最近では共働きが当たり前となり、産休や育休後も仕事を続ける女性は年々増えています。会社側も「働きやすい環境」を整えるようになりましたが、「年金の保障」はどうなのでしょうか。休んでいた期間の分、将来の受取額が減らされてしまうということは? こんな疑問に無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』の著者・hirokiさんが答えています。

産前産後や育児休業期間の厚生年金保険料は支払わないから将来の年金が不利になるのか

年金に関しては産前産後と育休中の保障はあるのか。これは厚生年金なら保険料免除制度があります。国民年金との免除と違うのは、厚生年金保険料の育休中の保険料免除は保険料を納めたものとして扱い、将来の厚生年金額が出産育児という事で不利にならないように配慮されています。

なお、国民年金保険料については平成31年4月から産前産後休業の免除が導入され、保険料免除でも申し出により支払ったものとみなされます。この財源として国民年金保険料が100円アップします。

● また値上げ。上限が決定している国民年金保険料がなぜUPするのか(まぐまぐニュース参考記事)

というわけで見ていきましょう!

1.昭和58年5月28日生まれの女性(今は34歳)

20歳になる平成15年5月から平成18年3月までの35ヶ月間は大学生として国民年金保険料を免除した。この学生の間に使った保険料免除は学生納付特例免除というが、将来の年金額には全く反映しない。ただし、年金を貰うための年金受給資格期間10年以上の期間の中には組み込まれる。

なお、この学生特例免除期間に死亡または障害を負った場合は、死亡時点で生計維持している「18歳年度末未満の子供がいる配偶者」や「18歳年度末未満の供」が居れば満額の遺族基礎年金(最低年額779,300円)や、障害基礎年金(2級は779,300円で、1級は974,125円)が保障される。

老齢の年金額に反映させる為には過去10年以内の免除期間の保険料を納める事ができる追納を利用するしかない。または、60歳から65歳まで国民年金保険料の任意加入が出来るので35ヶ月間保険料を納めるか。

平成18年4月から平成29年10月8日までの139ヶ月を厚生年金に加入しているが、今月から産前の産休を取る事になった。産休前の給与(標準報酬月額)は280,000円だった。

出産予定日は平成29年11月19日。出産予定日前42日前(多胎妊娠の場合は98日間)から産休による厚生年金保険料免除の対象。10月8日から産休だから産休を開始した月から厚生年金保険料が免除になる。事業主経由の年金事務所への申し出が必要。産後休業は出産日から56日間まで。だから、産後休業を終えるとしたら平成30年1月14日。よって、産前産後休業免除期間は平成29年10月から、産後休業を終了した日の翌日の属する月の前月である平成29年12月までの3ヶ月間。なお、休業取得した本人だけでなく事業主の厚生年金保険料負担、及び、健康保険料負担も免除になる。

この間、厚生年金保険料は免除ですが休業前の標準報酬月額280,000円だったものとみなして、将来の老齢厚生年金額が下がらないようにする。しかし、平成30年1月から平成31年5月までの17ヶ月間は育児休業を取る事になった。この間も申し出により厚生年金保険料は免除になりますが、厚生年金保険料を支払ったものとして標準報酬月額280,000円だったものとみなす。

で、平成31年6月15日から仕事に復帰するが、育児をしなければならないので労働時間を短縮してもらった。

産休とか育児休業の間とその休業の前は280,000円の標準報酬月額だったが、労働時間の短縮により給与が165,000円まで下がった(標準報酬月額に直すと170,000円)。

標準報酬月額が下がると、給与から徴収される厚生年金保険料が下がる。ちなみに、給与が下がってるのにこのまま280,000円の標準報酬月額で厚生年金保険料を支払うとなると、18.3%の半分の9.15%を支払うから280,000円×9.15%=25,620円の厚生年金保険料を支払わなければならない。

育児休業終了時の標準報酬月額の変更は休業が終了した日の翌日の属する月から2ヶ月後の翌月から標準報酬月額を変更する。つまり、平成31年6月15日の翌日から2ヶ月後である8月の翌月である9月から標準報酬月額を170,000円に変更する(育児休業終了時改定という)。

※参考

6月、7月、8月分の給与の平均を取りますが6月の給与計算に対する労働日数が17日未満だから7月と8月の給与を平均する。

まあ、平成31年9月から標準報酬月額170,000円に下がって、徴収される厚生年金保険料も170,000円×9.15%=15,555円と安くなって負担が減る。10月給与天引き分から。

ただし、ここでちょっと問題が出てきますよね。何だと思います? 幼児を養育しなければならない事で、労働時間が短縮になり標準報酬月額が170,000円に下がったことで、この女性の将来の老齢厚生年金額が減って不利益を被ってしまいますよね^^;。妊娠出産育児が原因で不利益を被らせるわけにはいかない。だからここも事業主経由の年金事務所への申し出による特例で休業前の標準報酬月額280,000円とみなされる。ただし徴収される厚生年金保険料は170,000円×9.15%=15,555円で良いです。なお、この特例は養育している幼児が3歳になるまでの特例。

さて、話を出産予定日であった平成29年11月19日に予定通り生まれたとして、幼児が3歳になるのは平成32年11月18日。この間の厚生年金期間は平成32年10月までの36ヶ月間。この3歳時に会社を辞めたとします。平成32年11月から60歳前月である平成55(2043)年4月までは国民年金第3号被保険者として270ヶ月間はサラリーマンの夫の扶養に入ったものとします。この第3号被保険者期間は国民年金保険料は支払わないが、支払ったものとみなす。この女性の65歳からの年金を算出してみる。

老齢厚生年金→280,000円÷1000×5.481×175ヶ月=268,569円

※注意

上の計算の280,000円は175ヶ月間の給与(標準報酬月額)や賞与(標準賞与額)の平均である平均標準報酬額。幼児の育休中の170,000円では計算しない事を示す為に簡易にしてます。

老齢基礎年金→779,300円÷480ヶ月×(厚生年金期間175ヶ月+第3号被保険者期間270ヶ月)=722,476円

よって年金総額は老齢厚生年金268,569円+老齢基礎年金722,476円=991,045円

※追記

休業中の手当ては無いの?って話ですが、まず産前産後休業中のこの女性の場合は42日+56日=98日分の産休期間がありますが、ここは加入している「健康保険」から出産手当金が支給される場合があります(扶養されていて健康保険に加入している人には出ない。国民健康保険にも無い。あくまで自ら健康保険に加入して保険料支払ってる人にだけの給付)。

まあ、金額としては産前産後で休んだ期間分98日を、産休前の直近1年間の標準報酬月額の平均を30日で割った分の3分の2。よって、直近1年間の標準報酬月額の平均が280,000円だったら、280,000円÷30×2÷3×98日分=609,778円(小数点1位以下四捨五入)の出産手当金。

また、育児休業中は子供が1歳になるまでは雇用保険から育児休業給付金が支給される場合がある。給付から最初の6ヶ月(180日分)は休業前賃金の67%で、後の6ヶ月は50%になる。ちなみに原則として子が1歳になるまで。

育児休業開始時の賃金が285,000円だったら、ちょっとザックリですが285,000円×67%×6ヶ月=1,145,700円残りの6ヶ月は285,000円×50%×6ヶ月=855,000円が給付総額となる。なんか年金と話がズレてしまいましたが参考まで(笑)。

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