村田諒太オフィシャルサイトより

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 ボクシングのテレビ視聴率が突き抜けて高かったことで、フジテレビがWBA世界ミドル級新王者・村田諒太の“囲い込み”をしそうだという話が関係者から聞かれた。

「フジテレビは、これからボクシングには、さらに力を入れるようです。村田の所属である帝拳ジムは、来年アメリカで試合をやると言っていましたが、予定が変更になるかもしれません。フジ側がさらに高い放映権料を出して、ジムを説得するみたいです」(プロボクシングの興行関係者)

 10月22日、各局が選挙の開票速報の特番を放送する中で、主要局では唯一ボクシング中継をやっていたのがフジテレビ。その視聴率はダントツの20.5%(ビデリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録した。選挙速報では、トップだったNHKでも17.1%だったのだから、フジは笑いが止まらないだろう。

 というのも、選挙放送が横並びの中、フジがその流れに背いてボクシング中継の英断をしたわけではなかったからだ。安倍晋三首相が衆議院を解散する前から、この放送は決まっていたもので、当初はフジ関係者から「頭が痛い」という弱気な話も聞かれたほどだった。

 村田はロンドン五輪で金メダリストを獲得し、2013年にプロデビュー。フジテレビと広告代理店の電通が大きくバックアップして世界王座奪取プランを描いてきたが、今年5月の世界初挑戦は、まさかの判定負け。その採点結果に抗議の声が巻き起こり、仕切り直しの再戦となったのが今回の試合だった。

 高視聴率には、追い風もあった。前回5月の視聴率は平均17.8%の高数字。採点問題が持ち上がったことで、より村田の知名度は上がり、今回の試合への注目度も増した。

 両国国技館の興行は当日券も販売できないほどの超満員で盛況となり、結果も村田の圧勝TKOだった。

「もともと村田のボクシング中継は、視聴率が7%程度で低迷していたんですが、世界タイトルマッチになって急上昇。フジはこれまで蒔いた種の収穫とばかりに回収をしたいはず。2〜3度の高視聴率で満足するようなことはないでしょう」と前出関係者。

 ただ、村田陣営は次戦こそ来春、日本で行う予定だが、その後はアメリカに進出するとしている。アメリカで試合が開催されると、時差の関係で日本での放送は午前中になってしまい、フジテレビがビジネスを主導することもできなくなってしまう。

「アメリカ行きは、村田本人の希望。世界王座を奪取しても、獲った王座は、その上に『スーパーチャンピオン』もいるWBA王座ですから。世界チャンピオンといっても村田が“世界一”になったわけではないので、村田は上を目指したいんです。過去、WBAのチャンピオンになった亀田興毅や井岡一翔は、その上にスーパーチャンピオンがいるのに放送局のTBSが、それを隠すように伝えてました。でも、村田はリング上で『僕より強いチャンピオンがいる』と明言しています」(同)

 そのWBAミドル級のスーパーチャンピオンは、アメリカを主戦場にするのゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)だが、1試合で数億〜十数億単位のファイトマネーを稼ぐ超大物。そう簡単に対戦が実現できるわけでもない。

「そこで、アメリカに行かせたくないフジテレビが日本で防衛戦をやらせようとするはず。できるだけ勝てそうな相手との試合にして、長々と防衛させれば、高視聴率を引っ張れるんです。村田が所属する帝拳ジムでは、WBC世界バンダム級チャンピオン時代の山中慎介がアメリカ行きを希望しても、13度も日本で防衛戦をやらせていましたし」(同)

 村田本人がより強い相手を希望しても、周囲はチャンピオンの延命ビジネスに走ってしまうのか。業界内の過去の例を見ると、過保護路線が多々あるだけに、ちょっと心配ではある。
(文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)