経営者が考える「若手に身につけてもらいたい力」とは(2)

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自分が勤めている会社に対して、何も不満がない人はむしろ少数派のはず。特に中小企業では経営者と従業員の距離が近いため、自社の経営陣に対して「一言モノ申したい」という人も多いはずだ。

一方、経営者側も、従業員に対して「もっとこうなればいいのに」という思いを持っている。今回はその本音と、若い世代へのアドバイスをうかがうべく、『頭が勝手に働き出す思考法 少ない努力で最大の成果を出す社長の頭の使い方』(現代書林刊)の著者で経営者でもある西田芳明さんにお話をうかがった。その後編をお届けする。

――本書の中で「底打ち感」が行動の原動力だとされています。この「底打ち感」とはどのような感覚ですか?

西田:何か問題が起きるた時、それをたいがいは他人のせいにして、自分に刺しません。それを自分に刺す。自分を責めたらツラいからそうするわけですが、そこを自分の方に矢をぶつけて自分の問題として捉えないと、問題の解決も、今の状態に潜むリスクも考えられません。

これを踏まえて答えるなら「底打ち感」とは、自分をとことん追い込む、という感覚です。問題を味わう。問題を処理しない。問題から逃げない、ということです。

――アイデアが次々に浮かんでくる人には憧れます。こういう人になるためにはどうすればいいのでしょうか。

西田:「コミュニケーション能力、論理的思考力を鍛える」「フレームワークを考える(枠組み)」「参照データベースをいっぱい入れる」「経験体験をたくさんする」というところだと思います。

――学んだことを成果として出せる人と出せない人がいます。両者の違いはどんなところにあるのでしょうか。

西田:行動。即行動。スピード。仮説と検証の繰り返し。成果として出せない人は、仮説を立ててないケースが多いですね。

――物事への深い理解度を表す「メタわかる」ですが、自分の仕事をこのように自家薬籠中の物にするために、日々どのような取り組みが必要なのでしょうか。

西田:ピンとくる力をやしなうことです。具体的には、まず全体を決めて、それから全体から部分をみる。

一つの物事を視点を変えて何度も見るということでしょうね。高い位置から見たり近くからみたり。広げたり。そしてそれぞれの視点から見えたものを繋ぎ合わせるということも大事です。

――頭を鍛えるために、西田さんが日々やっているトレーニングがありましたら教えていただきたいです。

西田:何でも自分事化することです。他人の問題も、自分事として捉えて、自分ならどう解決しようとするかと、とことん考えます。新聞を読むときも、読むだけではなくて、自分事化して読むということを日々やっています。それと、人の話を聞く時は、どこに話の本質があるかを常に掴もうとする意識を持っています。

――西田さんは「仕事とは辛く苦しいものではなく、社会貢献をしながら自分の器すらも広げてくれる、とても尊いもの」と書かれていますが、仕事を辛いものとしか思えない人が多いのも事実です。今現在、このように仕事を捉えている人にアドバイスをいただきたいです。

西田:そもそも、仕事や人生はツラいもんと思ってたらいいんです。自分が成長するために、いろんな問題が起きて当たり前と思ってたらいい。問題起きなかったら、成長もしないんですから。

仕事に対して志やビジョンを持てない人がいますが、そういう人はまずそれを見つけることです。人間、自分の使命や役割を持って生まれてくるのだと僕は思っています。夢や志となるものを、ぜひ見つけていただきたいですね。

(新刊JP編集部)

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