筋肉は「ロープ」 切れないための“たわみ”を生む効果的なケア方法とは?

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太ももの前の筋肉は強くなる傾向、対する裏側のハムストリングは硬く、弱くなりがち

 筋肉の強化にトレーニングが不可欠なのは言わずもがな。しかし、そのアプローチを間違えれば、筋肉は悲鳴を上げ、肉離れを起こしてしまうリスクもある。フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一氏が、スポーツトレーニングの舞台裏を語る定期連載。今回はスポーツをする上で大きな役割を果たす「脚の効果的なケア方法」について、卓球の福原愛やバドミントンの藤井瑞希など日本を代表するアスリートの個人指導経験を持つ同氏に訊いた。

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 野球、サッカー、陸上、柔道、水泳、フィギュアスケート…。世界には様々なスポーツがありますが、脚を使わないスポーツはほとんどありません。

 筋肉の力は面積と比例します。つまり、「強い力が出る=大きな筋肉」。人間の体では下半身の筋肉、とりわけお尻と太ももの筋肉は大きい。人の体を運ぶ役目を担っているのですから、それも当然です。

 脚の持つパワーは強大です。例えば、男性が手で押してもビクともしないタンスも、両脚で押せば女性でも動かせます。それだけのパワーがあるのですから、よりダイナミックに、力強く動ける力を磨けば、当然スポーツのパフォーマンスもレベルアップします。

 一方、より大きく、より強く動かすイメージでアクションを起こしたとき、肉離れを起こしやすいのも脚と太ももです。

 特に、日本人の体の特徴として大腿四頭筋のほうをよく使うため、太ももの前の筋肉が強くなる傾向にあります。対して、裏側のハムストリングは使われにくく、硬く、弱くなりがちです。

前後をきちんとケアをし、理想的な力のバランスをキープする

 また、強い筋肉は鍛えやすいこともあり、大腿四頭筋ばかりをトレーニングしてしまうケースはよくあります。反面、ハムストリングのストレッチはなおざりに。自己流のトレーニングメニューの盲点と言えますが、得意不得意や気分で筋トレやストレッチを行う部位を選んでいると、やればやるほどバランスを崩します。そして、ある日、脚を振り上げた瞬間、ハムストリングが悲鳴を上げ、肉離れを起こす場合もあるのです。

 筋肉は、物に例えるとしたら「ロープ」です。ピンと張った状態で大きな負荷がかかると切れる可能性があります。でも、たわみがあれば切れません。大腿四頭筋だけでなく、ハムストリングもきちんとケアをし、理想的な力のバランスをキープしましょう。

 今回は太もも裏側、ハムストリングのストレッチを紹介します。ハムストリングは大きな筋肉です。全体をケアするには一方向で終わりにせず、三方向に伸ばすのがポイントです。障害予防はもちろん、さらに力強いプレーに到達する体作りの一環として、習慣づけましょう。