上の賛成での解職が認められると規定された。しかしその他の場合にリコールすることはできず、たとえば不祥事を理由に代表を解職しようとしても、規約に基づく以上は不可能だ。

その結果、小池都知事は今後6年にわたり、党内で絶大な権力を掌握することになる。実際に両院議員懇談会の後のブリーフィングで、樽床伸二代表代行は「創業者だから」と小池知事の“特別な地位”について明言。その言葉から、希望の党を“個人商店政党”から脱皮しようという意思は伺えなかった。

「人事については国会議員に任せる」と明言した小池知事自身も実のところ、権力に強いこだわりがあるようだ。懇談会後のブリーフィングで記者から「国政で意見が分かれるテーマがあっても、対処は国会議員団に任せるのか」と質問された時、「テーマによる」と答えた。

これは代表である自分に決定権があるが、普段は行使を控えるという意味だ。だが小池知事がいつ国政に強い影響力を行使してくるかはわからない。実際に側近の若狭勝氏が今年8月に国政政党を作ろうとした時、「国政は若狭に任せる」と小池知事は明言した。それなのに希望の党の結党時には、若狭氏や細野豪志氏がそれまでに作り上げてきたもの全てを“リセット”した。

都民ファーストの会も危機状態

しおらしく「都政にまい進する」という小池知事の言葉も、「権力の自制」から出たものとは思えない。というのも、小池都政の基盤となる都民ファーストの会が危機状態だからだ。

希望の党の両院議員懇談会が開かれた25日、都議会民進党はすでに決まっていた都民ファーストの会への合流をとりやめた。都民ファーストの会は10月5日に音喜多駿都議と上田令子都議の2名が離脱したが、都議会民進党のメンバー5名が参加するために党勢には影響はないと言われていた。

さらに都民ファーストの会から離脱者が出ると囁かれている。そういうことが続くと都民ファーストは、崩壊の危機に瀕しかねない。22日に筆者が配信した動画の番組でゲストとして出演した自民党の川松真一朗都議は「その噂は聞いている」と話している。

同番組に出演した公明党の斉藤泰宏都議は「都民ファーストの会は都議会で単独過半数を制していない」と小池都政の地盤の脆弱な点を指摘した。だからこそ都議会公明党との連携が必須となるのだが、国政で公明党は自民党と連立を組んでおり、希望の党との連携は不可能だ。小池都知事は、国政に活路を見いだせず、とはいえ足元の都政でも困難が待ち構えているのである。

11月1日に特別国会が召集されて首班指名が行われる。ところが、希望の党は首班の候補者選定ですら難しい政党である。そこに、国民は“希望”を見いだせるだろうか。