<トランプには、議会の承認も得ずシリアの空軍基地にミサイル攻撃した前科もある>

ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の挑発合戦は、互いの国を完全に破壊すると宣言するなど終末論的な次元までエスカレートしている。

もちろんそれは言葉の綾であって本気ではない。今は。

だが米軍最高司令官に就任した今年1月からこれまでのトランプの言動からわかることがある。トランプは、米議会に諮らず宣戦布告も経ず、いきなり北朝鮮を攻撃しかねない。

合衆国憲法は外国への軍事行動に関して、大統領は議会承認を得る必要があると規定するが、トランプはすでに議会の事前承認を経ずに軍事行動に踏み切った前科がある。今年4月、シリア北西部イドリブ県で、シリア政府軍が化学兵器を使ったと報じられたときだ。シリア政府もシリアを支援するロシアも関与を否定したが、トランプは一報から72時間以内に報復攻撃を決定。米海軍艦隊はシリアの空軍基地に向けて59発の巡航ミサイル「トマホーク」を発射した。トランプの側近の軍人たちすら、命令を思い止まらせることはできなかった。

突然のシリア攻撃は国際社会に衝撃を与え、トランプの攻撃命令を疑問視する声が上がった。トランプは攻撃の数時間後、核兵器を保有する北朝鮮に対しても同じことができると言った。それ以来、トランプは武力攻撃を示唆する発言を繰り返し、朝鮮半島情勢をますます悪化させている。

北朝鮮にもやりかねない?

「シリア攻撃の前例は深刻だ。国際法にも違反している」と、ワシントン大学のホイットニー・R・ハリス世界法研究所のディレクターで、国際刑法が専門のレイラ・サダトは本誌に語った。それでもトランプに対する批判が限定的だったのは、攻撃が空軍基地のみで、シリアにはすでに米軍が展開していたこともあったからだ。

もしシリアと同じように北朝鮮を攻撃すれば、戦争でとてつもない数の死者が出るだろう。

トランプの気まぐれで衝動的な言動、国際法も憲法も顧みない振る舞いのせいで、国際社会には第二次大戦に突入した1930年代のような不穏な空気が漂っていると、サダトは言う。

「トランプはベネズエラにも喧嘩を売り、シリアにはミサイルを撃ち込み、北朝鮮とイランを恫喝している。健康で精神が安定した人物がやることではない」とサダトは言う。

「法的根拠など、どうでもいいのだろう」

(翻訳:河原里香)

トム・オコナー