皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、勤務先が廃業となってしまった40代男性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

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正社員として再就職しなくても経済的に困らないでしょうか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、勤務先が廃業となってしまった40代男性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

▼相談者巨人さん(仮名)
男性/アルバイト/40歳
千葉県/実家

▼家族構成父(無職/70代)、母(無職/60代)

▼相談内容5年半勤めていた会社が廃業しました。現在はアルバイトとして働いており、正社員職を探しておりますが、数回の転職歴や、スキルも無く、年齢の事もあるせいか見つかりません。諦めてなるべくフルタイムに近いアルバイトで社保入りの仕事を探しております。ちなみに正社員歴は15年半程です。結婚の予定も無い事、実家住まい、車も無く、これといった趣味も無いので支出は非常に少ないと自負しています。月給18万ぐらいの収入なら月9万円ぐらいは貯金できると思いますが、やはり正社員ではないので不安を感じます。(肩書も無くなり不安を感じます)この先金銭面で問題は無いでしょうか?お願い致します。

▼家計収支データ

▼追加質問(1)加入している保険について
本人/共済=保険料3000円

(2)ご実家の住宅について
マンション。リフォーム済み。毎月の管理費・修繕積立金/1万5000円、固定資産税5000円(月割り)

(3)相続について
ご実家は相続する予定。親に他に相続財産等があるかは知らないが、おばの死亡保険の受取人になっている。死亡保険金は1400万円。

(4)ご結婚について
結婚をしたいという意思、希望はなし。

(5)生活費について
仮に親御さんがいなく、一人で生活するとした場合、住宅費を除く毎月の生活費はおよそ12万〜13万円と考えている。

(6)以前の収入について
正社員時代の最後の年の収入は、1社目/年収500万円、2社目/300万円。

▼FP深野康彦からの3つのアドバイスアドバイス1 現状でも資金的に心配は不要
アドバイス2 住宅コストのアップには注意も必要
アドバイス3 老後の備えは一部iDeCoの利用も

アドバイス1 現状でも資金的に心配は不要

最初に結論から申し上げます。現状のままでも、元気で働き続ければ、資金的に困ることはないと思います。したがって、さほど心配は要りません。具体的に試算してみましょう。

想定として、現在の収入が今後も継続するとします。現在の収支は月6万円の黒字。60歳までの20年間で1440万円、貯蓄が増えることになります。これに現在の資産(個人年金保険の年金額を含む)を加えると、3940万円となります。

60歳のとき、仮にご両親が他界されたとして、その後の生活費を巨人さんは月12万〜13万円(税・社会保険料込み)とされています。これに住宅コストを加算し、月15万円とします。

65歳まで働き(60〜65歳まで月10万円の収入)、65歳以降から支給される公的年金を月額10万円とすれば、毎月5万円が不足しますから、90歳までの30年間で、貯蓄から引き出されるのは1800万円。したがって、まだ2000万円以上が手元に残る計算になります。途中、大きな支出や長生きリスクを考慮しても、資金的に対処できるはず。たとえ収入は低くても、65歳以降も働くこともできれば、さらに家計には余裕が生まれます。

アドバイス2 住宅コストのアップには注意も必要

正社員を目指されているとのこと。現在の仕事が不安定であることを考えれば、現状を不安に思う気持ちはよくわかります。正社員になれば、収入もアップし、厚生年金加入により、老後資金も上積みされます。ぜひ、目指してほしいと思います。とは言え、必要以上に焦る必要はありません。先に触れたように、現状でも資金的に将来大きく困ることはないと考えられます。じっくりと納得のいく求職活動をしてください。

ただ今後、気になるとすれば、住宅の維持費でしょうか。親御さんが購入され、ローンの支払いはないとすれば、購入時に新築であっても現在、築20〜30年のはず。すでに、一度リフォームされているとのことですが、巨人さんが老後も過ごすとなれば、あと40年、50年住むことになります。内部のリフォームはもとより、マンション全体の大規模修繕が想定されますし、そのことで毎月の修繕積立金が値上がりすることは十分考えられます。そのことは認識しておくべきでしょう。

アドバイス3 老後の備えは一部iDeCoの利用も

老後の備えですが、預金商品でもいいですが、一部iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用してもいいでしょう。運用のイメージがありますが、リスクを取りたくなければ預金タイプの元本保証の商品も選択できます。また、運用益がなくても、掛け金が全額所得控除の対象となるため、節税効果が得られます。巨人さんの場合、掛け金は月2万3000円が上限だと思われますが、最初は1万円程度でも構いません。金額の変更は年1回、拠出の停止・再開はいつでもできます。

注意したいのは、拠出した掛け金は60歳以降でなくては引き出せないという点。しかし、今後、住宅購入などの大きな資金を必要とするライフイベントも予定されていないようですし、掛け金は明確に老後資金として位置づけることができます。

もうひとつ、口座管理料などのコストは金融機関によって異なります。割高であれば節税効果が低下しますので、事前に調べてから口座開設をしてください。

最後に、金額は大きくはありませんが、加入されている共済保険の必要性は低いと思います。医療費は貯蓄から捻出できますし、死亡保障も不要です。解約されてもいいのでは。

相談者「巨人」さんから寄せられた感想

先生からのアドバイスは参考になりました。貯金はあるのですが漠然な不安はありましたので正規にしろアルバイトにしろこれからも働き続けていきたいと思います。

教えてくれたのは……深野 康彦さん  

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武
(文:あるじゃん 編集部)