えんそく(撮影・さわきみのり)

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ついに来ちゃった、13日の金曜日!

【V系】[本人直撃]面白いだけじゃない?ヘンテコバンド・えんそくの真意

10月13日(金)、東京・赤坂BLITZにて、えんそく史上圧倒的最大単独公演「狂い咲きハルマゲドン」が開催された。

バンドが紆余曲折をへてたどり着いた赤坂BLITZ、前日までの暖かな気候はどこへやら。秋というには肌寒く霧雨が降っている。『惡道に死す』『惡童のススメ』の世界では何かしらの影響で地球の地軸がズレて冬になってしまうという設定にあつらえたようじゃないですか。えんそくちゃん”持ってる”なあ。そんな天気の中でも多くのファンが会場に足を運んでいた。

開演予定時刻が近づき、『惡の秘密結社ウシノシタ団のテーマ』が流れると、フロアは開演前なのに手拍子で盛り上がっていた。そして客電が落ちるとSE『ここで会ったが百年目!!』でライブはスタート。スクリーンに映し出されたぶう(Vo)の独白で今夜の物語は始まる。

「世界が終わる1999年。夏空から何かが降ってきて、何もかもぶっ壊れるハルマゲドンが起きるって。そいつを待っていたら夏が終わっていた。
今夜。あの頃描いていた悪夢で、世界を塗りつぶそう」

「闇に光を灯そう、狂い咲く花のように、夜空の星のように。今、光をかかげよう。」

『Sweet Nightmare March』が流れ始めると、ステージに降ろされた白い紗幕に4つのシルエットが浮かび上がる。キラキラしたミラーボールの光も相まって幻想的な光景だ。紗幕が落とされメンバー登場。「赤坂! おかしくなっちまおうな! 遠慮はいらない、踊ろう!」とぶう。 ステージには「惡の秘密結社ウシノシタ団」の旗が掲げられ、フロアはファンの掲げる「光るトレーニングモッシュ棒」のピンクの光でいっぱいだ。

いつもより大きなお立ち台の上でふたりでギターを奏でるクラオカユウスケ(G)、Joe(G)。

曲の間に再び独白が入る。

「キミがどうしても笑うことができない夜には、自分勝手にムチャクチャをやる悪党たちを思い浮かべてくれ。世界は本当はいつだってボクらのやりたい放題なんだ。

遠足に出かけたまま永遠の旅に出た悪ガキたちは、悪の秘密結社を組織した。キミも怪人や怪獣、アクの秘密結社になって一緒にムチャクチャをやらないか? 今夜僕たちは全てをひっくり返すためにこの世界に戦いを仕掛ける」

「あの頃叶わなかった最悪の結末(最高の希望)を」

そして、ワンマンのタイトルが映し出される。

『えんそく史上圧倒的最大単独公演「狂い咲きハルマゲドン」』

つづいて『1999年のブルース』、「1999年にハルマゲドンが起こらなかった」歌だ。

ミド(B)のラップパート「“大人になるはずなんて無い”って信じてたんだ… そんな期待は てんで外れたけど でも泣いてないよ」に集約されているように、あの夏に世界がぶっ壊れることを期待していたのに、何もなかった。でもいつか”何か”がやってきて世界がひっくり返ることを願う歌。

強く拳を掲げるぶうにスポットライトがあたる。『惡のミカタ』の冒頭のサビを歌い上げる。そこから一気に曲調がパンキッシュにになり、特攻の銀テープが飛び出す。楽器隊の「モーガン・フリーマン!」のパワーコーラスが勢い良く入る。意味がわからないけど、これがえんそくだ。

「俺たちがウシノシタ団こと、えんそくだ!」と宣言するぶう。「集まっちゃったね! 集まっちゃったね! えんそくなんてわけわかんないバンドのワンマンに! こんなにいっぱい! よく集まっちゃったな! 悲願の赤坂BLITZ、入りました〜〜!」早くもテンションマックスの様子。

「我々にとっては色々な意味があれど、色々な思い入れもある。だけど、そんな日だからこそまずは原点に立ち戻って、こう言いたい! 何を置いてもバカになんなきゃダメだ! 親や親戚に“アンタなんてとんでもないことしてるの?”って言われるような空間じゃないと、ヴィジュアル系じゃないだろ!」と、ぶう。フロアからは大きな歓声が沸き上がる。

「何はともあれ皆さんは限界突破して、脳のリミッターを解除して欲しい! なんで就職もしないでバンドやってんだろう俺たち、ガキみたいにバカやるためだよ! そのバカを観るために集まってきたんだろ? 観るだけじゃもったいない! 今日は一緒に皆さんのタガ、ぶっ壊していきませんか?」と1階フロアのみならず2階席の関係者まで煽りたおすぶう。その勢いで『とってもマッケンロー』になだれ込んでいく。

息をつく暇もなくイントロからバンドとファンが一丸となってスクワットを行う『机上の空論実行部隊』、赤坂BLITZのフロアを周回する電車となりサークルモッシュ(サークルシュッシュ?)が壮観の『ゴードン』と、テンションと消費カロリーの高いナンバーが繰り出され、良い感じに酸素が薄くなって『ゴリラの丘』でさらに一体感が高まっていく。

満足そうに「皆立派なゴリラだったよ……、汗だくの顔が一杯でうれしいです」とぶう。「“えんそくがですよ、赤坂BLITZをやるとかバカを言いなさんな!”と思っているヤツラがこの会場の外にいかほどいるか! まったく腹立たしい、でも今日はこんなに集まってくれて、もう最高のワンマンになりました!」

ぶう曰く、えんそくのライブは日常をぶっ壊すためにあるという。

「皆さんはなんのためにライブハウスに来てるんですか? かっこいいお兄さんをみるため? 今日は違うでしょう!(ここでかっこいいポーズをするクラオカ) 毎日溜まりに溜まった嫌なことがあるでしょ? ある! よかった! リアル充実してないよね! ここで巻き返そう、日常で手に入れられない物を手に入れようよ、何もかもぶっ壊していけるかい?」と続ける。

そして再び『イルキメラ・キッド』でフロアを揺らし、『金曜日のチェーンソー』ではCO2の特効も派手にブチあがる。『狂ったセカイと時計仕掛けの神様』では、「やってもやっても何度も何度も誕生日を迎えても中二病が治んないの! お前らも隠してるつもりでもそうなんだろ! 思いっきり病みちらかしていこう!」とぶうが扇動する。

そして、『U.F.Oが来るまで』をはさみ「茶番(寸劇)」パートへ。

「UFOが人間を連れ去り人形に入れ替えてしまう」という噂のある世界。その真相は惡の秘密結社ウシノシタ団が選ばれし人間を「本当の世界」へ連れて行くためだった……という筋書き。死に場所を探している少女をスカウトしようとするドタバタが繰り広げられ、合間に大変DVDにしにくいボケをはさみつつ物語は進んでいく。

ひとりひとり声をかけていったら間に合わないと、“世界の真実を教える歌”を用意したという。それはこの“ウシノシタ団サーガ”と呼ぶべき物語の完結編『天獄への十三階段』、怒涛の曲展開と長セリフで構成されたロングチューンだ。

では“世界の真実”とは何なのか? “本当は”1999年に世界は氷河期によって滅びてしまい、この世界は大人たちが取り繕ってごまかしたのだという。“別の次元の春”へ行くための『天獄への十三階段』なのだ。

フロアのファンも含めてサビを大合唱、大団円……と思いきや、突如会場中の電気が落ちる。スピーカーからも音が消え、「停電」を知らせるアナウンスが流れる。ざわつきつつも機転を利かせたファンたちが「光るトレーニングモッシュ棒」を掲げて照明を確保する。スクリーンに「大雪による停電のニュース」がザッピングされていく。

「えええ〜〜〜〜〜!」という声がフロア中に響き渡る。やられた! そう、つまりこれは、”演出”だった!

再度差し込まれるぶうの独白。もうこの会場の外は雪におおわれて、“世界”は終わってしまったという。そして奏でられる、窓から見える降り積もる雪世界をテレビに見立てた『白いテレビ』。ゆっくりゆっくり降り積もる雪のように終わっていく世界。

歯車が回り始め、再び世界が動き出す『アリス・エクス・マキナ』へ。

「さぁ目ぇ覚ませ! こっからが本番だ!」という言葉から『「ここがお前の死に場所だ!」』、『少女戦闘員M、踊る』、『ツンドラの暴君』といったハードチューンを畳み掛ける。フロア中にタオルが舞う『キャトル』で一旦メンバーはステージをあとにする。

そしてニューアルバム、先行シングル『中二病の救世主(メシア)』のリリース、5月5日にえんそくに馴染みの深い中野ZEROホール(大)にてワンマンを行うことなどを発表。この嬉しいお知らせは大きな歓声と拍手で迎えられた。

再びステージにあらわれるえんそくたち。『狂い咲く春のはじめ方』で盛り上がり、最後の『宇宙大天使土曜日』では色とりどりの風船がフロアに降り注ぎ、多幸感につつまれる。

……ちなみにこの「多幸感」ということば、単にハッピーな雰囲気を指すわけではなくて、「(薬物などがもたらす)過度の幸福感」という意味もあるらしいんですよ。つまり、ハイになってアッパラパーになっちゃってるってこと。えんそくのライブにピッタリじゃないですか。これ以上ないってくらいの多幸感いっぱいで、「狂い咲きハルマゲドン」は終幕した。

アンコールの声にこたえて勢い良くステージに再登場するえんそく一同。有名歌手ばりのビブラートでお礼を伝え、「いや〜終わりましたね、世界。ドアが雪で開かないと思う。必死な大人たちによって、一見元の世界に戻ったかもしれないけど、一度壊された世界は何度でもぶっ壊せると思うんで、皆、世界をぶっ壊したい時はえんそくのライブに来てください」とぶう。

「ウシノシタ団は終わりましたが、えんそくの青春はまだまだ続きます! ボクらは大人になってしまった皆さんに”あの頃は楽しかった”なんて言ってほしくない! 今が一番だと、今が青春だと言って欲しい! ボクらの青春に共についてきてもらいますか! 何度でも何度でも終わらない青春やろうぜ! 中二病をこじらせていこうぜ!」

と、楽器を置いて『狂い時計のネジ巻きマキナ』を皆で踊り(サポートドラムのモリヤマさんだけは淡々と生演奏をしているのもまたシュールな光景である)、最後はもちろん『最後のえんそく』。最後の最後までフロアもバンドも全力のパフォーマンスで締めくくった。

「どこまでも共に行こうぜ! 愛してるぞ!」とクラオカ。大きく手をふるミド。「BLITZどうもありがとうございました!」とJoe。

最後にぶうが「まだえんそくのことを舐め腐っているやつらもいるんで、ボクの怒りは収まりません。よかったなあと思います。まだまだ赤坂BLITZがソールドできない程度のバンドで良かった、すごい頑張りがいがある。バンドは上にいかないと、伸びていかないと続けていけないものだから」と語る。

「10年以上続けたボクたちが、おこがましいかもしれないけど“バンドは3年、5年やって結果出なかったらダメだよ”みたいなくだらない常識をぶっ壊す代表になれたらいいな。次のワンマンも成功させたいと思います。毎ライブでバカなことをして、いい年のとり方をしたなと。皆さんもこうやってみると大人ばっかりですよね、そのへんのガキが“大人も楽しそうだな”と思えるような人生を送りましょうよ。バカな大人代表としてがんばっていきましょう。どうもありがとうございました!」と、ステージをあとにした。

そんなわけで「狂い咲きハルマゲドン」は完結し、会場の外は肌寒くはあっても、もちろん雪は積もっていなかった。でも「世界」は一回終わったと思うし、物語の終わりはひとつでもないし、世界は何度でも壊すことができるし、青春もずっと続く、えんそくがそう言うなら。そんな気がした夜だった。

えんそくの旅はまだまだ続く。

セットリスト

1.12モンスターズ
2.1999年のブルース
3.惡のミカタ
4.とってもマッケンロー
5.机上の空論実行部隊
6.ゴードン(スーパーゴードン)
7.ゴリラの丘
8.イルキメラ・キッド
9.金曜日のチェーンソー
10.狂ったセカイと時計仕掛けの神様
11.U.F.Oが来るまで
・茶番
12.天獄への十三階段
13.白いテレビ
14.アリス・エクス・マキナType:ABreast
15.「ここがお前の死に場所だ!!」
16.少女戦闘員M、踊る。
17.ツンドラの暴君
18.キャトル
19.狂い咲く春のはじめ方
20.宇宙大天使土曜日

ガンダーラ(アンコール)
1.狂い時計のネジ巻きマキナ
2.最後のえんそく

スケジュール

■主催公演
2017.11.18 (土) 新宿BLAZE
えんそく新章突入記念主催
「モラトリアム✝パイロキネシス」
[OPEN] 17:00 [START] 17:30
[前売]¥3,500 [当日]¥4,500 (税込み、D代別途)
【出演】
えんそく
Jin-Machine
HERO
マイナス人生オーケストラ
ゲスト:大槻ケンヂ

■ワンマン公演
2018.05.05 (土) 中野ZERO大ホール
【出演】
えんそく