米アマゾン・ドットコムは、先に発表していた第2本社の建設計画について、その候補地の募集を10月19日で締め切った。併せて同社は、これまでに北米の54に上る州、地区、属州の都市や地域から、合計238件の提案を受けたと発表した。

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米国とカナダ、ほぼすべての州から応募

 同社は、自治体名のリストといった詳細については公表していない。だが、第2本社の候補地として名乗りを上げた地域を示す地図は公表している。

 これによると、米国では、わずか7州(ノースダコタ、サウスダコタ、ワイオミング、モンタナ、バーモント、アーカンソー、ハワイ)を除くすべての州、あるいは、それに属する都市が応募しているようだ。意外なところでは、米自治領のプエルトリコも名乗りを上げている。

 カナダでは、中部のサスカチュワン州、西部のユーコン準州、東部のニューブランズウィック州などを除く、ほぼすべての地域から応募があった。メキシコでは、米国と国境を接するチワワ州、中部のイダルゴ州、ケレタロ州からの応募がある。

あの手この手でアマゾンにアピール

 アマゾンの創業は1994年。同社はその翌年から書籍のネット販売で本格的に事業を開始し、1997年に上場。それから20年、米ワシントン州シアトルの本社を拠点に事業を拡大してきた。しかし、今後は、この本社を残しながら、新たに同規模のもう1つの本社「HQ2」をシアトル以外の土地に建設する。

 アマゾンが計画する今後20年間の投資額は、50億ドル(約5700億円)。そして、第2本社では、新たに5万人を新規雇用する計画だ。

 現在のシアトル本社(2010年に移転)には、その周辺の施設も含め、合計33棟のビルがある。これらの総面積は810万平方フィート(約75万2500平方メートル)と、東京ドーム16個分。その過去7年間の設備投資額は、37億ドル(約4200億円)。同期間に従業員に支払った報酬総額は257億ドル(約2兆9300億円)。そして、地域経済にもたらした間接投資額は380億ドル(約4兆3300億円)に上る。

 北米の自治体は、こうした経済効果に期待し、こぞって誘致合戦に参加しているという状況だ。そしてその競争は白熱している。例えば、米首都ワシントンのミュリエル・バウザー市長は、アマゾンのAI(人工知能)スピーカーを使って、首都ワシントンが最適だと訴える動画を公開した(米ニューヨーク・タイムズ)。

 また、カナダのカルガリーは、アマゾンのお膝元であるシアトルの新聞「シアトル・タイムズ」に全面広告を掲載したほか、アマゾン本社近くのビルに横30メートルの垂れ幕を掲げた(CBSニュース)。

 米アリゾナ州の都市トゥーソンは、名物の巨大サボテンをアマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)に送った。ただし、アマゾンはこれを受け取らず、適切なところへ寄付するよう依頼したという(米ウォールストリート・ジャーナル)。

自治体の税制優遇提案に批判

 なんとかして、アマゾンの気を引こうとする自治体の動きは、熱狂的なお祭り騒ぎの様相を呈していると、ニューヨーク・タイムズは伝えている。

 この誘致合戦については、先ごろ、米ニュージャージー州と同州最大の都市ニューアークが、総額70億ドル(約7970億円)に上る税制優遇措置を提案した。しかしこうした自治体の提案には、批判の声もあがっていると同紙は伝えている。

(参考・関連記事)「激化するアマゾン第2本社の誘致合戦」

 なお、アマゾンの発表によると、同社は来年(2018年)、第2本社の建設地を選定する。2019年には新社屋を開設し、営業を始める計画だ。

筆者:小久保 重信